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報告書&レポート

2019年9月4日 リマ 事務所 栗原健一・村井裕子
19-20

鉱業フェアMINPRO 2019参加報告

<リマ事務所 栗原健一・村井裕子 報告>

はじめに

2019年6月25日、26日の2日間にかけて、ペルー共和国リマ市において鉱業フェアMINPRO 2019(VII Encuentro de Mineros y Proveedores)が開催された。1日目は主に鉱業セクターのサプライヤーや鉱山企業による展示や商談会が行われ、2日目は鉱山企業によるプロジェクト進捗状況や今後の見通しに関する講演が実施された。特に、現在最大120日間の鉱山建設許可一時停止中にあるTia Maria銅プロジェクトに対する鉱山建設許可付与の行方が注目される中で行われたSouthern Copper社の講演にはひと際多くの聴衆が集まり、入場が制限されるなど関心度の高さが伺えた。本稿では2日目に行われた講演7件の概要を紹介する。

1.Tia Maria銅プロジェクト

<講演者:Southern Copper社 Raúl Jacob副社長>

2回目となったEIAが承認された1のが2014年8月1日、その後「Reencuentro」や「Valle Unido」等の社会対策プログラムを実施してきた。中央政府も本プロジェクトを優先鉱業プロジェクトのひとつと位置づけてきた。2018年11月にエネルギー鉱山省からEIA手続きに関する書類上で14か所の不備が指摘されたが、これらはいずれも社会・環境面ではなく、技術やコストに係る事項であった。これらの指摘には全て回答し、(手続き上)建設許可を得る準備は万事整っている。

では、一旦は政府が付与した建設許可に対して、反対運動を行う地域住民の人々は何を懸念しているのか。 (1)鉱山とTambo川の位置関係、(2)発破による粉塵と振動の発生、(3)鉱業廃水の滲出、(4)海水淡水化プラントによる漁業への影響、の4つの点である。これらに対する当社の見解を示したい。

(1)鉱山とTambo川の位置関係

本プロジェクトはTambo渓谷から最短で3km、Cocachacra村の集落からは7kmの距離に位置している。Tambo川の水は一切利用せず、またTambo川への排水も一切行われない。そして重要なのは、リーチング・SxEw法が用いられることから、いわゆる「廃滓」が発生せず、これを保管する必要がないことである。国内外において、農業地帯となっている渓谷付近で問題なく操業している鉱山はいくつも存在する。例えば、チリCandelaria鉱山は有名なブドウ産地であるCopiapo渓谷の近傍に位置しているが、米国や欧州へのブドウの輸出が継続されていることが、鉱害が存在しない、環境に配慮した責任ある操業が行われている何よりの証拠である。

(2)発破による粉塵と振動の発生

(Toquepala鉱山での発破の様子を写真で示し)発破地点から約100mの場所に大型ショベルが停車しているが、発破技術には高い信頼があるため高額な建機から近距離で発破を行うことができる。発破の頻度は2日おきで、1回の発破の持続時間は5秒ほど、振動は500m以上離れた場所ではほとんど感じられない。粉塵は100m以上の高さに達することはなく、風は渓谷から砂漠に向かって吹いており、風向きの条件に恵まれている。その他、散水やドームの設置による粉塵対策も実施する。環境への影響を最小限にとどめる様々な技術や対策を用いる一方で、地域社会における経済便益を最大にする近代的な鉱業である。

(3)鉱業廃水の滲出

Taptadaピットは地質的に古く、密度の高い地層・地質となっている。調査の結果、砂漠と渓谷の間に水の往来はなく、これら2つのエリアは自然に隔てられていることが確認されている。しかし、万全を期してリーチングエリアでは遮水シート等を利用して5重の遮水構造を作り、さらに漏洩を検知するセンサーを取り付ける計画である。Toquepala鉱山でも類似のリーチングプラントが存在し、問題は生じていない。

(4)海水淡水化プラントによる漁業への影響

海水淡水化プラントは約800m3/時間の海水を処理し、半分が淡水化され、残り半分の塩分濃度の濃くなった海水を海に戻す仕組み である(高濃度の海水が局所的な生態系に与える影響については定量的な評価が行われていないものの、Southern Copper社からは、放流地点から500m程度拡散すれば水域全体の環境に対してはほとんど影響しない旨の見解が述べられていた)。

以上のことから、Tia Maria銅プロジェクトはTambo渓谷には位置せず、Tambo川の水は利用しない上、川への排水も行わない。騒音や粉塵により住民に迷惑をかけることもない。また農業への悪影響もなく、CSRを通じた医療、農業、牧畜、職業訓練等の貢献プログラムを実施する。加えて、上下水道整備プログラムの費用として24mPENを拠出する予定である。Tambo川は火山地帯を流れているため、元来ホウ素やヒ素、マンガンの成分が高いものの、現在Islay郡で使用されている上水システムでは適切な処理ができていないため、住民は処理が不十分な水を摂取している状況にある。

2018年7月のIslay郡の住民アンケートでは、地域にとって最大の問題は「汚職」で、次いで「雇用」であった。また現在操業中の鉱山は、操業前に得ていたよりも高い支持を得ているほか、61%が雇用増に期待している。また、40以上の様々な団体や組織からプロジェクトの開発を要請する書簡が提出されている。

政府とともに、当初の暴力などが発生した争議や対立状況を乗り越え、開発準備は整ったと感じている。過去の争議を終結させ、次の新たな段階が始まる入口にいる。そこには、開発許可が必要である。

2.Mina Justa銅プロジェクト

<講演者:Marcobre社 Enrique Rodríguez社長>

Mina Justa銅プロジェクトはIca州の伝統的な鉱業エリアであるSan Juan de Marcona区に位置し、海抜平均800mで、幹線道路や電力システム、港等への良好なアクセスの他気候にも恵まれている。

約400kmの長大な試錐調査を経て、2016年から2017年にFSを実施し、酸化鉱と硫化鉱の双方を採掘する方針が定められ、2018年9月に開発を決定した。現在は計画どおりに鉱山建設中で、2020年末にランプアップ開始、2021年初頭に生産開始見込みである。

採掘は露天掘りで、大小2つのピットから酸化鉱・硫化鉱を採掘する。酸化鉱はリーチング、SxEw法により銅カソード(99.99%)を、硫化鉱は浮遊選鉱により精鉱を生産し、平均生産量は銅カソード58千t/年、銅精鉱149千t/年の見通しである。San Juan港に酸化鉱の処理に必要な硫酸400千t/年の入荷専用のターミナルを設置する一方、銅カソードはPisco港、銅精鉱はMatarani港から出荷する予定で、プロジェクトの投資額は1,600mUS$、マインライフは16年と見込まれている。

操業に必要な水は100%海水を利用する。San Juan港で取水し、約40km離れた鉱山設備に送水、このうち飲料用や一部のプロセス向けのみ淡水化し、大部分のプロセスでは海水をそのまま利用する。

社会対策では、特に水資源(飲料水)や雇用を重要なテーマと捉えている。水資源については、住民による利用を優先するためにEIAを修正して海水の利用を決定するとともに、官民連携公共事業のスキームを利用し、5千人に供する上下水道改善プロジェクトに取り組んでいる。

さらに、地域開発のポテンシャルについて様々な分析をした結果、2014年から観光促進事業に取り組んでいる。特に美しい景観や19のビーチがあるPunta San Juan自然保護区及びSan Fernando自然保護区の観光開発を実施し、2014年から2018年までの観光集客が50人から2,300人に大幅に増加したほか、レストランやホテル、旅行代理店が新たに開業する等、地域経済推進に貢献している。この事業は、「争議の可能性を発展の機会に置換する」との考えのもと、地域のポテンシャルを生かした、鉱業に依存しない持続的な開発を実現することで、将来的な 社会争議の防止を目的としている。

その他、教育分野においても官民連携公共事業による技術専門学校の拡張・改善プロジェクトや教育水準改善プロジェクトを実施している。これらにより、地域社会からの受容を一歩ずつ積み上げていくとともに、持続的な地域の発展に貢献していきたいと考えている。

3.Minera Lincuna社の生産力向上プロジェクト

<講演者:Minera Lincuna社 Miguel Angel Sanchez Valdez社長>

Minera Lincuna社は、鉛、亜鉛及び銀を産出する多金属鉱山を有する企業である。同社の生産力向上プロジェクトでは、Ancash州Aija郡Recuay区において、Hercules、Coturcan、Sanson、Leslie、Caridad等の歴史的な鉱業地域に20,000haの鉱区を所有、労働者1,200名を雇用し、古い坑内掘り鉱山の再開発を行うと共に、積極的な探鉱による資源の増加に取り組んでいる。その生産量は、銀が2018年の1百万ozから2019年は1.79百万oz、鉛は同6,142tから11,103t、亜鉛は同6,662tから12,507tと増産となる見込みで、銅も存在する。売上高の内訳は銀が50%、鉛20%、亜鉛30%となっている。

2018年に廃滓堆積場を再構築し、2019年は第2廃滓堆積場の拡張を実施中である。現在3千t/日の粗鉱処理の許可を得ており、2019年末にこの上限の処理量に到達する見込みで、2020年に3.6千t/日への拡張を申請する見通しである。

現在、これら旧鉱山周辺を中心に積極的な試錐調査を実施しており、2023年までに大規模鉱山に成長させたい考えである。また、サプライヤーのうちAncash州の企業が10%となっていることから、地元企業のポテンシャルを高める取り組みを実施していきたい。

4.Gold Fields社のペルーでの投資計画

<講演者:Gold Fields社 Luis Rivera副社長>

Gold Fields社は、ペルーでは2007年にCerro Corona金・銅鉱山(Cajamarca州)の操業を開始した。2018年は金150千oz、銅32千tを生産し、売上高の内訳は金48%、銅52%であった。価格により金、銅どちらかに生産の重きを置くかを決めている。

またペルー国内に雇用406名、契約会社1,700社があり、売上高350mUS$、投資額1.5bUS$、年間の納税額は54mUS$に及ぶ。

2016年12月時点では、Cerro Corona金・銅鉱山は2019年に閉山作業が開始され、2023年に閉山、これに伴い2千名の雇用が失われる見通しであったが、同社が掲げる「持続的な金鉱山の世界的なリーダーであれ」とのビジョンのもと、マインライフを2030年まで伸ばすべく戦略を転換し、①保安、②環境、③地域社会、④従業員、⑤生産、⑥コスト、⑦価値創出の7つの柱に注力した。2030年までのマインライフ延長を目的としたプレFSを2018年に実施し、現在は詳細設計を含むFSを実施中で、さらに2034年及び2036年までの延長可能性 についても検討している。

Cerro Corona鉱山の生産コストは2018年予算においてAIC(All-in cost)でおよそ800US$/oz、近年新たな投資で若干の増加傾向にあるが、高い競争力を持っている。

地域社会対策について、鉱山企業は地域の開発における重要な役割を果たす立場にある一方、決して国の代わりにはなれず、なるべきではないため、社会プログラムの実施に際しては、必ず中央・地方政府機関と共に行動することが重要である。現在、Cajamarca州において州政府と共にCOAR(成績優秀者向け中学校)の建設を実施中である。さらに、特に水と保健・衛生に力を入れており、上水道プロジェクトでは2020年までに直接影響範囲の95%に飲料水が提供される見込みで、また同州に多い貧血患者率は2014年の76%から2017年には27.2%に減少した。また、600人以上の生徒に奨学金を付与し、従業員の30%が地元の5つの地域コミュニティに属しており、恒常的に若い学生等を対象とした教育プログラムや鉱山見学等を実施している。

写真1.Gold Fields社Luis Rivera氏による講演の様子

写真1.Gold Fields社Luis Rivera氏による講演の様子

5.Magistral銅プロジェクト

<講演者:Nexa Resources 社 Eduardo Leónエンジニアリング・プロジェクト部長>

Nexa Resources社は、ペルーでCerro Lindo鉱山、El Porvenir鉱山、Atacocha鉱山を操業し、2018年にはそれぞれ亜鉛換算で245千t/年、90千t/年、45千t/年を生産し、Cajamarquilla精錬所 で333千t/年の亜鉛地金を生産した。

また探鉱プロジェクトとして、Cañon Florida(探鉱)、Hilarión(探鉱)、Pucaqaqa(プレFS)、Shalipayco(プレFS)、Magistral(FS)を実施している。

このうちMagistralプロジェクトはAncash州の北部に位置する、銅とモリブデンの露天掘りプロジェクトである。ピットは急傾斜で、採掘、一次破砕の後にベルトコンベアで貯鉱場(2日分を保管)に輸送し、磨鉱、浮遊選鉱の工程となる。年間に銅40千t、モリブデン3千t、銀600千ozを生産し(但し精鉱中の金属含有量として) 、マインライフは16年の見通しである。操業では水をリサイクル利用するが、余剰分は処理した後河川に放流する。廃滓堆積場は、従来のような高い水分を含む廃滓ではなく、濃度を上げて廃滓中の含水率を低下させることで、安全性・安定性を高める 。2016年に粗鉱処理量30千t/日までのEIAが承認された後、プロジェクトの正味価値を高めるために2018年に新たにプレFSを開始、試錐調査と冶金試験を実施した。2019年にプレFSが完了、取締役会により承認され、現在2度目のFSを開始しており、2023~24年の生産開始を見込んでいる。また現在、環境・社会・経済面を改善すべくEIAの修正申請に対する審査を実施中である。住民合意もとれており、本プロジェクトが同社にとって確実に次の開発鉱山となる見込みである。

写真2.Nexa Resources社Eduardo  León氏による講演の様子

写真2.Nexa Resources社Eduardo León氏による講演の様子

6.鉱業におけるプラットフォーム「EVA」の成果とインパクト

<講演者:持続可能環境投資許可庁(SENACE) Alberto Barandiarán長官>

持続可能環境投資許可庁(SENACE)は今回の講演で唯一の政府機関である。環境省傘下の独立組織で、環境影響詳細調査(EIAD)2や本調査の修正申請に対する審査のほか、技術根拠報告書(ITS)等の審査を行う。その他、環境コンサルタント登録の管理も行っている。

ペルーでは、2000年以降に環境関連法規や環境省、環境評価監査庁(OEFA)等の制度・組織が整備され、SENACEは2015年に設立された。設立以降、各セクターで行われていた審査業務が段階的にSENACEに移管され、鉱業・エネルギー、運輸、農業、漁業、固形廃棄物セクターの移管が完了している。さらに現在、下水、一般産業、住宅セクターの移管を実施中で、来年には保健、観光、通信、防衛セクターに着手する予定である。

かつて各セクターによって環境影響調査(EIA)の審査が行われていたことが、審査プロセスに対する不信感や争議の原因になっていた。SENACEのミッションは、EIAの審査だけでなく、EIAに対する信頼性を付与し、結果として持続的な投資を実現することである。

ペルーはOECD加盟に向けたプロセスにあるが、OECDによるEIA審査の分析の結果、高い水準の審査やEIAを保証するためには、SENACEの予算や人材を強化する必要があるとの勧告を受け、2018年にはSENACE組織強化法が制定された。

本法制定後、SENACEではオンラインプラットフォーム「EVA」を導入し、現在は審査官111名の体制で審査しており、これまでに受理1,287件、うち審査済み1,167件、審査中120件である。審査済み案件のうち、承認720件(62%)、却下96件(8%)で、残り30%は自主的な手続きによる取り下げ等である。セクター別では、最多が運輸セクター35%で、鉱業セクター28%が続く。審査中の案件には、鉱業セクターのEIAD及びEIAの修正申請に対する審査9件(投資総額1,255mUS$)が含まれる。

SENACEによる業務実施 により、審査にかかる時間は大幅に縮小した。例えば2016年、各セクターにおけるEIADやEIAの修正申請に対する審査には平均220営業日を要したが、現在SENACEは平均146営業日で実施している。ITSの場合は37営業日から27営業日に縮小した。他国と比較しても、競争性の高い迅速な審査となっている。

7.鉱業セクターの展望

<講演者:Scotiabank Guillermo Arbe経済研究部長>

鉱業セクターのリスク要因のひとつが金属価格で、ここ2年ほど米中の貿易摩擦による影響を受けている。両国による制裁の発表直後に価格が下落、対立が一時的に緩むと回復し、対立が再燃すると再び下落傾向に入るなど、ボラティリティーが高く不安定である。この20年ほどで市場の特徴は大きく変わった。過去と異なり、必ずしもファンダメンタルズに基づく動きをせず、投機マネーの動きが非常に流動的で先を読みづらい。これは国、鉱山企業、サプライヤー全てにとってリスクであるといえる。

その他リスク要因として挙げられるのは社会争議で、多くの案件が中止又は延期されてきた。2010年当時、Mina Justa銅プロジェクトの操業開始予定は2013年だったが、現在は2021年となる見通しである。同様に2018年7月に開発意思決定を行ったQuellaveco銅プロジェクトは、当初2014年の開発予定だった。また、Conga金プロジェクトは当初2014年に操業開始の予定だったが、現在は未定となっている。ペルーには数多くのプロジェクトが存在するが、社会問題と数多くの許認可手続きが障害となっている。

また、国による監督・監査が、合法的な企業に対しては非常に厳格に実施される一方で、不法企業に対してはほとんど実施されず、アンバランスな状況にあるという指摘もある。国にとっての鉱業の重要性が、更に広く深く認識されるべきである。

おわりに

鉱業フェアMINPRO2019は、図らずも2019年8月末に迎えるTia Maria銅プロジェクトのEIAの有効期限が迫り、政府関係者等から建設許可の付与が漏れ聞こえる一方、反対派による抗議デモが活発化するタイミングでの開催となった。その影響か、各社の報告はいずれも、プロジェクトの進捗そのものよりも地元住民や社会対策にいかに貢献しているかといった内容に重点が置かれたものとなっていた。当日は、Tia Maria銅プロジェクトの反対派と思われる参加者も認められ、同プロジェクト報告の際には会場への入場者が制限されるなど、物々しい場面もあった。

本稿の執筆時点では、同プロジェクトに対して政府が建設許可を付与したことを発端に、抗議行動がプロジェクトの位置するIslay郡周辺からArequipa州の広範囲に拡大し、周辺の一般住民や事業者、さらには同州の港湾を利用する他の操業鉱山にも影響が出る事態に発展、このような事態を受けて鉱業審議会が最大120日間の建設許可の一時停止を決定した。この措置期間は、Arequipa州政府他から提出された建設許可見直し請求の審査期間を準用したもので、これに対しSouthern Copper社は、プロジェクトの正当性を現行法の枠組みの中で示していくとの方針を表明している。

他方、Vizcarra大統領は、同プロジェクトの反対派首長等との会合において、建設許可の再検討と鉱業法の改正に言及し、これに乗じた反対派首長が新鉱業法での鉱山企業への大幅な課税強化を提案するとコメントした。その後、この会合の録音記録が流出し、大統領が反対派首長らに対し「政府は訴訟リスクがあるためSouthern Copper社への許可を取り消すことはできない、(Areqiopa州知事らによる)見直し請求手続きが取るべき道であり(自身も)これを支持する、1か月以内に結果が出ない場合は抗議の激化を容認する」と発言していたことが発覚し、混乱に拍車をかけている。

ペルーの鉱業投資は2013年の8,864mUS$をピークとして2016年には3,334mUS$まで減少、その後緩やかな増加傾向に転じ2018年には4,947mUS$(速報値)まで回復し、政府の統計によれば現在もこの傾向は維持されている。しかしながら、その内訳に目を向けると、増加要因は主に既存鉱山の拡張やFS段階にあった案件の開発によるもので、持続的な鉱業活動の土台となる探鉱投資は2017年以降も減少傾向が続いている。

2019年初頭にLas Bambas鉱山で地元住民による抗議活動が再燃し生産活動に影響があったのは記憶に新しいが、今後、もしTia Maria銅プロジェクトの建設許可が正式に取り消されたり、社会争議の拡大や関連法規の改正等により投資環境が悪化したりすることになれば、躍進を続けてきたペルーの鉱業セクターにとって大きなブレーキとなるものと懸念される。

この難しい局面においてどこに着地点を見出すか、ペルー政府は難しい舵取りを迫られている。


  1. 当初の環境影響調査(EIA)は、国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)による138箇所におよぶ不備の指摘や、これを受けた反対運動の激化(この時点で死者3名)を踏まえ、2011年4月8日付けでエネルギー鉱山省により却下された(省決議105-2011-MEM-AAM)。
  2. 環境影響詳細調査(EIAD)は、環境影響調査(EIA)のカテゴリーの一つに位置づけられる。
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