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報告書&レポート

2018年4月27日 メキシコ 事務所 森元英樹・佐藤すみれ
18-09

ドミニカ共和国鉱業の現状

~鉱業投資環境整備の遅れが今後の展望を不透明に~

<メキシコ事務所 森元英樹・佐藤すみれ 報告>

はじめに

2012年8月に就任したDanilo Medina Sánchez大統領(以下、Medina大統領という)は、エネルギー及び天然資源に関する政策立案、実施の一元化を図るとともに、許認可の迅速な処理を進めるとして、2014年にエネルギー鉱山省を創設した。しかし、同省創設から約3年以上が経過したものの、鉱業分野は、1971年に制定された鉱業法(法146-71)による制度運用となっており、同法改正案について現在大統領府で検討が続いている状況にある。

今回、ドミニカ共和国を訪問し、鉱山行政を所管するエネルギー鉱山省及び関係機関、鉱業・石油会議所、鉱山企業関係者からドミニカ共和国鉱業の現状について情報を得ることができたので、これらの情報を基に現状を報告する。

1. ドミニカ共和国鉱業をとりまく政治・経済、エネルギー事情について

1.1.政治情勢

ドミニカ共和国は、大統領を元首とする複数政党制の議会を有する立憲共和制をとり、大統領が統括する行政府、二院制の立法府、司法府による三権分立制を確立している国である。なお、政府関係者によると、二院間の優越はなく、法案の可決するプロセスは、基本法は議会の2/3以上、一般法は過半数により可決される。大統領は、国民の直接投票により選出され、任期は4年、連続再選は憲法上禁止されていたが、2002年の憲法改正により連続再選が可能となった。直近では、2016年にMedina大統領が選挙に勝利し再選を果たしている。

Medina大統領は、経済政策、財政改革、電力安定化対策に加え、教育予算のGDP比4%確保、「サプライズ訪問」と呼ばれる地方訪問による、農民への低金利貸付、学校、病院建設など、低所得者層を対象とした社会プログラムを実施してきた。その結果、近年の公共事業に関連する政府関係者の汚職事件による影響はあるものの、経済政策等において一定の評価が得られており、Medina大統領の支持率は高い水準を維持している。

外交面では、米国、欧州諸国との協調関係を維持しつつ中南米諸国との関係緊密化を図り、国際的なプレゼンスを高めている。しかし、隣国ハイチ共和国とは歴史的な背景もあり引き続き種々の問題が発生している。近年は、不法入国による雇用、医療費、治安等の問題が発生しており、Medina大統領はハイチ共和国との国境監視などによる不法入国対策を強化している。また、2017年6月、パナマ共和国は中国との外交関係を樹立させたが、ドミニカ共和国は一貫して台湾との外交関係を維持している。しかし、ドミニカ共和国と中国は、両国に通商代表部を設置するなど、経済面での関係構築を続けており、最近では、中国企業による水利事業、低コスト住宅建設、廃棄物焼却施設の投資計画が発表されるなど、経済面での関係は強化されていると考えられる。

  • 写真1.大統領府(筆者撮影)

    写真1.大統領府(筆者撮影)

    写真2.コロンブス広場の彫像(筆者撮影)

    写真2.コロンブス広場の彫像(筆者撮影)

1.2.経済情勢

かつてのドミニカ共和国は、砂糖、コーヒー、カカオ、タバコなどの伝統的一次産品の輸出国であったが、1990年代以降は、フリーゾーン工業団地からの輸出、観光産業などへの外国投資誘致により好調な経済成長を続けてきた。2002年には米国経済の悪化、観光産業の停滞、国内銀行の破綻による財政逼迫からマイナス成長となったものの、IMFの支援の下、財政健全化、経済対策を推進したところ、経済は徐々に回復。2003年に40%(IMF)を超えていたインフレ率(2018年のインフレターゲット:4%±1%)は、2005年以降10%を下回り、2015年2.3%、2016年1.7%、2017年4.2%(中央銀行)と安定している。また、2000年末時点の1人当たりのGDPは2,870US$であったが、2008年の金融危機による影響はあったものの同値は順調に増加し、2012年のMedina大統領就任時には6,000US$を超えており、2017年には7,477US$(中央銀行)となっている。さらに、経済成長率は、2014年7.3%、2015年7.0%、2016年6.6%、2017年4.6%(中央銀行)と観光産業が貢献し、堅調に推移している。その結果、表1に示すとおり、ドミニカ共和国は、中米・カリブ諸国においてトップクラスの経済国となっている。

また、輸出額についても、米・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(DR-CAFTA)等の自由貿易協定締結を背景に拡大している。2017年のフリーゾーン輸出額(中央銀行)は、前年比3.7%増の5,695百万US$、フリーゾーン以外からの輸出額は、鉱業主力産品である金が6.9%減となったものの、フェロニッケル、銅、銀、亜鉛に加え、アボカド、砂糖といった農産品が増加した結果、1.7%増の4,426百万US$となったことから、輸出総額は前年比1.4%増の10,120百万US$となった。

表1.中米諸国の主な経済指標

表1.中米諸国の主な経済指標

出典:メキシコ事務所作成(IMF、中央銀行等より)

1.3.エネルギー情勢

フリーゾーンでは、繊維業に加え、情報通信サービス、医療機器・製薬、電気・電子製品といった業種の多様化が進み、全国に68か所にあるフリーゾーン参入企業は600社を超えている。さらに、観光業を中心とする急速な経済成長に伴い、エネルギー需要は増加傾向にある。このため、産業界からは、停電が続く現状を踏まえ、安定的且つ多様なエネルギー供給体制(図1:ドミニカ共和国の電源構成)の整備を求める声が上がっている。

現在、エネルギー鉱山省は、再生可能エネルギー促進、省エネルギー推進、そして自国石油・天然ガス開発に取り組んでおり、特に、電力安定供給については、大規模火力発電プラント建設を進めている。電力監督本部(SIE)は、国家エネルギー委員会(CNE)の承認を得て、コンバインドサイクル天然ガス焚き火力発電所を含めた「エネルギー2000」を作成、また、米AES DOMINICANA社は、首都Santo Domingo東部約30kmにあるAES Andres発電所にLNG受入基地を併設させる複合化プロジェクトを進め、LNG受け入れを含めた国内外供給体制の整備を図っている。同社は、表2に示すとおり、ドミニカ共和国内に6つの発電プラントを保有しているが、2014年10月から260百万US$を投じLos Mina発電所のコンバインドサイクルへの改修工事を進めている。同工事は、2017年第2四半期に接続試験の一部が終了し、改修後には同発電所の能力は324MWに拡大する予定である。

また、CDEEE(ドミニカ電力公社)は、Pervia州Catalina市に石炭火力プラント2基(752MW)のPunta Catalina発電所建設を進めており、1基は2018年下期、もう1基は2019年第1四半期に稼動を開始する予定である。今後2年間でドミニカ共和国の発電能力は約900MW増加することとなり、ドミニカ共和国の電力供給体制は安定期へと移行すると考えられる。

図1.2017年末のドミニカ共和国の電源構成

図1.2017年末のドミニカ共和国の電源構成

出典:メキシコ事務所作成(ドミニカ電力産業協会より)

表2.AES Dominica社がドミニカ共和国に保有する発電設備

表2.AES Dominica社がドミニカ共和国に保有する発電設備

出典:メキシコ事務所作成(AES Dominicana社HPより)

1.4.石油・天然ガス上流部門の現状

Alberto Reyes炭化水素副大臣によると、現在、エネルギー鉱山省は、炭化水素鉱区の入札準備を進めている。2018年3月末現在、入札予定鉱区の解析作業まで終了しており、4月以降、入札制度設計を進め、議会承認後、陸上2鉱区、海洋2鉱区の計4鉱区の入札プロセスが開始されることとなる。ドミニカ共和国は、一次エネルギー供給の多くを化石燃料に依存している国で、大部分が輸入であり、国際経済、市場の動向が同国に与える影響は大きい。そのため、ドミニカ共和国は、エネルギー鉱山省を創設し、炭化水素法を制定し、自国での炭化水素開発の準備を進めてきた。同副大臣は、一部はガス鉱区であるが、ドミニカ共和国にとって自国での炭化水素開発は悲願であり、第1回目の入札はドミニカ共和国のエネルギー開発の試金石となるとの認識を示した。

2.ドミニカ共和国鉱業について

2.1.ドミニカ共和国鉱業行政

写真3.エネルギー鉱山省(筆者撮影)

写真3.エネルギー鉱山省(筆者撮影)

鉱業行政は、Medina大統領のイニシアティブによりエネルギー鉱山省(写真3参照)が創設される2014年4月まで商工省が所掌してきた。

初代エネルギー鉱山大臣は、エネルギー鉱山省の創設を熱心に提唱してきた下院議員Pelegrín Horacio Castillo Semán氏が就任、そして、2015年5月からは、Antonio Isa Conde氏(以下、Isa大臣という)が就任し、現在に至っている。なお、Isa大臣は日本の自動車メーカーの代理店を経営している人物でもある。

エネルギー鉱山省の組織は、大臣の下に、会計、総務、情報通信の管理部局、そして、図2に示すとおり、鉱山副大臣、エネルギー副大臣、炭化水素副大臣、インフラ保安副大臣、原子力副大臣、省エネルギー副大臣が配置されている。それぞれの関係行政は、各副大臣をトップとした部局が担当し、気候変動、人材育成などの業種横断政策については大臣直轄の管理職が設置されている。

現在、鉱山行政は、Lisandro Lembert Varona副大臣が管轄し、鉱山技術管理局が計画部、統制部、促進部、監査部を統括する体制になっており、鉱山技術管理局の職員数は7名(局長以下の職員は各部を併任しているとの局長による説明)とのことであった。また、エネルギー鉱山省の支援機関として、国家エネルギー委員会(CNE)、電力監督本部(SIE)、国家地質センター(SGN)、鉱山総局(DGM)が大臣直轄で設置されており、SGNは鉱山開発、地質学的リスクの回避、環境保護に係る地質調査等を行い、DGMは鉱区申請の技術審査、鉱業権登録を行う機関である。

2.2.2018年のドミニカ共和国鉱業の課題

鉱山技術管理局長によると、鉱山技術管理局による鉱業法改正案の策定作業は終了しており、現在、同案は大統領府にて審査中である。議会での鉱業法改正案の審議は大統領府の承認後に開始されることとなる。

2018年4月、Pueblo Viejo鉱山周辺住民、地域活動家が公開討論会(Foro)を開催し、同鉱山のロイヤルティの速やかな地方移転を政府に要請しているが、鉱山技術管理局長は、2018年の鉱業分野の主要課題として、地方政府の鉱業ロイヤルティの管理の問題を挙げている。鉱業ロイヤルティは、鉱山周辺の市町村に分配されるものであるが、使用に係るルールが定められていないことから、地方政府関係者の着服事件が発生している。このため、同局は、管理機関がロイヤルティを適切に管理し、地方政府がロイヤルティを使用する際は、政府へ事前申請するという、規則の制定(可能であれば法令化)が必要と考えている。

また、中小・零細鉱業企業対策の整備についても早急に進める必要がある。現在、多くの違法採掘者が主に琥珀、ラリマールという装飾品に使用する鉱石を鉱区無登録のまま採掘している。これらの中小・零細企業は坑内採掘を行っているが、技術、知識に乏しいため、事故が発生しており、安全管理、労働環境整備などの対策が求められる。

図2.ドミニカ共和国・エネルギー鉱山省鉱業部門関連組織図

図2.ドミニカ共和国・エネルギー鉱山省鉱業部門関連組織図

出典:メキシコ事務所作成(エネルギー鉱山省提供及びヒアリングより)

2.3.ドミニカ共和国鉱業の現状

ドミニカ共和国鉱業は、1999年まで国有企業Rosario Dominicana社による鉱業開発が行われていた。民間開放が行われたのは、Rosario Dominicana社が保有していたPueblo Viejo鉱山を1999年に閉鎖した以降である。このため、現段階でドミニカ共和国のGDPに占める鉱業・採石業の割合は2%程度であるが、その割合は図3のとおり増加している。

図3.ドミニカ共和国GDPに占める鉱業・採石業の割合

図3.ドミニカ共和国GDPに占める鉱業・採石業の割合

出典:メキシコ事務所作成(中央銀行資料より)

また、外国直接投資額に占める割合を比較すると、例えば2011年外国直接投資額2,277百万US$に対し、鉱業・採石業投資額は1,060百万US$と5割を占める。鉱業プロジェクトなど巨大プロジェクトがあると突出した結果となることから2010~2017年の外国直接投資額を合計し、同額(19,823百万US$)に占める鉱業(3,425百万US$)等の割合を比較したものが図4である。鉱業が同額に占める割合は約17%と商業・工業に次ぐ投資分野となっている。

図4.外国直接投資額分野別割合

図4.外国直接投資額分野別割合

出典:メキシコ事務所作成(中央銀行資料より)

その他、フリーゾーン以外からの輸出額に占める鉱業の割合は約4割と高く、鉱種別では表3に示すとおり金がフリーゾーン以外からの輸出額の約8割を占めている。また、ニッケルは、市況低迷のために一時操業を停止していたFalcondo鉱山が、買収を経て2016年に操業を再開し、2017年のフェロニッケル輸出額は152百万US$まで回復している。なお、2017年鉱業輸出額は、金の輸出額が対前年比6.9%減となったことから、前年比1.2%減の1,766百万US$となった。

表3.ドミニカ共和国フリーゾーン以外からの鉱業輸出額の推移(2010~2017年)

表3.ドミニカ共和国フリーゾーン以外からの鉱業輸出額の推移(2010~2017年)

出典:メキシコ事務所作成(中央銀行資料より)

現在操業している主要鉱山(表4、図5参照)は、以下のとおりである。

・2008年に操業を開始し、2010年に加Globestar社から豪Perilya社(中国資本)に売却されたCerro de Maimon鉱山

・2012年に操業を開始した加Barrick Gold 社(60%)・加Goldcorp社(40%)が保有するPueblo Viejo鉱山

・同じく、2012年に操業を開始し、現在、廃さいダムの活用による処理能力向上プロジェクトを進めている豪Pan Terra Gold社が保有するLas Lagunas鉱山

・ニッケル市況低迷による操業停止に加え、拡張予定であった周辺地域Loma Miranda地区が国立公園指定されるなどの問題が発生し、その後、Glencoreの子会社Falconbridge Dominicana社のAmericano Nickel Limited社への売却を経て2016年に操業を再開したFalcondoニッケル鉱山

・ボーキサイトを産出するPedernales鉱山

表4.ドミニカ共和国主要鉱山の生産量推移(2010~2015年)

表4.ドミニカ共和国主要鉱山の生産量推移(2010~2015年)

出典:メキシコ事務所作成(鉱業・石油会議所、各企業情報より)

図5.主要鉱山・プロジェクト及び製錬所位置図

図5.主要鉱山・プロジェクト及び製錬所位置図

出典:メキシコ事務所作成(エネルギー鉱山省、鉱山・石油会議所資料等より)

2.4.鉱業法改正の動向

ドミニカ共和国鉱業は、1971年に制定された鉱業法(法146-71)により鉱業政策を進めており、鉱業法に抜本改正をしないまま、環境等の規則を整備してきた。

2014年に創設されたエネルギー鉱山省は、鉱業法を現在の環境、金属市況に適応させる必要があるとして、鉱山技術管理部が中心となり、鉱業法改正案を検討してきた。同技術部長は、2018年1月、同案を大統領府へ提出し、大統領府にて同案の確認作業が行われている。そのため、同改正案の国会審議時期は未定と述べた。また、今回の鉱業法改正の主要点はロイヤルティ率の改定にあり、現行法では利益に対し、所得税、ロイヤルティ、コンセッション料の率が定められているが、ロイヤルティについては金属、非金属に分け、金属市況の変動による追加税率が設定されることになる。また、ドミニカ共和国では、外国企業が鉱業を先行しているため、法律のドミニカ・ペソ(RD$)表示をUS$表示する案も盛り込まれていると付け加えた。

これに対し、鉱業・石油会議所関係者は、今回の鉱業法改正案には反対の立場である。その理由は、改正案の総合税率は、他の鉱業国に比して高くなり、国際競争力で劣後するからである。これに対して、エネルギー鉱山省は企業の意見は全く聞き入れていない。また、改正案の検討中は、鉱業コンセッションの承認手続は停止状態にある。特に、ドミニカ共和国の次なる大型鉱業プロジェクトとして期待される加Gold Quest Mining社がSan Juan州に保有するRomero金プロジェクトに関しては、エネルギー鉱山省はコンセッションを承認したにも係わらず、大統領府にて環境分野の確認を行うとして手続がストップしていると述べた。さらには、同プロジェクト周辺住民は、水質汚染を懸念する開発反対意見を寄せているが、San Juan州はMedina大統領の出身地であることから、大統領府による承認プロセスは長期化する可能性があると付け加えた。

なお、地元紙によると、2018年3月、地方裁判所(San Juan de la Maguana)は、市民団体から提訴された開発工事差し止め請求に対し、同プロジェクトの鉱業活動停止を命じたが、同4月、ドミニカ共和国上級行政審判所が同停止命令を棄却するなど、混沌とした状況が続いている。

Pueblo Viejo鉱山元関係者は、ロイヤルティの支払いに加え、同鉱山は、コンセッション取得時に、政府と地域活動費の支払い、1999年に操業停止した同鉱山の元操業企業であるRosario Dominicana社が発生させた鉱害対策費の支払いなどの個別にドミニカ共和国政府と契約した支出があり、加Barrick Gold社が他の鉱業国に保有する鉱山と比較すると、税を加えた支出額はトップクラスであると述べた。

2.5.鉱山労働者賃金の状況

中央銀行のサンプリング調査による業種別月収によると、1時間当たりの鉱業・採石業の平均賃金は、図6に示すとおり157RD$(2018年4月現在:1US$=48RD$)と全業種で最も高くなっている。

図6.業種別1時間あたりの平均賃金(単位RD$)

図6.業種別1時間あたりの平均賃金(単位RD$)

出典:メキシコ事務所作成(中央銀行資料より)

また、図7に示すとおり鉱業・採石業の1時間当たりの平均賃金は、2000年比で約5倍にまで上昇している。Pueblo Viejo鉱山元関係者は、鉱山労働者の賃金は上昇しているものの、南米鉱山国と比較してもドミニカ共和国の賃金は安価であると述べている。鉱山労働者の技術水準はあまり高くないが、管理職クラスは、米国等で教育を受けており、2018年3月12日付けで就任した同鉱山会社社長も米ジョージタウン大学にて法学博士号を取得し、同鉱山の開発時から法務担当を務めてきた女性であると述べた。

図7.鉱業・採石業1時間当たりの平均収入の推移

図7.鉱業・採石業1時間当たりの平均収入の推移

出典:メキシコ事務所作成(中央銀行資料より)

おわりに

ドミニカ共和国にとって鉱山開発は、雇用問題、地域住民に有効な経済対策の1つとなると考えられる。しかし、地球温暖化による海面の上昇、気候変動との関係が指摘されているハリケーン襲来による被害と、環境分野に敏感な反応を示すドミニカ共和国にとって地球温暖化、水の確保といった問題は、経済対策と同様に非常に重要な要素となっている。現在、環境面での審査を大統領府で行っているRomeroプロジェクトはMedina大統領の出身地の案件であり、同大統領の2020年大統領選挙の出馬の可能性が取り沙汰されはじめている現段階において、上述の観点を踏まえると、2014年のエネルギー鉱山省創設後も毎年報じられる鉱業法改正を含めた鉱業の議論がどこまで進展するかは不透明な状況であると言える。このことがドミニカ共和国鉱業に与える影響は大きく、メキシコ事務所としては、鉱業法改正案及びRomeroプロジェクトを含む鉱業案件の承認手続をニュース・フラッシュで発信し続けるとともに、改正案の審議が行われ、議会が承認した際には、その詳細をカレント・トピックスにて発信することとしたい。

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