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報告書&レポート

2017年9月1日 調査部 金属資源調査課 小嶋吉広
17-19

ボーキサイトの生産と中国の輸入状況

<調査部 金属資源調査課 小嶋吉広 報告>

はじめに

中国は世界のアルミニウム地金生産及び消費の約55%を占めており、最新の貿易データによれば2017年上期の中国のボーキサイト輸入相手国はギニアが豪州を抜いて1位となった。ボーキサイトの生産や中国による手当の状況について以下報告する。

1.ボーキサイト生産国

ボーキサイトの生産国を図1に示す。2013年に第2位であったインドネシアは2014年1月の鉱業法改正による輸出禁止に伴い2014年以降、生産量は急減した。それを補うように、マレーシアの生産量が2015年に急伸(2014年 3,266千t→2015年 24,187千t)。しかしながら、ボーキサイト鉱山が多く立地するPahang州(マレー半島東部)において、鉱山周辺での環境汚染拡大が顕著となり、2016年1月より採掘が停止された(ストックパイルについては引き続き輸出可能)。2016年はギニアの生産量が対前年比53%増加し、豪州、中国、ブラジルに続く第4位の生産国となった。

図1.ボーキサイト生産国

図1.ボーキサイト生産国

出典:World Bureau of Metal Statistics

2.アルミニウム地金の生産量

アルミニウム地金の生産は2011年以降、中国の生産が急激に拡大し、2016年は世界全体の生産量の内55%を中国が占めた(図2参照)。中国を除く世界全体の生産量について見ると2007年は25,598千t、2016年は25,676千tと直近10年間で殆ど変化はない。

図2.アルミニウム地金生産国

図2.アルミニウム地金生産国

出典:World Bureau of Metal Statistics

3.アルミニウム地金の消費量

アルミニウム地金の消費量も2011年以降、中国の消費量が増大し、2016年の中国の占める割合は55%となった(図3参照)。2016年単年では、需要(58,0087千t)が上述の地金生産量(57,546千t)を461千t上回った。

図3.アルミニウム地金需要

図3.アルミニウム地金需要

出典:World Bureau of Metal Statistics

4.中国のボーキサイト輸入状況

世界第一のアルミニウム地金生産国であり消費国である中国のボーキサイト輸入について見る。2014年1月までは中国の主な輸入相手先はインドネシアであり、中国の輸入量全体の6~7割を占めていた。2014年1月の鉱業法改正に伴う輸出禁止によりインドネシアからの鉱石輸入は激減。2014年中は、輸出禁止前に輸入され、ストックパイルされたインドネシア産鉱石があったことから各月の輸入量は1,000千t(純分換算)以下で推移した。

その後、インドネシア産鉱石のストックパイルが底をつき始め、2015年3月頃よりマレーシアからの輸入が増大。マレーシアからの輸入は2015年9月にピークを迎え、輸入量全体の55%を占めるに至った。しかしながら2016年1月のPahang州でのボーキサイト採掘禁止により、マレーシアからの輸入は減少。その後はマレーシア産鉱石の減少をギニア産鉱石が補完する形となった。

2016年6月、中国の輸入量(全体)は1,052千t(純分換算1)まで一旦減少したが、その後は国内のインフラ投資拡大による建設需要や自動車生産拡大等により増加傾向に転じた。2017年6月には、2015年12月以来1年半ぶりに2,000千t(同)を超え、ギニアからの輸入はうち約4割を占めている。

図4.中国のボーキサイト輸入量(アルミニウム純分換算(換算率30%))

図4.中国のボーキサイト輸入量(アルミニウム純分換算(換算率30%))

出典:Global Trade Atlas Data(HS Code: 260600)

ギニア産鉱石の輸入拡大の背景として、豪州産との価格差縮小が挙げられる。主要輸入国からの輸入単価を図5に示す。ギニアからの輸入単価は2012年には80US$/t(グロス)近くまであったが、2014年以降急速に下落し、2016年には54.6US$/tまで下がった。第2位の輸入相手国である豪州との価格差を見ると、2014年は18.04US$/tであったが、2015年は7.12US$/t、2016年は9.71US$/tまで縮小している。

図5.中国のボーキサイト輸入単価(グロスt当たり)

図5.中国のボーキサイト輸入単価(グロスt当たり)

出典:Global Trade Atlas Data(HS Code: 260600)

5.ギニアのボーキサイト生産状況・企業

5-1 ギニアの生産状況

ギニア最大のボーキサイト鉱山Sangaredi鉱山は、世界第5位の生産量を誇り、2016年の生産量は16,023千t(ギニアの生産量の58%)。プロジェクト会社(Compagnie des Bauxites de Guinée社、以下「CBG社」)の持ち分比率は、ギニア政府49%、Rio Tinto 22.95%(オペレーター)、Alcoa社13.77%、Alumina Ltd.社9.18%、Dadco Investments Ltd社5.1%。1973年に生産を開始し、コンセッション(操業許可)の有効期限は2040年迄。オペレーターであるRio Tintoの引取量は権益見合い分(3,677千t)を上回る7,210千t。Rio Tintoが保有するボーキサイト鉱山において生産量ではWeipa鉱山、Gove鉱山(いずれも豪州。Rio Tintoが権益100%保有)に次ぐ第3位となっている。Rio Tinto Groupの10.1%の議決権をChinalcoが保有しており、Rio Tintoと中国の関係は深い2

Rio Tinto、Alcoa社に次ぐ同鉱山第3位の権益保有者であるAlumina Ltd.社(本社:メルボルン)に関しては、CITIC Resources Holding Ltd.(中信資源控股有限公司、以下「CITIC Resources社」)傘下のCITIC Resources Australia Pty. Ltd.が同社の株式の18.3%を保有しており、最大の実質株主(Substantial Shareholder)となっている。CITIC Resources社のアニュアルレポートによれば、Alumina Ltd.社株の評価益(1,045百万香港ドル(約15,090百万円))により2016年のCITIC Resources社の株主帰属利益は363百万香港$(約5,242百万円)の黒字転換。アルミニウム製錬事業は、CITIC Resources社の収入において最大セグメントとなった。

5-2 CBG社による拡張計画

Sangaredi鉱山のプロジェクト会社であるCBG社は現在、生産量拡大(年産18,500千t規模)へ向けた拡張投資を行っており、所要資金700百万US$のうち200百万US$をIFC(国際金融公社)が資金支援(返済期間15年、据置期間3年)。IFCによれば、CBG社によるギニア政府への裨益効果として毎年約150百万US$の歳入(ギニア政府の鉱業による歳入の50%以上、ギニアのGDPの4%に相当)が見込まれ、また雇用面では2,300名の正規雇用と2,900名のコントラクターが期待できるとのこと。

またCBG社は2013年、アブダビの政府系投資ファンドであるMubadalaとの間で、新規ボーキサイト鉱山(年産12百万t規模)の開発資金として50億US$の投資を受け入れに合意。鉱石生産のうち4.9百万t/年をEmirates Global Aluminium社(アブダビ)がオフテイクする予定(2017年12月より供給開始予定)。新規ボーキサイト鉱山はSangaredi鉱山周辺に立地し、ボーキサイトの生産が今後順調に進んだ場合、Emirates Global Aluminium社は将来的に同地にアルミナ工場を建設する計画である。

おわりに

中国は世界全体のアルミニウム生産の55.3%を占め、また地金消費では54.0%を占めている。他のベースメタルについて世界の需要に占める中国の割合(中国占有率)を見ると、銅が50.0%、鉛41.3%、亜鉛48.1%であり、ベースメタルの中ではアルミニウムが最も中国占有率が高い。このためアルミニウム市況は、中国の需給動向による影響をより受けやすい構造にあると言える。中国では現在、環境規制強化に伴い旧式の一部アルミニウム製錬所が操業停止になるなどの措置が講じられており、中国の動向については引き続き注視して参りたい。

またメジャーの機能という観点では、Rio Tintoは複数の操業鉱山を有し、鉱山生産や海運市況等を勘案しつつ、中国等新興国の需要に応じて複数ソースから安定的に原料供給するというメジャーとしての強みを発揮している(海運市況はここ数年比較的落ち着いている(図6参照))。さらにその信用力を背景に、公的国際金融機関や政府系ファンドより資金調達を行うことでコスト削減を図っており、それが競争力の源泉の一つとなっているとも言える。

図6.バルチック海運指数の推移

図6.バルチック海運指数の推移

出典:Bloomberg

1 純分換算率30%

2 2017年6月、Rio Tintoは中国Minmetal社との鉱物資源探査に関する協力や、中国国有資産監督管理委員会との覚書締結を発表。

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