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報告書&レポート

2015年4月30日 バンクーバー事務所 山路法宏
No.15-21

ブリティッシュ・コロンビア州の2014年鉱業活動と州政府の鉱業促進策~Roundup 2015講演内容をもとに~

 2015年1月26日~29日にかけ、ブリティッシュ・コロンビア鉱物探鉱協会(Association of Mineral Exploration British Columbia:AME BC)主催の「Roundup 2015」が開催された。
 本会議は北米の探鉱事業にフォーカスしたカンファレンスで、毎年1月にバンクーバーで開催されている。探鉱会社や地質技師、投資家、サプライヤーなど、鉱物資源の探鉱事業に関心を有する人々が集まる場として知られており、今回で32回目の開催を迎えた。
 本年は35か国から6,700名以上が参加、300を超える出展があった。金属価格が低迷し、多くのジュニア企業が資金調達に苦心する中で、前年(37か国6,647名、240超の出展)同様の規模となった。
 北米の北西部を中心として、各州・準州政府の関係当局が2014年の探鉱、開発、操業等の活動に関するレビュー講演を行ったほか、探鉱会社、投資会社、コンサルタント、プラント会社等、参加企業各社が自社のプロジェクトやサービスを競って紹介した。
 本稿では、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)に関し、本会議で発表された情報をソースとして、同州における最新の鉱業事情を概説する。

講演会場

講演会場

展示会場

展示会場

1. 2014年の鉱業レビュー

1-1. 2014年の鉱業生産

 BC州政府の発表では、2014年の鉱業生産額の予測値(forecast、以下「予測値」)は73億 C$と2013年よりも約3億 C$増加し、2011年の90億 C$をピークに減少していた同州の鉱物生産額は3年ぶりに増加に転ずる見通しとなった。鉱業生産額の8割近くを石炭(46 %)と銅(32 %)で占めており、工業用鉱物(6 %)や金(5 %)等の他の鉱物と比べて突出している。

図1

(出典:Roundup講演資料から筆者作成)

図1. BC州における2014年鉱物生産見込み額の鉱種別割合(予測値)

図2

(出典:Roundup講演資料)

図2. BC州における鉱物生産額の推移(2014年は予測値)

 一方、連邦天然資源省(Natural Resources Canada:NRCan)が2015年3月に発表した州別鉱種別の鉱業生産額の推定値(preliminary estimate、以下「推定値」)では、総鉱業生産額は69.8億 C$となり、2013年実績額の71.1億 C$より約1.3億 C$の減少となった。これは、BC州が発表した予測値が2014年途中時点で作成されたもので、2014年後半におけるTrend炭鉱の操業及びその周辺の拡張プロジェクトの活動休止が反映されておらず、推定値ではそれが反映されたために石炭生産額が大幅に減少したものである(石炭の推定値は非公開)。一方で、金属鉱物資源は当初予測値の31.4億 C$から推定値では34.0億 C$となっており、2013年実績額から約32 %の増加となった。その中心は銅(前年比25.7 %増)及び金(同81.7 %増)である。
 銅生産額が増加した背景としては、2012年New Afton鉱山(銅、金、銀)、2013年にMt. Milligan鉱山(銅、金)が、それぞれ生産を開始して生産量を徐々に増加させたことに加え、銅価格の下落幅が比較的穏やかであったこと、カナダ通貨安によるボーナスがあったこと等が考えられる。Mt. Milligan鉱山は2014年末時点でフル生産能力の80 %を達成したほか、Copper Mountain鉱山での新規クラッシャー導入やHighland Valley鉱山での新規ミルの稼働開始による生産増も生産額の増加に貢献し、2013年8月に発生したMount Polley鉱山(銅、金)における鉱滓ダムの決壊に伴う操業休止による生産減を含めても州全体として生産額が増加することとなった。

図3

(出典:Roundup講演資料)

図3. BC州の2014年の操業金属鉱山

 また、金生産額増加についても、Mt. Milligan鉱山による生産増に加えて、Bonanza Ledge鉱山(金)及びYellow Giant鉱山(金)が2014年に生産を開始したことで大幅な増加となった。Bonanza Ledge金鉱山は、年間で平均金品位9g/ tの鉱石73,500 tを生産する計画で、鉱量31,000 tで平均品位が金23.4g/ t、銀44g/ tの精測鉱物資源量が確認されているYellow Giant金鉱山も2014年8月に選鉱を開始し、2015年1月1日に商業生産に達している。
 モリブデンにおいては、価格低迷によりEndako鉱山が12月に操業を停止したが、年間生産量が前年比約18 %増加したことに加えて、2014年9月以降に価格が急落したものの全体としては2013年に比べて価格が高かったことことから生産額(推定値)は前年比46.6 %増となった。

表1. 2014年の操業金属鉱山

鉱山名 操業会社 鉱種 2014年生産量
(前年比増▲減)
備考
Bonanza Ledge Barkerville Gold Mines Au データなし 2014年7月操業開始
Copper Mountain Copper Mountain(75)
三菱マテリアル(25)
Cu
Au
Ag
36,605 t ( 7,212 t )
22,700 oz ( 500 oz)
456,800 oz ( 126,300 oz)
 
Endako Thompson Creek(75)
双日(25)
Mo 4,037 t (▲ 78 t ) 2014年12月操業休止
Gibraltar Taseko Mines(75)
双日(12.5)
DOWA(6.25)
古河機械金属(6.25)
Cu
Mo
60,963 t ( 5,897 t )
1,058 t ( 483 t )
 
Highland Valley Teck Resources Cu
Mo
122,700 t ( 9,500 t )
2,268 t ( 399 t )
 
Huckleberry Huckleberry Mines
– Imperial Metals(50)
– 三菱マテリアル(35.714)
– DOWA(7.143)
– 古河機械金属(7.143)
Cu
Au
Ag
15,430 t (▲ 3,264 t )
2,702 oz (▲ 281 oz)
183,221 oz (▲54,807 oz)
 
Mount Polley Imperial Metals Cu
Au
Ag
11,108 t (▲ 6,355 t )
25,901 oz (▲19,922 oz)
74,770 oz (▲49,229 oz)
2014年8月操業休止
Mt. Milligan Thompson Creek Cu
Au
29,302 t ( 24,585 t )
177,600 oz ( 157,200 oz)
2013年8月操業開始
Myra Falls Nyrstar N.V. Zn
Pb
Cu
Au
Ag
27,000 t ( 0 t )
1,500 t ( 600 t )
2,300 t (▲ 1,000 t )
23,600 oz ( 5,800 oz)
1,173,000 oz ( 355,000 oz)
 
New Afton New Gold Cu
Au
Ag
38,329 t ( 5,670 t )
104,600 oz ( 17,400 oz)
200,000 oz ( 0 oz)
2012年6月操業開始
Yellow Giant Banks Island Gold Au
Ag
データなし 2014年8月選鉱開始
2015年1月商業生産開始

(出典:各社HP)
※銅とモリブデンは一部換算の上で単位を統一。

1-2. 新規開発鉱山及び開発計画中のプロジェクト

 BC州では、2014年に操業を開始したYellow Giant鉱山とBonanza Ledge鉱山に加えて、現在2件のプロジェクトが開発中であるほか、州政府の環境審査オフィス(Environmental Assessment Office:BCEAO)の報告によれば、現在32件の鉱山開発計画が進行中であり、うち3件は審査中で、残り29件は申請前の段階である。ここでは、その中のいくつかのプロジェクトを紹介する。

図4

(出典:Roundup講演資料)

図4. BC州の新規開発鉱山

(1) Red Chris(銅、金)【操業開始】
 Imperial Metals社が100 %保有するBC州北西部に位置するプロジェクト。
 確定・推定埋蔵量は301.5百万 t、平均品位が銅0.359 %、金0.274g/ tで、1日38,000 tの鉱石を処理し、28年で銅20.8億 lb(約943,372 t、年平均約33,338 t)、金132.4万oz(約82.6 t、年平均約2.9 t)を生産する計画の露天掘り鉱山である。
 本プロジェクトは、2005年に州政府から、2006年に連邦政府からそれぞれ環境許認可を取得しており、Imperial Metals社は2007年に買収した後、2012年5月より建設を開始している。2014年第4四半期には送電線網の建設が完了し、2015年2月には精鉱の生産・出荷を開始した。

(2) Kitsault(モリブデン、銀)【開発中】
 Alloycorp Mining社が100 %保有するBC州西部の米国アラスカ州との国境近くに位置するプロジェクト。
 確定・推定埋蔵量が231.1百万 t、平均品位がモリブデン0.082 %、銀5.3g/ tで、1日40,000 tの鉱石を処理し、16年にわたり年間平均でモリブデン11,570 tの生産を計画している露天掘り鉱山である。
 本プロジェクトは、2014年6月に連邦政府による環境許認可を取得しており、2017年の生産開始を目指して開発を進めている。

図5

(出典:Roundup講演資料)

図5. BC州の開発計画中の主なプロジェクト

(3) KSM(銅、金、モリブデン)【環境許認可取得】
 Seabridge Gold社が100 %保有するBC州北西部の米AK州との国境近くに位置する、Kerr、Sulphurets、Mitchell及びIron Capの4つの鉱床から成るプロジェクト。
 2012年5月に発表した最新のPre-F/Sによれば、確定・推定埋蔵量が21.64億 t、平均品位が金0.55g/ t、銅0.21 %、銀2.74g/ t、モリブデン44.7g/ tで、露天掘り採掘及び坑内掘り採掘により採掘し、選鉱場にて1日130,000 tの鉱石を処理し、55年にわたり平均で金851千 oz(約26 t)、銅195百万 lb(約88,451 t)、銀2.1百万 oz(約65 t)、モリブデン1.1カレント・トピックス No.15-217百万 lb(約499 t)の年間生産量を計画している。最近でも既知鉱床の下部への延長が確認されており、更に鉱量が増加する見込みとなっている。
 本プロジェクトは、2013年6月より州政府及び連邦政府による環境影響評価プロセスを受け、2014年7月末にBC州政府による環境影響評価で承認を得ている。その直後に同州のMount Polley鉱山の鉱滓ダム決壊事故が発生したため、連邦政府による環境影響評価のパブリックコメントでは多くのコメントが寄せられたものの、最終的に同年12月には連邦政府からも承認を得ている。また、同年10月には初期段階の建設作業を行うための認可を取得しており、道路造設や使用、建設キャンプの設営等の初期建設作業を進めながら、操業に向けて必要となる100以上の許認可を取得していく予定としている。

(4) New Prosperity(銅、金)【連邦政府が環境審査で不認可】
 Taseko Mines社が100 %保有するBC州中央部付近に位置する銅・金開発プロジェクト。
 確定・推定埋蔵量が831百万 t、平均品位が銅0.23 %、金0.41g/ tで、1日70,000 tの鉱石を処理し、20年にわたり年間平均で銅108百万 lb(約48,988 t)、金247千 oz(約8 t)を露天掘り採掘により生産する計画となっている。
 本プロジェクトに関しては、当初Prosperityという名称で2010年1月にBC州政府の環境許認可を受け、同年6月には同州政府より25年の期限付き鉱業権リースを取得したが、同年11月に連邦政府は環境に多大な影響を及ぼすとして開発を却下した。その後、Taseko Mines社は環境影響を低減させた計画でNew Prosperityプロジェクトとして再提案したが、2014年2月に再び却下されたため、同社は翌3月に当該決定の無効を求めて司法審査を申請している。

(5) Brucejack(金、銀)【環境審査中】
 Pretium Resources社が100 %保有するBC州北西部の米AK州との国境近くに位置する高品位金・銀プロジェクトでKSMプロジェクトの東側約10 ㎞にある。
 2014年6月に公表した最新のF/Sでは、金が高品位のValley of the Kings鉱床(平均金品位15.7g/ t)と銀が高品位のWest Zone鉱床(平均銀品位279g/ t)を合わせて、確定・推定埋蔵量が16.6百万 t、平均品位が金14.1g/ t、銀57.7g/ tとなっており、18年にわたり年間平均で金404,000 oz(約12.6 t)を坑内掘り採掘により生産する計画である。
 本プロジェクトは、2015年3月にBC州政府の環境許認可を取得した。連邦政府による環境審査も近く完了すると見込んでおり、2017年の生産開始を目指している。

(6) Aley(ニオブ)【環境審査中】
 Taseko Mines社が100 %保有するBC州北部に位置するニオブ鉱山開発プロジェクト。
 2014年9月に発表した確定・推定埋蔵量は83.8百万 tで、平均ニオブ酸化物(Nb2O5)品位が0.50 %となっており、1日10,000 tの鉱石処理で年間平均9,000 tの(フェロニオブ中の)ニオブを露天掘り採掘により生産する計画となっている。
 2014年11月、Taseko Mines社がBC州政府及び連邦政府に対して本プロジェクトに関する詳細資料を提出したことで、環境影響評価プロセスに入っている。なお、連邦政府は、当該プロセスの監督・責任を州政府に一任している。

(7) Harper Creek(銅、金、銀)【環境審査中】
 Yellowhead Mining社が100 %保有するBC州中南部付近に位置するプロジェクトで、同社が2014年8月に公表した最新のF/S結果では、確定・推定埋蔵量が716百万 t、平均品位が銅0.26 %、金0.029g/ t、銀1.2g/ tで、1日70,000 tの鉱石を処理し、28年にわたり年間平均で銅精鉱231,000 t(平均品位25.5 %)の生産が計画されている。
 本プロジェクトの環境影響評価申請書は2014年12月にBCEAOに受理され、審査が開始されている。

(8) Schaft Creek(銅、金、モリブデン)
 Teck Resources社75 %、Copper Fox Metals社25 %のJV案件で、BC州北東部、KSMプロジェクトの更に北西に位置する。
 2013年1月にF/S結果を発表し、確定・推定埋蔵量が940.8百万 t、平均品位が銅0.27 %、金0.19g/ t、モリブデン0.018 %、銀1.72g/ tで、1日130,000 tの鉱石を処理し、21年にわたり年間平均で銅232,143千 lb(約105,298 t)、金201千 oz(約6 t)、銀1,195千 oz(約37 t)、モリブデン10,234千 lb(約4,642 t)を生産する予定をしていた。しかし、現在は初期投資額を抑えるために、最初の12年の操業に絞ったプロジェクトの最適化調査や環境ベースライン調査を実施中である。

1-3. 2014年の探鉱活動

 BC州政府の発表によれば、2014年の探鉱支出見込み額は338百万 C$で、うち石炭向けが105百万 C$、金属その他が233百万 C$となっており、全体として2013年よりも138百万 C$の減少となる見込みである。図6に示されるように、石炭の探鉱支出額は2013年比でほぼ同額であるのに対し、金属その他の探鉱支出額は大幅に減少している。

図6

(出典:Roundup講演資料)

図6. 探鉱支出額の推移

 探鉱鉱区の新規取得面積も、石炭がピークとなった2012年(710,368 ha)以降、2013年(197,681 ha)、2014年(75,952 ha)と2年連続で大幅に減少し、鉱物も2014年(942,181 ha)は前年(246,156 ha)から大幅に増加したものの、2012年(約3百万 ha)に比べると依然としてかなり低い水準となっている。
 一方で、探鉱支出額に見られるように探鉱活動は減速したものの、2014年もポーフィリー型鉱床、多金属鉱床、SEDEX鉱床、塊状硫化物鉱床など新たな鉱床の発見や鉱床の延長の確認、新たな鉱徴の捕捉等の探鉱成果が報告されている。ここでは、図7に示す地域区分の中で、特に探鉱活動が活発ないくつかの地域における2014年の主な探鉱結果について簡単に紹介する。

図7

(出典:BC州地質調査所)

図7. BC州地質調査所地域区分

(1) Skeena地域
 本地域には、前述のKSMやBrucejack、Schaft Creek等のプロジェクトのほかにも、Ascot Resources社のPremier-Dilworth(金‐銀)、Seabridge Gold社のRed Mountain(金)、JDS Silver社のSilvertip(銀‐鉛‐亜鉛‐金)等の多くのプロジェクトで探鉱が進められている。
 表2はRoundupの講演にて紹介された本地域におけるプロジェクトの2014年の探鉱ハイライトであるが、鉱脈鉱床であるDolly Vardenプロジェクト以外は全てポーフィリー鉱床である。

表2. Skeena地域の2014年の主な探鉱ハイライト

プロジェクト 探鉱会社 2014年探鉱結果
KSM (Au,Cu) Seabridge Gold Iron Cap鉱床とDeep Kerr鉱床のボーリングで鉱体を数多く捕捉し、資源量が大幅に増加する見込み
Bow (Au) Decade Resources 49.6m@Au:15.25g/ t
Hat (Cu,Au) Doubleview Capital 404.2m@Cu:0.25 %, Au:0.26g/ tの新たなポーフィリー鉱床を発見
Dolly Varden (Ag) Dolly Varden Siver
Hecla Mining
25.95m@Ag:712.19g/ t
Eaglehead (Cu,Mo,Au) Carmax Mining 521.1m@Cu:0.23 %,Mo:0.06g/ t,Au0.06g/ t
North ROK (Cu,Au) Colorado Resources 既知鉱化の250m下部で100m@Cu:0.21 %,Au:0.42g/ t、100.4m@Cu:0.31 %, Au:0.74g/ tを捕捉
Ootsa (Cu,Au,Ag,Mo) Goldreach Resources 668m@Cu:0.25 %, Au:0.17g/ t,Ag:3.34g/ t, Mo:0.033 %
Star (Cu,Au) Prosper Gold 324m@Cu:0.44 %, Au:0.22g/ t

(2) Omineca地域
 本地域には、前述のAleyプロジェクトのほか、過去に3百万oz(約93 t)の金と7億 lb(約317,515 t)の銅を生産したKemess South鉱山が位置しており、現在、AuRico Gold社がその近郊でKemess Underground銅・金・銀プロジェクトやKemess East金・銅プロジェクトを実施している。
 Kemess Eastプロジェクトでは、2014年の探鉱ボーリングで768 mで金0.44g/ t、銅0.39 %等が捕捉され、AuRico Gold社は2015年1月に鉱量55.9百万 t、平均品位が金0.52g/ t、銅0.41 %の概算資源量を発表した。

(3) Thompson-Okanagan-Cariboo地域
 本地域には、前述のHarper CreekやNew Prosperity等のプロジェクトが位置するほか、KGHM Ajax Mining社のAjax銅・金プロジェクト(ポーフィリー鉱床)、Ruddock Creek Mining社のRuddock Creek鉛・亜鉛・銀プロジェクト(堆積性塊状硫化物鉱床)、Spanish Mountain Gold社のSpanish Mountain金・銀プロジェクト(堆積性鉱床)、Avino Silver & Gold Mines社のBralorne金プロジェクト(鉱脈鉱床)等の進んだプロジェクトで探鉱が進められている。
 表3は、Roundupの講演で紹介された本地域の2014年の主な探鉱ハイライトである。

表3. Thompson-Okanagan-Cariboo地域の2014年の主な探鉱ハイライト

プロジェクト 探鉱会社 2014年探鉱結果
Ike (Cu,Mo,Ag) Amare Resources 247m@Cu:0.28 %, Mo:0.03 %, Ag:2.0g/ tや308m@Cu:0.26 %, Mo:0.032 %, Ag:1.8g/ t
Brett (Au) Ximen Mining 30.1m@Au:1.82g/ t
Ben (Ni,Co) Westhaven Ventures 70.6m@Ni:0.31 %, Co:0.012 %

2. BC州政府の鉱業促進策

 Roundup 2015のオープニングセレモニーにおいて、クラークBC州首相が講演を行い、同州全体や地域の経済や雇用の創出の面で鉱業は重要な産業であり、州政府として鉱業の更なる発展を支援する意向を示し、それを実行するため、来年度予算案における鉱業関連予算の増額と共にいくつかの鉱業促進策を発表した。その支援策には、従来からある税制による支援の延長に加えて、鉱業関連財源の増加や主要鉱山許認可庁の設立、検査体制の強化などが掲げられており、これらは、2014年2月に州政府が提案した新たな許認可手数料の導入に伴う議論に端を発している。

2-1. 新たな許認可手数料の導入の議論

 2014年2月21日、州政府は鉱山法(Mining Act)に基づく新たな許認可手数料の導入を検討するため、Discussion Paper1を公表し、翌3月末までパブリックコメントを募集した。石油や天然ガスのような他の天然資源分野や、森林、土地の分野では普及しているサービスごとの個別支払い方式(fee-for-service approach)を鉱物資源にも適用する。
 州政府は、様々な障壁を取り除き鉱業ビジネスを容易にすることによって、鉱物探査や鉱業活動を支援することを約束している。近年増加する新規鉱山開発に対してもプロセスの効率化や職員のレベル向上により許認可取得までに係る日数の大幅な改善を加速度的に進め、さらなるニーズの拡大に対応するため、安定した財源の確保が不可欠であるとの結論に至った背景がある。
 このDiscussion Paperに対するパブリックコメントの募集は、政府によるプレスリリース等の案内がされていなかったにもかかわらず、クチコミによって業界内で広がり、最終的に477ものコメントが提出されることとなった。
 州政府が2014年5月13日に公表したサマリーレポート2によれば、コメント提出者は428名にのぼり、その内訳は、小規模鉱山事業者(small-scale miner)又は砂金採掘者が過半数の220名、次いで小企業の経営者/雇用者が96名、鉱山会社/探鉱会社が39名、探鉱者20名、コンサルタント会社/地質技師20名、州の職員15名、各産業の協会8名、地方政府3名、その他7名となっている。この内訳からも明らかなように、この新たな許認可手数料の導入に最も敏感に反応したのは、事業規模が小さく当該手数料の導入による影響が相対的に大きい小規模企業や砂金採掘者、探鉱者であり、彼らは手数料免除とするか、金額の大幅な減少を求めた。また、AMEBCやBC州鉱業協会は、多くの大規模鉱山は探鉱者や探鉱企業による探鉱活動によって発見されたものであるが、これらの探鉱活動はキャッシュフローを生まずにベンチャー投資に頼っているため、この手数料が導入されればベンチャー投資が減少し、探鉱活動が低迷することで、BC州において新たな大規模鉱床が発見される機会は減少すると警鐘を鳴らした。また、地方政府や地方で小規模ビジネスを行う企業関係者からも、そうした鉱業活動の低迷により間接的に地方の雇用やビジネスに悪影響を及ぼすことを懸念するコメントが寄せられている。その他、鉱物資源の種類や許認可の内容、鉱山規模等による手数料の分類分けに対して是正を求める意見や、州政府は徴収した手数料を何に使うのかが分からないとする声、許認可や規制に関する問題にタイムリーに対応するためにエネルギー鉱山省の再編や鉱業関連予算に対する毎年10億 C$の追加予算配分を薦める提言等があった。
 こうした多くのコメントを踏まえ、州政府は以下の改善を行った上で当該許認可手数料を導入することを決定した。

  • ジュニア企業による小規模探鉱や砂金採掘、骨材、砕石に対しては手数料を徴収しない
  • 鉱業活動や生産能力に基づいた課金構造への見直しを行う
  • 全ての手数料分類に対する基準を明確にする
  • 産業界と更なる協議を実施し、後期ステージの探鉱や大規模な砂金採掘、骨材、砕石、及び主要鉱山に対する手数料案を確定することを約束する

2-2. 州政府による鉱業促進策

以下に、Roundupの場で発表された州政府による鉱業促進策について概説する。

(1) 2015年鉱物資源関連予算の強化
 国会の承認が必要となるが、州政府は2015/2016年の政府予算案において、エネルギー鉱山省・鉱山鉱物資源局に対する基礎財源を2014/2015年予算より6百万 C$増額となる17.1百万 C$とした。2014/2015年予算では基礎財源は11.1百万 C$であったが、新たな予算案では2011/2012年予算以降毎年計上されていた約5百万 C$の予備費を鉱業関連予算の基礎財源化した。これにより、より多くの検査の実施、許認可プロセスの改善や所要時間の短縮が期待できるとしている。
 また、来年度予算では前述した新たな許認可手数料による歳入が3百万 C$に上ると見込まれており、これにより鉱物資源関連予算総額は20.1百万 C$となる。

(2) 認可手数料の徴収
 前述の議論を踏まえ、新たな許認可手数料は、収益を生まないような探鉱企業には適用されないこととなった。本手数料の徴収により、年間で3百万 C$の収益が見込まれる。
 砂金鉱山、砂利採取場、採石場に対しては、操業規模により4,000 C$~32,000 C$の範囲で手数料を徴収する。また、鉱物や石炭の鉱山に対しては、下は簡易な許認可申請に対する10,000 C$から、上は鉱山審査委員会(Mine Review Committee)の設立を必要とする複雑な申請に対する125,000 C$までと、案件の性質によって幅を付けた手数料を徴収する。

(3) 主要鉱山許認可庁の設立
 BC州政府は、主要な鉱山の許認可に関する省庁間の調整を行う主要鉱山許認可庁(Major Mines Permitting Office)を設立する。同州では近年大規模な鉱山開発が続いており、今後数年間も各年最大10件程度の新規鉱山開発が見込まれている。開発に向けた許認可には多くの省庁がかかわっていることから、申請企業はその手続きに時間を要していたが、主要鉱山許認可庁の設立により、許認可プロセスの改善が期待できる。

(4) 地質工学的検査体制の強化
 現在までに、地質工学専門官を3名から7名に増員し、地質工学検査の数も直近3年間では年間平均で30件以上にまで増加させている。新たな基礎財源の獲得により、年間検査実施件数を更に増やすために職員を増員する。

(5) BC鉱業フロースルー株式制度3の延長
 投資家は当該株式の購入を通じて2015年末まで20 %の追加税控除が認められる。これによる2015年の税控除額は約10百万 C$と予想されている。

(6)新規鉱山手当の延長
 新規鉱山や大規模な拡張に対する資本支出の133%を税額控除できる新規鉱山手当(New Mine Allowance)を2020年まで延長する。

まとめ

 近年、金属価格の低迷が続いており、2011年をピークとして世界的に鉱業活動は低下傾向にある。特に、資金調達が難しくなっているジュニア企業を中心とした探鉱活動が停滞しているほか、開発の遅れや操業鉱山の操業休止等が相次いでいる。BC州も例外ではなく、2014年の探鉱活動は2013年に引き続き大幅に減少する見通しとなっている。一方で、2014年に2鉱山、2015年に入り1鉱山が生産を開始したほか、操業鉱山における生産設備の改善や周辺探鉱によって増産や鉱量拡大等の明るい話題も少なくない。今後、多くの大規模鉱山の開発が数年内に始まる見込みであり、2014年にも将来の開発が期待される新たな鉱床の発見や新たな鉱脈の捕捉も多く発表されている。
 BC州における鉱業は、経済と雇用の両面から州の重要な産業の1つとなっており、州政府は鉱業を積極的に促進する立場を明確にしている。2014年8月には、Mount Polley鉱山で鉱滓ダムの決壊事故が発生し、政府や鉱業関係者のみならず地元住民、そしてカナダ国内外でも、鉱業活動が及ぼす環境への影響の大きさが再認識される事態となったが、BC州政府はMount Polley鉱山の決壊事故を教訓とした検査体制の強化や予算強化を行うことで、引き続き持続可能な鉱業の発展を支援する姿勢を示している。
 2014年6月にはBC州で先住権原が初めて認められる歴史的判決もあり、鉱山開発には先住民との協議や同意の取り付け等が求められるほか、北部を中心にインフラが十分整備されていないなどの難しい面もあるが、カナダという先進国としての政治的な安定と州政府による強力なサポート、今後も新たな鉱床の発見が期待される資源ポテンシャルから、州政府が強調するように、BC州は世界の探鉱をリードする魅力的な鉱業投資先となる可能性がある。


  1. http://www.empr.gov.bc.ca/Mining/Permitting-Reclamation/Documents/Mines_Act_Fee_Discussion_Paper_February_2014.pdf
  2. http://www.empr.gov.bc.ca/Mining/Permitting-Reclamation/Documents/Permit_Fee_ConsultationSummaryReport_14May2014_final.pdf
  3. フロースルー株式制度とは、探鉱に係るカナダ連邦政府による税控除制度で、株式発行法人が株式の対価額相当まで探鉱費用と開発費用を投じることが出来るという合意のもとに発行する株式をいい、税法上、探鉱開発費用はフロースルー株式を購入した投資家(納税者となる個人並びに会社)の経費(費用)とみなされる。投資家にインセンティブを与えることにより収益のないジュニア探鉱企業でも市場からの資金調達を容易にするもので、BC州では独自に追加的な投資税額控除を認めている。

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