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報告書&レポート

2020年1月23日 金属企画部 北良行
20-02

第17回中国国際銅業フォーラム参加報告(前編)

―中国の銅資源確保と下流産業の現状について―

<金属企画部 北良行 報告>

はじめに

2019年9月4日から6日に、中国黒竜江省斉斉哈爾市において第17回中国国際銅業フォーラム(17th China International Copper Forum 2019)が開催された。中国有色金属工業協会等が主催し、安泰科が運営した国際会議であり、開会セレモニー、2つのパネル討論会、4つのセッション及び黒竜江紫金銅業社の製錬所視察で構成された。2つのパネル討論会では、①Development of copper resources、②High quality and coordinated development、について議論がされ、4つのセッションでは、①Macro Economy & Industry Development、②Development of copper resources、③High Quality & Coordinated Development、④Copper Consumption & Market、をテーマとして講演が実施された。

本稿では、本フォーラムで得られた情報のうち、会議全体とパネル討論会(中国の銅資源確保(特に海外における活動)と銅下流産業の現状)と4つの講演セッションの内容について、2回に分けて報告する。

写真1.開会セレモニーの様子

写真1.開会セレモニーの様子

【会議の概要】

中国有色金属工業協会の尚副会長は開会セレモニーの冒頭で、「銅は産業にとって不可欠な非鉄金属であり、国の産業発展を支えるものである。中国は銅で世界をけん引しており、発展のスピードを緩めることなく、これからもハイエンドな発展を図る」と挨拶した。

中国の銅資源確保に関するパネル討論(①Development of copper resources)では、同国の銅需要を満たすため海外に資源を求めた現状が、各産銅企業からの意見として述べられた。雲南銅業(Yunnan Copper)社は、特にペルーToromocho鉱山への期待を述べたほか、紫金鉱業(Zijin Mining)社は、現在はDRコンゴ(Kolwezi、Kamoa-Kakula)などアフリカ中心に進出している状況下、ペルーやセルビア、南アなど他地域への展開も計っている旨を述べた。中国有色鉱業有限公司(China Nonferrous Mining Corp.)は、アフリカでは法律が頻繁に変更になるリスクが増えていることから、ミャンマーやモンゴル、その他東南アジアなどでの展開を述べた。中国国土資源部傘下の中国地質科学院(Chinese Academy of Geological Sciences)は、海外では中国政府の支援により地質調査を実施してから中国企業が低リスクで進出できるよう、国が後押しするべきであると指摘した。

銅の下流産業がテーマとなった2つ目の討論会(②High quality and coordinated development)では、今後の中国企業のあり方について議論された。これからの銅産業に係わるコスト削減は、原料や資金の調達コストの削減が中心となるべきとのコメントや、日本の対米貿易摩擦を例として、日本も経済成長期には現在の中国と同様に米国から圧力をかけられたものの、それを克服した過去の経緯を踏まえ、中国は日本に学ぶ点があるとの意見が述べられた。その他、中国の銅製品は全体としては生産過剰にあるが、未だハイエンド品の多くが輸入に頼っているとの指摘があった。

1.開会セレモニー

本会議は中国有色金属工業協会の尚福山副会長の司会により、Opening Ceremony & Keynote Presentationsによる開会セレモニーから始まった。

本セレモニーにおいては、齐齐哈尔市長代行のほか、中国有色金属工業協会の陳全訓(Chen Quanxun)会長、中華人民共和国工業和信息化部原材料司の常国武(Chang Guowu)副司長、中国銅業有限公司の施維勤(Shi Weiqin)党委副書記/副董事長、SHFEの陆文山(Lu Wenshan)党委副書記/監事長、国際銅研究会(ICSG)のShairaz Ahmed氏(Manager of Statistical Analysis)、日本メタル経済究所の川口理事長よりそれぞれ挨拶があった。

以下に、尚副会長と施党委副書記/副董事長の挨拶概要を記す。

中国有色金属工業協会 尚副会長

銅は産業にとって不可欠な非鉄金属のシンボルであり、銅産業の発展によって中国の産業発展が支えられている。また、中国は銅で世界をけん引している。中国では環境保全の要求、産業のグリーン化の要求が高まっている。このため企業の利益率が低下している。しかし、産業の効率的発展を高めるため銅産業の発展はスピードを緩めないようにしたい。特に低級~中級の商品展開をベースとする産業からハイエンドな産業に重点を切り替えるなど、様々な努力・健全な発展を図る。

中国銅業有限公司 施維勤 副董事長

2018年の中国銅業有限公司の資本金は428億元、資産2,000億元、売り上げ1,000億元である。同社は8か国17省で活動しており、対象はZn、Pb、Cuが主体である。銅需要は中期的には一帯一路など中国の経済発展や自動車産業の発展により支えられる。中国銅業有限公司は、銅は中国の基礎であるとの認識のもと、①国有企業として胸を張る、②科学技術を持って製品を開発する、③質の高いものなどで銅市場を開拓する、③国の指導のもとにグリーンな発展と競争力を保ち、Win-Winな関係で世界と共存する、という4つの信念を持って活動に取り組んでいる。ただし、米中貿易戦争で銅プレートや銅管製品に25%の関税がかかったこと、下流製品にも関税が課されることから、売り上げに影響が出始めている。

2.パネル討論会

2-1.中国の銅資源確保における国内外での活動

Development of copper resources:To discuss copper ore resource exploitation at home and abroad,
"One Belt And One Road" construction and other topics.

冒頭、本パネルのモデレーターを務めた李宇聖氏(中国有色金属工業協会国際合作部主任)は、中国の銅産業原料調達の現状について、以下のとおり説明した。

中国の銅地金生産量は2002年に世界一となり、同年の消費量は270万t程度であったものの、2018年には1,100万tへと一気に成長した。中国はこの銅の需要を満たすため、海外に供給源を求めた。2008年には11の企業による非鉄アライアンスが誕生し、現在は企業、大学、研究機関など様々な集団により構成され、参加社は57社へ増加した。このアライアンスの会長は、中国アルミ業(CHALCO)社、有色銅業社、白銀集団、紫金集団より順次選出されている。

本討論会における各社のパネリストによる発表概要は、以下の通りである。

(1)雲南銅業股フン有限公司(Yunnan Copper) 副総経理 楊新国

雲南銅業社にとって、中国南西部は重要な地域であり、この地域の多くの鉱業企業が雲南集団社の傘下にある。雲南集団は4つの鉱山から始まり、現在は6製錬所、8鉱山を有している。同社の銅鉱石生産は金属量で年間で11万tに達する。しかし、雲南省の銅鉱床は銅品位が比較的低いため、開発は容易ではない。同社の開発規模が最大の鉱山は、年間採掘鉱量12百万t(銅品位0.35~0.4%)で、金属量として4~5万tに及ぶ。

現在、香格里拉(中華人民共和国雲南省デチェン・チベット族自治州)で取り組んでいる新規鉱山開発は、目標通りに進んでいる。採掘はブロックケービング法を採用する計画である。雲南・四川にまたがる鉱産物ベルトでは、地質調査が行われている。この周辺では、金属の他にも石炭が採掘されている。

雲南銅業社の開発地域は、まず中国国内から開発が始まり、そのあと海外へと展開している。雲南銅業社はCHALCO社の傘下となったため、同社の海外戦略とともに海外に進出して行く。ペルーではToromocho銅鉱山を開発し、すでに採掘を始めており、第一期開発は年産20万tを達成した。第二期の開発は2018年に着手し、2019年及び2020年に周辺設備などを整備する計画で、現時点で開発は概ね50%は進んでいる。最終的な年間生産量は、合計で30万tに達する見込みである。

(2)紫金鉱業集団有限公司 総工程師 郭先健

紫金集団は国内から海外へと投資を進めている。特にDRコンゴのKamoaプロジェクトの鉱量が増えてきている1。Kamoaプロジェクトが開発段階になれば、紫金集団は世界の大手鉱業企業に仲間入りする。

海外では、DRコンゴ(Kolwezi、Kamoa-Kakula)、ペルー(Monterrico)、南アなど合わせて8つの鉱業関連事業があり、うち7つが鉱山開発のステージにある。Kamoa鉱床では2015年に権益を買収し、当初鉱量は420万tであったが年々増加しており、同鉱床の他南部にも品位の高い鉱体が見つかっている。また、Kakura鉱床の鉱量は8百万tで銅品位平均6.2%、年間銅生産6万t規模で生産開始は2021年央が予定されている。

2017年には、セルビアのBor銅鉱山を買収した。上部鉱体の鉱量は120万tで銅品位は3%以上、下部鉱体は品位が低いものの、規模は大型である。上部は開発が進められているが、下部の開発は2021年が目標とされている。上部鉱体の生産は年産1万t、下部鉱体は同10万tが目標とされているが、立ち上がりは4~5万t程度となる。

紫金集団の鉱石生産目標は5年後で年産70万tとしており、海外を中心に活動する。製錬規模は年産40万tの見通しであるが、2019年末までに今後の計画を決める。

(3)中国有色鉱業有限公司 副総裁 楊大勇

中国有色鉱業有限公司は、1998年に海外に進出して以降22年が経過した。進出当初は銅が優先されたが、現在同社が保有する資源量は1,100万tに達し、うち90%は海外の案件である。また、製錬所も海外の5か所にて所有している。

ザンビアにおける活動については、現地の経済や生活に変化を与えることが重要と考える。ザンビアでは、過去に中国式で鉱山開発を行った中国企業が地元との間で大きな軋轢が生じた経験があることから、地域の発展や地元との関係においては責任を持たなければならない。ザンビア及びDRコンゴでは、社会的責任として現地に恩恵を与えることで支持を得る方針としており、例えば学校の建設、医療の充実、病院の建設などが挙げられる。中国企業はそれを実行することで、ようやくアフリカに根ざすことが出来る。

鉱山は国が保護しているという観点においても考慮が必要であり、地域によって違うやり方で進出してゆく必要がある。アフリカでは法律が頻繁に変更になるリスクが増えてきたことから、他の地域においても活動を展開する必要が出ている。例えば、DRコンゴ政府では政策変更を行っているが、その影響は税金そのもの以上に、現地調達や地元への利益還元に対する義務化等への影響が大きい。その他、ミャンマー、モンゴルのほか、東南アジアなどでの開発を検討しているが、現状案件は具体化していない。

中国は集中的に同一の国に参入してゆく傾向があり、そのことに対するリスクが問われている。但し、コバルトの場合は資源保有国が限られることから、鉱種によってはやむを得ない状況が生じる。

米中貿易摩擦が与える影響は大きく、銅価格が見通せなくなっている。米中貿易摩擦により中国経済が失速すれば、世界に大きな影響を与えることになる。また、中国の次に経済発展が期待される国として、例えばインドやブラジルといった国が挙げられるが、すぐに中国に取って代われるとは思えない。

(4)中国地質科学院 柳群義

中国で海外投資が進んだ結果、2018年時点では国内の資源量よりも海外で所有する資源量の方が多くなっている。

中国は国策として、地質調査を進める優先地域を設けている。インフラが整っている地域には既に先進国企業が進出しているため、中国は主として経済発展が遅れた地域に進出せざるを得なくなった。国がリスクの高い地域を選択している以上、企業の海外進出を支援すべきであり、例えば「中国アフリカ発展基金」を使ってインフラを整えれば、中国企業が開発に乗り出せると考えられる。また、中国政府はアフリカにおける複数の政府からの要請に基づき、20万分の1地質図作成や環境調査を実施しているほか、南米では総合的な情報を中国地質科学院が収集し、中国企業に対して提供している。中国地質科学院が調査をしてから、中国企業が海外に出るというパターンを築いている。中国地質科学院は、多くの情報を中国企業に提供することに努めている。

以上の報告の後、李座長は次のように締めくくった。

ペルーでは当初鉱山地域の住民との調整が難航し、開発に支障を来していたが、その後の努力で地域との関係を企業が解決していった。中国は当初資源を確保することしか考えていなかったが、今では地域住民との関係のほか、環境保全や安全などに力を入れ始めている。例えば、ペルーだけで40万tの銅生産があり、これは中国国内生産量の1/4に匹敵することを認識すべきである。また、資源開発では環境政策インフラなども重要な問題である。現地の法律を守ること、市場のことを知ること、鉱山開発は長期にわたることなどを念頭に入れるべきである。

2-2.銅産業の高品質化と銅下流産業の現状

High quality and coordinated development:To exchange ideas on the topics such as the transition of old growth drivers and new ones, and high-quality development of the copper industry.

冒頭、座長である浙江海亮集団有限公司の曹建国董事長から、以下のように中国の銅産業を取り巻く状況の説明があった。

中国の銅産業はここ数年苦しい状況にある。2008年のリーマンショック時、中国での苦境は世界のそれに比較して軽度であったものの、いくつかの課題に直面した。銅消費の成長は30年間GDPを上回っていたが、足元のGDP成長率は一桁になり、銅消費の成長もGDPを下回った。

中国は、「青い空、きれいな水」に対する観念が欧米と比較して後れを取っており、これに対処するため環境基準が年々厳しくなっている。このような状況下、如何に銅産業が高度に発展できるかが課題であり、高い品質レベルに成長させたい。

高い品質レベルという目標は、企業によって何を指すかが異なる。しかし、企業は高品質レベルへと成長しないと生き残ることは出来ない。浙江海亮集団有限公司は、2013年以来5年連続で25%成長を達成し、銅管では国内2位から1位に躍り出た。この躍進はイノベーションによるものである。

この後、各社のパネリストが説明を行った。その概要は、以下の通りである。

(1)黒竜江紫金銅業有限公司 総経理 梁周安

紫金銅業有限公司が新製錬所を黒竜江省に建設した理由は、鉱石供給源となる鉱山が存在するためである。この地域の資源は、紫金銅業社にとって十分なものである。また、インフラ、人材、下流産業が整っており、黒竜江地域において銅産業の一貫生産体制を築く。

紫金銅業社は鉱山から始まった企業である。現在所有する銅製錬所は3か所で、生産量は合計30万tである。製錬業は利益が少ないが、衛生・環境への意識が高い。黒竜江省は、国際的に見ても生産環境が高いレベルであると考える。企業としてゼロ排出、SO2の排出は100mg以下、粉塵濃度も10mgという欧州並みの基準を設定しており、コストの20%を安全・環境に当てている。コスト削減の観点において、高い品質を保つためには操業コストは簡単に下げられないが、原料や資金調達のコストを減らすことが第一であると考えている。紫金銅業社は企業として銀行信用度が高く、これらのコストを低減できる。また、スマート工場の導入や情報管理にも取り組んでおり、これらの取り組みは製錬業界でトップにあると認識している。

日本から学ぶものとして優れたマネージメント力などがある。かつて日本は産業の成長期に、今の中国と同様に米国と貿易戦争の状況下において米国から圧力をかけられたが、現状では克服している。中国はこの点においても日本に学ぶべきである。

また、使用分野を広げるための研究を促進させ、より付加価値の高い銅製品の製造を進めてゆきたいと考えており、例えば銀が使われている部分を銅で置き換えることを模索している(一方で、銀による銅の代替という反対の動きもある)。付加価値の高い銅製品は多くを海外から輸入しているが、中国でも研究を進めたい。

(2)寧波博威合金材料股份有限公司 市場総監 邵海洋

銅合金材料の製造においては、ドイツ等先進国の機器を主流に使ってきた。これらの機器を将来中国製とすべく長年取り組みを進め、ドイツと日本をベンチマークとして歩んだ。今では、日本やドイツを超えたと感じており、資金調達の促進や融資幅の拡大を図ることができた。中国では中級品などの市場が大きいため、中~低水準の技術で対応可能な分野への投資が未だ好まれる傾向にある。銅合金材料市場は、銅管市場と比較すると極端に小さいことから、多くの中国の企業は未だに我々が取り組んできたような技術水準の向上を果たしていない。

合金材料の製造は、未だ世界と20年の開きがある。製品では一貫性と安定性を求められるが、我々は「中国2025製造」にターゲットを置いており、寧波ではトップの位置付けにあると自負している。日米欧を手本としてスマート工場を導入して安定化を図っており、これからの研究は中国内だけでなく世界を視野に入れてゆく。

(3)中国化学与物理電源工業協会動力電池応用分会 秘書長 張雨

電解銅箔市場は、リチウムイオン電池(LIB)の成長で大きく変わった。しかし、銅箔の規格は20年前と同じであり、また生産過剰となっている。他の産業においても同様の状況があるものの、規格を変更するには大きな負担が生じる。

生産過剰の観点において、LIB工場では製造工程内の乾燥・攪拌などのラインが半年ごとに益々変化しており、生産工程の短縮化やスマート化に向かっている。このような取り組みが、中国のコスト優位性をもたらしている。

銅箔には圧延箔と電解箔があり、圧延箔は強度があるためスマートフォンなどに不可欠な部材である。一方、電解箔は高い電流を流せることから、LIB等への適用にあたって有効である。NEV需要の変化により電解箔は生産過剰の状況にある一方で、圧延箔の代表となるハイエンド品は不足しており、輸入に頼っている状況である。

(4)日本メタル経済研究所 大山主任研究員

写真2.日本メタル経済研究所 大山主任研究員による発表の様子

写真2.日本メタル経済研究所
大山主任研究員による発表の様子

1980年代に半導体のパッケージ革新があり、日本の伸銅業界に大きな変化が訪れた。それまでの半導体の進歩はチップ(Si)の高性能化(微細化)が中心であったが、入出力インターフェースの数が足りなくなり、パッケージの開発が半導体の高性能化の鍵となった。当時のメインプレイヤーは米国と日本の半導体メーカー、日本のパッケージ材料メーカーであった。

1980年代の日本の半導体産業は世界の70%のシェアを握り、パッケージ材料メーカー(ex.リードフレームメーカー)は世界のトップであった。新しいパッケージに必要とされる銅条は、多ピン化が進むにつれて徐々に表面品質や材料特性の均質性が厳しくなっていった。日本の伸銅産業は徐々にこの高い品質要求に対応していったことにより、今のハイレベルな技術に達した。中国の伸銅業についても同様で、ユーザーの品質要求に真摯に対応していくことによって、品質レベルが徐々に改善されていくはずである。

実際には多ピンのリードフレームは日本のメーカーだけが作ることができ、その材料は当時日本の伸銅メーカーが100%提供した。2000年以降、韓国、中国の伸銅メーカーもリードフレーム材を作ることができるようになったが、ピン数が少ないDIP(Dual Inline Package)のSOP(Small Outline Package)の製造にとどまっている。

おわりに

中国の銅資源確保と下流産業の現状に関して、各パネリストや関係者の意見や見解を総括すると、概ね以下の内容に集約される。

  1. ① 銅は産業にとって不可欠であり、中国の産業発展を支えている。今後も発展のスピードを緩めることなく、特にハイエンド品での発展を図ると見られる。
  2. ② 中国の銅生産は2002年に世界一となり、銅消費も当時270万tであったものが2018年には1,100万tへと成長した。銅需要を支える資源の多くは国外にあり、例えば雲南銅業社ではペルーToromocho鉱山への期待を高めているほか、紫金鉱業集団ではDRコンゴ(Kolwezi、Kamoa-Kakula)などアフリカ中心に進出しており、ペルー、セルビア、南アなど他地域でも活動を展開している。他方、中国有色鉱業有限公司ではアフリカにおけるリスクが高まっていることから、東南アジア等での展開をほのめかすなど、各社によって地域戦略は異なる。中国は今後、一帯一路の周辺国・地域のほか、欧州(セルビア等)において鉱業活動地域の拡大を展開するものと考えられる。
  3. ③ 鉱業活動地域の拡大にあたっては、2000年代当初の既存案件・企業の買収・再開発から、2010年代のJVへの参入を経て、基礎的地質調査を介した新規開発地域へも手を延ばしつつある事が、中国地質科学院の発表から伺えた。日本はこれらの動きに対する対応策を考える必要がある。
  4. ④ 低迷する中国の銅下流産業への対処として、以下の点があげられる。
    • 高い品質を保つために操業コストを下げず、原料調達コストや融資コストを減らす。これは今後の中国企業のあり方についての示唆と解される。
    • 日本から学ぶものとして、優れたマネージメント力のほか、過去に日本が経験した米国との貿易摩擦解決に向けた経緯や取り組みなどが挙げられる。
  5. ⑤ 合金材料では、銅箔など銅下流産業は全体として生産過剰にあるが、圧延銅箔に代表されるハイエンド品は未だ輸入に頼っている。特に多ピンのリードフレームは日本が未だ優位な立場にある。

なお、世界の銅資源供給と中国銅市場の現状等をテーマとした各講演の内容に関しては、「後編」として別途報告を行う。


  1. Kamoaプロジェクトは、紫金集団とIvanhoe Mines社とのJVで進められている。一般にはKakula鉱床と合わせKamoa-Kakulaプロジェクトと呼ばれる。2008年にIvanhoe Mines社によるボーリング調査で発見され、Ivanhoe Mines社39.6%、紫金集団39.6%、DRコンゴ政府が20%の権益構成となっている。Kakula鉱床はKamoa-Kakulaプロジェクトの南部にある鉱床で、全体で18百万tを採掘する計画のうち最初に開発される予定の鉱床。資源量は174百万tで、2017年の現地情報では2019年半ばに工事は完成するとしていた。2019年2月の発表ではIvanhoe Mines社は、地域南部のKakula鉱床(粗鉱生産量6百万t/年)を最初に開発すべく採掘に関するPFSを完成。また、そのあとに予定されるKansoko鉱床Kakula及びKamoa鉱床を合わせた最大粗鉱生産量18百万t/年の開発計画PEA(preliminary economic assessment)を発表した。この6百万tのKakula開発計画では、当初10年間鉱山山元キャッシュコストは0.46US$/lb、総キャッシュコストは1.11US$/lbで、年間平均291千tの銅生産が想定されており、4年目までに最大360千tに達するとしている。現在、坑内採掘に着手しており、2021年に生産開始予定。同鉱山現地視察調査報告についてはカレント・トピックス17-23:中国の銅資源確保とDRコンゴの鉱業について(1)を参照されたい。

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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