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報告書&レポート

2017年11月28日 ボツワナ・地質リモートセンシングセンター 専門調査員 石川潤一
17-31

タンザニアの銅精鉱輸出禁止とその意図

<ボツワナ・地質リモートセンシングセンター 専門調査員 石川潤一 報告>

はじめに

2017年3月3日、タンザニア政府は金銅精鉱の輸出禁止を発表した。当初は国内で付加価値がある製品を製造させる意図だとする憶測もあったが、猶予期間も設定しない禁止に疑問ももたれた。アカシア・マイニング社とその親会社のバリック・ゴールド社への厳しい姿勢や連動する法制度の変更など、タンザニア政府とマグフリ大統領の政策や志向性が注視され現在に至っている。

本稿では、タンザニア政府とバリック・ゴールド社の暫定合意(10月19日)までの推移と今後の可能性について報告する。

1.マグフリ政権の姿勢と政策

タンザニアは独立後、国営企業主導の経済政策を推進していたが、1980年代に入り経済は危機的状態に陥り、1986年以降、世銀・IMFの支援を得て市場経済へと転換し、規制緩和等を通じ経済改革の推進を試みた。90年代は経済は停滞したものの、その後2000年頃より農業、製造、建設、不動産等の産業が順調に伸展し、バランスのとれた成長がみられた。また、貧困削減に向け、人口の約7割を占める農業分野の成長と生産性向上についても努められてきた。

2015年11月に就任したマグフリ大統領は、以前から汚職等に厳格に対処する力強い閣僚として「ブルドーザー」の異名をとってきた。大統領就任後も際だった熱意をもって緊縮財政と汚職撲滅に取り組み、閣僚数を11人減らして19人としたほか、独立記念日の式典の中止や議会開会日の夕食会の予算の90%以上の削減等を実施した。一方で衛生の改善やコレラの拡大防止の為の大規模な清掃活動を行い、自らも路上でゴミ拾いをしたという。更には、海外への公式訪問中止、大統領等の飛行機のファーストクラス・チケット購入禁止、公費によるクリスマス等のグリーティングカード発行禁止、遅刻した公務員の6時間収監、政府の会議やワークショップの政府の建物内での実施を命令した。英連邦の代表団も50人減らして4人とし、更に今年に入り公務員9,932人について学歴詐称等を理由に解雇している。本稿のテーマである精鉱輸出に関しては、今年5月にSospeter Muhongoエネルギー鉱物大臣及びタンザニア鉱物資源監査局(TMAA:Tanzania Minerals Audit Agency)のDominic Rwekaza最高責任者を鉱物輸出における監視が不十分だったとし罷免した。

このような強い指揮をとれる事情には、マグフリ大統領の個人的な資質や理念だけでなく、国民から直接選挙される大統領に権限が極度に集中した同国の大統領制も関係すると思われる。各省大臣、副大臣、州知事、県知事等の行政機構内の政治ポストだけでなく、官僚のトップである事務次官も大統領の任命下にある。行政からは独立すべき最高裁判所判事や会計検査院長も大統領の任命によるものである。更に政府の行政機構の組織改編の権限も大統領が握っており大統領に権力が集中している。

マグフリ大統領の反汚職や反脱税、反怠慢の強い姿勢は、最近の天然ガス開発の成果や税収増加によるインフラ投資拡大の期待もあり、国内外から一定の評価を受けた。しかしながら、一方では、民営化された工場の操業状況を調査するなど民営化路線を見直し、国家管理の色彩の濃い施策も散見されるようになってきている。今年の7月27日には操業停止中の民営工場について19日以内に操業を開始しないと工場を差し押さえ再国有化する可能性があると通告している。実際に8月に入り、Cashewnut選鉱プラントとPugu カオリン鉱山などの10事業所を差し押さえる意向を示している。

こうした一連の強権的な政治姿勢には各方面からの反発がある。大規模な政治集会では、大統領の無遠慮にもみえる権力行使や即興的な方針決定が批判されている。解雇された公務員のある者は経歴がもっと精査されるべきだと批判する。イスラム協会は、タンザニアではイスラム教徒がキリスト教徒よりやや多いにも拘わらず、政府の重要な地位からイスラム教徒を排除して大統領の同一種族に割り当てたと非難している。

2.タンザニアにおける金鉱業

タンザニアでは、金、銅、ダイヤモンド、石炭のほか、貴石としてのタンザナイトが生産されている。特に、金の産出量は46.5t(2011年)で、アフリカでは、南アフリカ、ガーナに続いて第3位の生産量を誇っている。同国のGDPに占める鉱業セクターの比率は2014年に3.7%と高くないが、2015年の鉱産物輸出額は13.7億US$と輸出全体額の24%を占め、鉱産物輸出額のうち金は90%以上を占める重要な輸出産品となっている。2016年の金の生産量は55.3tで、世界では19位、アフリカでは南アフリカ(165.6t)、ガーナ(95.6t)に続いて第3位の産金国である。

図1に世界の主要な金生産国の生産量比率、図2にタンザニアの主要金属鉱山を示す。

図1.世界の主要な金生産国の生産量比率

図1.世界の主要な金生産国の生産量比率

(2016年 World Gold Councilのデータより作成)

図2.タンザニアの主要金属鉱山

図2.タンザニアの主要金属鉱山

(JOGMEC「世界の鉱業の趨勢 2015:タンザニア」より引用)

3.アカシア・マイニング社

今回渦中となった企業はアカシア・マイニング社(以下アカシア社)というロンドン証券取引所に上場、タンザニアで金鉱山を経営するタンザニア最大の鉱山会社である。同社は株式の63.9%をバリック・ゴールド社が所有する。2000年にタンザニアでバリック・ゴールド社の一部門の位置づけで創業し、バリック・ゴールド社のBulyanhulu鉱山を引き継いだ。同年、更にPangea Goldfields社からBuzwagi鉱山とTulawaka鉱山を買収し業容の拡大が図られた。2006年にはバリック・ゴールド社がPlacer Dome社の買収を通じてNorth Mara鉱山を入手したが、現在アカシア社が経営するところとなっている。

North Mara鉱山の操業を巡っては地域との紛争が絶えず、アカシア社の頭痛のタネとなっている。2008年には約200人の集団がNorth Mara鉱山敷地に侵入して施設を破壊し、被害は約1,500万US$に及び露天採掘が一時閉鎖された。その後も同鉱山とその付近では断続的に敷地侵入や暴動などがあり、今日までに警官等により65人が殺され270人が負傷したとされ深刻な事態になっている。North Mara鉱山では、もともとは鉱山の廃石から低品位の鉱石を漁っていて追い出された村人が抵抗して拘束されたりしていたが、傍観している人々も同様に逮捕されたり射殺されたりしたことから、憎悪と暴力の悪循環に陥っている模様である。直接に発砲したり逮捕したりするのは警察官だとしても、バリック・ゴールド社やアカシア社が背後にいると地域住民からは思われ、現在でもこれらの企業は悪印象をもたれてしまっている。

こうした中、政府はアカシア社のBulyanhulu鉱山とBuzwagi鉱山について、今年の1、2月分の輸出向けの銅金精鉱を調査したところ、極めて大きな乖離があったと報告した。アカシア社は精鉱中には金量として38,800ozが含まれていると政府に申告してあったところ、政府は546,746ozもの金が含まれているとし、激怒した。アカシア社は、これは世界最大級の金山が二つ無い限り達成できない金量で事実と異なると反論した。

4.銅精鉱の輸出禁止

こうした中、タンザニア、エネルギー鉱物省は、2017年3月3日付で、鉱物採掘関係者に向けて、金、銅、ニッケル及び銀を含む金属鉱物の精鉱の輸出を2017年3月2日から禁止すると発表した。同輸出禁止令は、「The Mineral Policy 2009」、「The Mining Act 2010」内で強調されているように、金属鉱物に関わる活動がタンザニア国内で実施されることを保証するものとし、金属鉱物の高付加価値化によって、雇用機会の創出、収益の獲得、技術移転へとつながり国に利益をもたらすと説明した。

これに対してアカシア社は2017年3月24日のプレスリリースにて、金、銅、ニッケル及び銀の精鉱輸出禁止令の撤廃を試み、政府の主要関係者及びその他ステークホルダーと議論を交わしていることを伝えた。

長期に渡りタンザニアに投資をしている同社は、プレスリリース内で現地のビジネス支援に全力を尽くし、タンザニアの製錬所建設の経済性を評価するために、第三者専門家による新たな調査を政府と共同で実施する支援を申し出た。また、輸出禁止による同社の影響にも触れ、同社のBulyanhulu及びBuzwagi金鉱山を合わせた直接的な影響として、一日当たりの平均的な売上損失が100万US$以上になると公表し、更に、2017年4月末までは通常操業を継続するが、輸出禁止令が今後も続くなら通常操業の継続を再評価し、併せて輸出禁止令撤廃に向けてタンザニア関係当局に働きかけることに焦点を当てると発表した。

タンザニア政府は、精鉱を製錬のために国外に輸出している事業者は、早急にこれを止め、高付加価値化の活動を国内で実施し始めるよう促しており、国内での鉱物選鉱、製錬、精錬活動に関わるステークホルダーへの必要な支援を提供するとしている。更に政府は金、銅、ニッケル、銀の精鉱の輸出禁止令を発表し、鉱業会社による未申告輸出の可能性を調査した。調査結果ではアカシア社が金、銅及び銀の輸出申告はしているが、チタン、イリジウム、亜鉛といったその他鉱種の申告をしていないことが明らかになった。アカシア社は違法行為を否定し、大統領によるエネルギー鉱物大臣及び鉱物資源監査局長の罷免も、政府と業界間の緊張の高まりを反映したものと受け止められている。

2017年7月21日、マグフリ大統領は鉱山会社に対して、過少申告により未払いとなっている税金に関する紛争解決の議論を先延ばしにする場合、すべての鉱山を閉山させると述べた。また、投資家の名のもとタンザニアの富を奪う企業が管理するよりも、こうした鉱山をタンザニア人に所有させ、採掘、取引、税金を納めさせるほうが良いとした。これまでにタンザニア政府は、3月に銅精鉱の輸出を禁止、7月に入ってからは、鉱物の増税、契約の再協議、鉱山会社の株の半分を政府が所有する事等を定めた法律を可決している。こうした一連の騒動により、アカシア社の株価は半分に下落した。同社は、政府が鉱物砂の輸出禁止令を取り消した場合、2018年の頭には配当の再開を計画しているとしているが、大統領のこうした発言により、7月21日の株式市場では17%以上の株価下落で終わった。また、ロイター通信によると、国内のアカシア社に勤務する外国人従業員の就労許可も停止された。

タンザニア政府はアカシア社に対し、売り上げの約200年分に相当する1,900億US$(約21兆円)の支払いを求めた。内訳は400億US$(約4兆4,000億円)の税金のほかと利息と罰金の1,500億US$とされる。これはアカシア社が7月24日に明らかにしたもので、2000年以降のBulyanhulu鉱山とBuzwagi鉱山からの無申告輸出収入が対象だという。アカシア社は全収入を完全に申告しているとの見解をあらためて示した。同社株は発表を受けて株価の下げが拡大し、ロンドン市場で21%下落。16年1月以来の安値を付けた。

7月31日には、アカシア社の親会社のバリック・ゴールド社とタンザニア政府の交渉が開始された。

2ヶ月半以上の後、10月19日にダルエスサラームで、マグフリ大統領とバリック・ゴールド社のジョン・ソーントン取締役会長が暫定合意を発表した。同暫定合意では、アカシア社はタンザニア政府に3億US$を支払い、将来の事業からの経済的利益を同国と分割することが提案されたている。バリック・ゴールド社は更に、タンザニア政府との最終合意に向けて作業を進め、アカシアの確認・承認を経て、「作業は18年上期に完了する見通しだ」と説明した。

5.法制度の変更

上の動きと関連して、マグフリ大統領は2017年7月上旬に鉱業、石油およびガスの事業への政府の規制を強化する次の3法案を裁可した。

  • ① 天然資源契約法(理不尽な事項に係る再調査と再交渉の法)= The Natural Wealth and Resources Contracts (Review and Re-negotiation of Unconscionable Terms)Act, 2017(”Unconscionable Terms Act”):投資家と国家の協定の中で議会が不合理だと考える事項について、政府が再交渉したり無効としたりしなければならないとする。
  • ② 天然資源法(恒久的主権法)= Natural Wealth and Resources (Permanent Sovereignty) Act, 2017(”Permanent Sovereignty Act”)
  • ③ 鉱業法修正法= The Written Laws(Miscellaneous Amendments)Act, 2017 (”Miscellaneous Amendments Act”) amends the Mining Act, 2010(“Mining Act”):鉱業を規制する鉱業委員会を設立。粗鉱の貯蔵、運搬、高品位化の必要項目を総点検。鉱産物権益のうちの政府の持ち分を増やす。

基本的な考え方としては、天然資源についての恒常的な主権はタンザニアの国家にあり、今なおWin-Winの原則の下に外国投資家にビジネスは開かれているが、鉱業や天然ガスへの規制は引き締める。タンザニア国民は鉱物資源から利益を得なければならない。

天然資源契約法は、タンザニアの天然資源について獲得・採掘・抽出・利用に関する政府によって締結されたいかなる投資家-国家間協定(鉱山開発協定を含む。)でも、議会に再調査する権限を与える。議会は、もし協定が不合理と考えるなら、政府に協定について再交渉するよう指示することもできる。政府はこの指示を投資家に知らせる。再交渉を始めるまでは協定は効力を有するが、関係者は90日以内に不合理とする協定を修正しなければならない。

天然資源法は、すべての投資家と国家の協定が後日、議会で承認されねばならず、タンザニア国民の利益を「完全に保証」しなければならない(「完全に保証」という語の定義は不明確)。安定化条項(Stabilisation Clauses)は、期間が限定された場合のみ有効で、時に、「経済的な均衡」の原則に基づいて十分な再交渉が可能である。同法は鉱山会社が政府に「公正な権益」を与えるよう求める。「公正な権益」とは、関連法で規定する鉱業権または特別鉱業権で操業する全ての鉱山会社の権益のうち最低でも16%は、希釈することができず対価を支払わない(non-dilutable free)権益とすることである。政府の権益は、鉱山会社の同意の下に最大で50%まで増やせる。更に、金属鉱物の場合、ロイヤルティは鉱産物の粗生産額の4~6%とし、宝石とダイヤモンドの場合は5~6%とする。

法改正により、タンザニアで得ることができない物品やサービスも、タンザニア企業が最低でも25%の権益を持つ合弁企業から入手しなければならない。

天然資源法と鉱業法修正法は、鉱山会社が粗鉱を選鉱のためにタンザニアの国外に輸出することを禁じ、国内における選鉱施設の設置を要求する。採掘(抽出)後、粗鉱はまず安全な施設に保管され、5日以内に政府の鉱物格納施設に移さなければならない。そこから鉱産物は国内の選鉱施設に運ばれる。資格を持つ鉱産物取引業者に売却され、政府による事前の許可を得て輸出される。

鉱業活動で得た全利益は、タンザニアの金融機関に預金されなければならず、タンザニアの国内法に従う場合に限り本国に送金することができる。また、鉱産物の権益所有者は、タンザニアの国内経済の成長に向けて、操業から得た収入の一部(まだ比率は決められていない)を再投資しなければならない。

天然資源法は、投資家が国際紛争解決機関に訴えることを禁じ、天然資源に係る紛争は「いかなる外国の法廷あるいは裁判所でも議題にされてはならない」と規定する。

関連法(その他の改正)は新しい鉱業委員会の設立を定める。同委員会は、鉱業法の施行に責任を負う。一方、エネルギー鉱物省は主として政策の発展と実施に集中する。鉱業委員会の機能は、鉱業法、健康安全法および環境法の遵守に係る監理と規制、鉱業活動で生み出された収入に係る事項についての政府への助言、および鉱業活動に起因する紛争の解決である。なお、同法のAnnex Bに鉱業委員会の全ての機能が示される。

また、次の機関を設立する。

  • ① 鉱区管理局(Mining Cadastre): 鉱業権と選鉱権の出願の受理と処理、およびこれらの権利の管理および公的な鉱区管理図や登録台帳を維持に責任を持つ。
  • ② 国立金・宝石備蓄局(National Gold and Gemstone Reserve): 全ての利益とロイヤルティが保管され、ここで全鉱産物が政府によって購入または没収される。重要な点は、全ロイヤルティの3分の1は精製した鉱産物で同局に払わなければならないことである。
  • ③ 国立鉱産物保管局(Government Minerals Warehouse): タンザニアの鉱産物権益保有者によって抽出された全金属鉱物と宝石を保管する中心的な管理機関である。
  • ④ 国立鉱物資源データ銀行(National Mineral Resource Data Bank): 鉱業法の下で集められた全データを保管。

その他の改正点としては、鉱山会社は、地方の計画に沿ってタンザニア市民を訓練し雇用する。地方自治体当局とともに企業の社会的責任を果たす。定められた倫理的職業習慣を守り、汚職に対する国のキャンペーンを支持する。そして、鉱業活動に起因する環境汚染による損害を償うとされる。

6.今後の見通し

マグフリ大統領は従来の民営化路線を批判しており、タンザニア政府は、以前に民営化されたが操業していない事業所の差し押さえや国有化を行っている。国内に有力な企業がない状態で外国企業の力を借りずに国内で大規模な資本集約型の事業を興すには国有企業とならざるを得ないという考え方は理解できるが、企業が競争力を保てるかどうか疑問はある。9月に入り大統領がタンザナイト鉱山の周囲に壁を造れと軍に命令した。政府が宝石を買収し脱税を防止する意図によるものと考えられる。

政府による監理の徹底化の進行および大統領の一連の言動により、外国投資家はタンザニアへの興味を失い始めている。すなわち、実際に政府による頻繁な介入は、企業のFS(事業化調査)をやり直しさせる。輸出鉱産物の価値の1%の検査手数料および収益の再投資の強制は、特に鉱産物価格が低迷している時期の事業の採算性を著しく悪化させる。

但しこの程度の反作用をマグフリ大統領と周辺が予測しなかったとは考えがたく、今後の展開は、同大統領の構想および新たに打ち出す政策にかかっている。

おわりに

今回の法改正が現実に執行されれば、ほとんどの外国企業はタンザニアへの資源投資を積極的に推進することはできなくなるであろう。法改正で主張されている鉱業権益の政府持ち分として新たに16~50%(フリーキャリー)の要求、生産物(精鉱等)を政府機関の管理、自由な利益送金の禁止、海外仲裁の禁止など、こうしたあまり前例がないほどの制約や規制は、これまで外資に対して比較的開かれた国として認識されていたタンザニアの認識を根底から覆す内容と言えよう。

タンザニアは世界貿易機関(WTO)の加盟国である。関税および貿易に関する一般協定(GATT)の下で、新法令はタンザニアの義務を約束し、国際的な貿易規則で、新法令による鉱石の輸出規制は、輸出割り当てと輸出許可の制度になるとも言われるが、法案はGATTで禁止されている輸出規制に該当する恐れがあり、タンザニアが他のWTO加盟国から法的異議を唱えられる可能性がある。更にタンザニアは、多数国間投資保証機関(Multilateral Investment Guarantee Agency)の署名国で、国際投資紛争解決センター(International Centre for Settlement of Investment Disputes)の批准国でもあるが、それらの諸点に、恒常的主権法で投資家が国際紛争解決機関に訴えることを禁じる内容が抵触して、これらの機関や協定との矛盾が生じる可能性も考えられよう。

North Mara鉱山に象徴される地域住民とのトラブルについては、住民も生活がかかっており、「不法採掘」だからと追いつめるのは妥当でない。以下の複数の方策が検討されるべきであると考える。

  • ① 地域住民の雇用。
  • ② 採掘者に組合を組織させ、同組合に一定地域の地表付近の採掘を認める。
  • ③ 住民の安全教育を徹底させる。

いずれにせよ、紛争を警察まかせにするのでなく、企業が積極的な社会的解決策をとっていく必要がある。

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