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報告書&レポート

2020年1月23日 金属企画部 北良行
20-03

第17回中国国際銅業フォーラム参加報告(後編)

―世界の銅資源供給と中国銅市場の現状ついて(個別講演を中心に)―

<金属企画部 北良行 報告>

はじめに

第17回中国国際銅業フォーラム(17th China International Copper Forum 2019)は、中国有色金属工業協会等の主催、安泰科による運営のもと、2019年9月4日から6日にかけて、中国黒竜江省斉斉哈爾市にて開催された。本フォーラムの参加報告として、前編では中国の銅資源確保と下流産業の現状を取り上げたが、後編では①Macro Economy & Industry Development、②Development of copper resources、③High Quality & Coordinated Development、④Copper Consumption & Marketの4つのセッションで行われた講演のうち、ICSGのShairaz Ahmed氏、安泰科の何笑輝氏、中国有色金属工業協会の段紹甫氏、中国地質調査局の柳群义氏の講演内容を報告する。

【講演の概要】

  1. ① ICSGのShairaz Ahmed氏によると、世界の鉱山生産は2023年には28,856千tに達する。地域別にみると、2023年時点で南米がトップでそれに次ぐのはアジア18%、アフリカ15%の順になる。世界の製錬生産は2018年には2000年の3倍となるほか、製錬能力は2023年までには26,500千tになる見込みとされており、その殆どは中国にて達成される。
  2. ② 安泰科の何笑輝氏によると、2020年に中国の国内銅精鉱の生産量は1,570千t、需要量は7,200千tとなり、5,630千tの不足となる。また、国内の地金生産量は9,100千t、需要量は11,550千tに達することから、2,450千tの不足となる。地金の輸入量は2018年の3,753千tから減少するものの、依然として3,000千tを保つ。
    中国国内の銅鉱石の生産は今後も弱含みである。銅製錬は新たな能力拡大の時代に入り、原料調達の競争が起きる。2015年以降、スクラップは国内からの供給が輸入を上回るようになったものの、原料は輸入鉱石に頼らざるを得ない。中国での銅消費の成長は鈍化し、世界の銅消費も弱含みとなり価格は低迷する。
  3. ③ 中国有色金属工業協会の段紹甫氏によると、中国では銅精錬所の稼働率が世界に比して低く、ロッドや銅箔のうち、ハイエンド品を製造する機材はほとんどが輸入に頼っているほか、板条のハイエンド品も輸入に頼っているのが現状である。今後中国は省エネや環境に対応してゆくほか、新しい製品の開発・生産のほか、特に現在輸入しているハイエンド品を自国生産に置き換えることが重要である。なお、中国経済を支えてゆく主な新興産業は、省エネ・環境関連、次世代情報技術関連、バイオテクノロジー関連、ハイエンド装備製造産業関連、新エネルギー関連、新素材関連、新エネ自動車関連等多岐の分野にわたるものと考える。
  4. ④ 中国地質調査局の柳群义氏によると、一帯一路の周辺国・地域の面積は世界の約38%であり、人口は世界の総人口の63%を占める。ほとんどの地域では急速な工業化の時期にあり、鉱物資源の需要は拡大する。また、銅埋蔵量は世界の20%を占め、銅地金消費量は世界の約3分の2に達し、2020年には18,990千t、2040年には22,530千tの銅需要が見込まれる。なお、2035年以降、インドでの銅需要の伸びが中国の減少を補うことになる。

1.Outlook for Global Mines & Plants by 2023

Mr. Shairaz Ahmed、Manager of Statistical Analyst、ICSG

(1)世界の銅鉱石等生産の状況・見通し

世界の鉱山生産の伸び率は、1980年から1994年にかけて年平均0.8%の上昇であった。しかし、その後1995年から2018年は3.3%の上昇となった。2018年及び2019年は横ばいとなったが、2020年以降は上昇率が高まり、2023年に生産量は28,856千tに達すると見ている。SxEwについては2018年以降も徐々に上昇するものの、精鉱生産に比べて伸び率は低く、全体に占める割合は2018年の19%から2023年には18%近くまで落ち込む。今後の生産量増加分の4,800千tのうち、新規鉱山による増加分は3,000千tほどになる。

地域別にみると、1980年における銅鉱石の生産割合は北米29%、南米19%、アフリカ18%、欧州17%であった。しかし2000年代に入るとアフリカの生産が減退した一方で、南米の比率が急上昇した。2019年の同割合は南米40%、アジア18%、北米14%となり、一時停滞していたアフリカも14%まで回復した。今後5年の増加見込みは南米が最大で、アフリカやアジアが続くと見られている。2023年時点では、トップの南米に次いでアジアが18%、アフリカが15%の順になると予測する。

南米の増加に関して、国別ではチリが最大でペルーが続き、この2か国で生産量のほとんどを占める。チリの鉱山ではSpence、Esperanza、Sierra Gorda、Escondida、Quebrada Blanca、Santo Domingoにおいて、ペルーではMina Justa、Tia Maria、Quellavecoなどが増加をもたらす。アフリカではDRコンゴの成長が著しい一方で、ザンビアやボツワナではそれほどの増加は見込めない。DRコンゴではKolwezi Tailings、Dikuluwe& Mashamba Ouest、Pumpi、Kamoa、Deziwa & Ecaille Cなどにおける増産が見込まれている。中国を含むアジアでは、特にインドネシア、モンゴル、中国における増産が期待され、見込まれる生産量は3か国で1,200千tに達する。国別では、インドネシアのGrasberg、BKM、モンゴルのOyu Tolgoi、中国のXietongmen Qulongにおける増産が期待される。既存鉱山の拡張計画発表を合計すると、世界全体で2,800千tの増加が期待される。またこれらとは別に、これまで生産実績がなかった国や地域における生産が期待されており、その中でもエクアドル、パナマ、アフガニスタンの規模が大きい。

(2)世界の銅製錬生産の状況・見通し

銅地金の生産量に関して、2018年は2000年に比べて3倍になっているが、増加の殆どは中国の製錬所における増加によって占められている。2019年時点で、世界における地金生産量トップ10の製錬所のうち、4つは中国、2つは日本に位置している。また、今後アフリカにて1プロジェクトがスタートする予定である。

精錬では、2000年にはすでに生産量においてアジアが大きな位置を占めていたが、その能力は北米、南米、欧州と拮抗していた。しかし2018年になるとアジアが圧倒的なシェアを占めるに至り、2023年までの増加見込みに関しても、80%が中国によるものと予測される。

(3)結論

2000年以降、鉱山での銅生産は年平均3%の伸びを記録した。世界の鉱山生産能力は年4.5%の割合で増加し、2023年には28,900千tに達する見込みである。増産の多くはSxEwでなく、精鉱生産によるものである。最大の増産地域は南米で、アフリカとアジアがこれに次ぐ見込みとされており、これら3地域で世界の75%を担うことになる。また、世界の製錬能力は2023年には26,500千tに達するものと予測されている。

2.Analysis and forecast on Chinese copper market

Mr. He Xiaohui(何笑輝)、Senior Copper Expert、Beijing Antaike Information Co., Ltd

(1)中国の銅産業はアンバランス

中国における銅産業の構造はアンバランスになっている。すなわち、中国国内で生産される銅材の量(地金の消費量)に対して、その材料となる銅地金の中国における生産量は少なく、原料となる鉱石の中国内生産はさらに少ない。地金生産と地金消費は、2018年には前年より若干増加したものの、国内鉱石生産は減少したため、その差はさらに開くことになった。

(2)中国の国外権益量は国内生産に等しい

2018年の統計を基に推計すると、中国関連企業が有する世界の銅資源の鉱量は100億tを超えている。また、中国が関連する47プロジェクトのうち、33プロジェクトは稼行されており、銅鉱石等の生産能力は1,900千t(内数としてSxEw 770千tを含む)で、中国関連企業が絡む銅鉱石生産量は、中国国内の生産量に等しい。

図1.銅鉱石及び精鉱の輸入量推移

図1.銅鉱石及び精鉱の輸入量推移

(3)スクラップは重要な資源になりつつある

2018年末に一部のスクラップ輸入を禁止したため、2019年年頭には輸入量(マテリアル量)や銅含有率ともに減少したが、ここにきて徐々に回復しつつある。スクラップに含まれる銅含有率は上昇し、4月には90%に近づいたことから、国内発生のスクラップが銅資源の重要な一部になりつつある。スクラップの供給量は合計300千t程度であるが、2015年以降国内発生のスクラップが輸入スクラップを上回るようになった。

(4)製錬能力が拡大期に入った

銅製錬は、新たな能力拡大の時代に入った。2014年から2017年の間には一時的に製錬能力の拡大ペースは衰えたが、2018年から2020年は拡大のピーク期となり、2022年までその拡大は続くと見られている。安泰科では、2019年の初生製錬は1,000千t、初生精練は830千t増えると予測しており、中国全体の製錬能力は8,360千t、同精錬能力は12,690千tに達するとしてきた。ただし生産までのタイムラグを考えると、2019年における実際の製錬増加分は、710千tにとどまると見ている。

なお、江西銅業社、銅陵銅業社、金川集団社、東営方園社、中国銅業社、大冶有色社の大手6社で、2018年の生産量は5,500千tを越えている。

(5)中国の銅消費は弱含み

銅の消費は予測より弱含みが続くと見られている。中国では銅の消費のうち40%は配電網等の電力関連需要で占められている。次いでエアコン関連が同15~16%であるほか、建設、交通、電気が同7~10%の範囲で続く。自動車業界が使用する銅は比較的量が少なく、NEVだけでは銅関連の産業を支えることはできない。自動車業界全体では、1~7月累計で銅の使用量は前年度同期比13.5%の増加となった。乗用車について、同期間は前年度同期比15.3%の増加であったものの、商用車については同3.55%の減少となっている。NEVだけを見れば、乗用車は39.1%の増加、商用車は4.9%の減少となっている。

(6)中国における非鉄金属消費ピーク

銅、アルミニウム、鉛、亜鉛の消費は、それぞれ2020年から2026年の間にピークを迎える。

(7)2020年の予測

中国における銅精鉱と銅地金のバランスは表1の通りであり、2020年には精鉱国内生産量は1,570千tになるものの、精鉱需要量は7,200千tで、5,630千tの不足となる。また、銅地金については国内生産量が9,100千tになるものの、需要量が11,550千tまで増えるため、2,450千tの不足となる。なお、輸入量は2018年の3,753千tから減少するものの、依然として3,000千tをキープする(ただし輸出量は300千tとなる)。

表1.中国における銅精鉱供給量と銅地金需要量のバランス

表1.中国における銅精鉱供給量と銅地金需要量のバランス

(8)まとめ
  1. ① 中国の製錬能力はピークに達し、生産は比較的早い速度で成長を続ける。これにより原料調達への競争が起きる。
  2. ② 中国国内の銅鉱石の生産は弱含みである。スクラップの供給は明確な増加傾向に転じることはなく、原料としては輸入鉱石に頼らざるを得ない。
  3. ③ 消費は特別な局面では増加することがあるが、業界全体としての急激な増加は期待できず、銅消費は緩やかな増進が続くと見られており、それにより世界の銅消費も弱含みとなり、価格は低迷する。

3.New Opportunities for High-quality Development of Chinese Copper Industry

Mr. Duan Shaofu(段紹甫)、Vice Director of Heavy Metal Department CNIA

(1)中国銅産業の現状
・中国の製錬業

中国では、江西銅業社、銅陵集団社、金川集団社、東営方園社、雲南銅業社、大冶有色社、祥光銅業社が銅製錬大手企業として知られている。これら製錬大手企業を中心に銅の生産量は大きく増加し、2018年には中国の電解精錬能力は11,800千tになった。これは世界の27,550千tの57%を占める計算となる。しかし、稼働率は世界が87.2%であるのに対して、中国のそれは76.4%と低い状況にある。2018年の中国での精錬銅生産量は、9,028千tであった。省別には山東省が1位の1,500千t、江西省1,300千t、甘粛省1,050千tとなる(筆者コメント:甘粛省の生産量については、金川製錬所が広東省に有する坊城港での生産量を含むものと思われる)。なお、中国の製錬所ではFlash-Smeltingが38%、Bath-Smeltingが62%となる。

図2.中国における精錬銅の生産推移

図2.中国における精錬銅の生産推移

出典:有色金属年鑑(2016年以降は安泰科)

・銅関連半製品

2018年には、銅関連半製品は17,150千tが生産された。最大の生産地は江西省における3,650千tであり、これに浙江省、安徽省、広東省、江西省が続く。製品別の銅半製品の生産状況は以下の通りである。

ロ ッ ド:ロッド自体は中国で生産しているものの、ハイエンド品を作る生産機材はほとんどが輸入に頼っている。
板   条:ほとんどのユニットは中国で生産しているが、ハイエンド品は輸入に頼っている。
チ ュ ー ブ:概ね中国で生産している。
銅   箔:ほとんどの機材は日本やアメリカから輸入している。
(2)スクラップ

銅スクラップについて、2002年当時は国内発生分が11%に対し、輸入分は78%を占めていたが、2018年には国内発生分の割合が60%となった。2018年に7類の輸入が禁止となり、また米国からのスクラップには新たな税金が賦課された。また、2020年には全ての個体スクラップは輸入ができなくなる。なお、2019年は6月までの半期での銅スクラップは855千tで25.75%の増加となった。

(3)中国の銅消費ピークはいつ来るのか

中国の銅消費量は2000年から2014年は年13%の割合で増加した一方で、2015年から2017年のそれは4.2%であった。電気銅は、計算上中国国内に130百万tが蓄積されている一方で、世界のそれは702百万tとされている。中国の見掛け消費は2018年に12.49百万tとなったが、2020年には13.50百万tとなる。

世界の先進工業国では1991年から2006年にかけて銅消費量のピークを迎えている。各国のピーク年、都市化率、GDPにおけるサービス業寄与率、一人当たりの平均電力使用量、一人当たりのGDP、ピーク時の銅消費量、総人口及び一人当たりの平均銅使用量を表2に示した。都市化率は70%以上、GDPにおけるサービス業寄与率は概ね60%以上、一人当たり電力使用量の平均値は概ね6,000kWh以上、一人当たりのGDPは20,000US$以上(但し、韓国を除く)、などとなる。

中国では2030年に14,500千tでピークを迎えると考えられており、都市化率は70%、総人口は1,450百万人、一人当たりのGDPは18,000US$、GDPにおけるサービス業寄与率は65%、一人当たりの電力使用量は6,200kWhとなる見込みである。

表2.世界の銅消費ピークと中国の比較
ピーク年 都市化率 サービス
電力使用平均/P GDP/P ピーク
消費量
総人口 平均銅使用量/P
KWH US$ 万t 百万人 kg
米国 2000 79 75 13,671 36,488 303 282 10.72
ドイツ 2006 73 69 7,174 35,400 140 82 17.05
日本 1991 79 67 7,975 37,154 161 127 12.7
韓国 2004 81 59 7,830 15,922 94 48 19.57
イタリア 2006 87.7 70 5,834 31,800 80 59 13.59
フランス 2000 76.9 74 7,238 21,800 57 61 9.42
スペイン 2010 71 67 6,026 34,674 34 46 7.49
英国 1997 81 71 5,909 25,266 41 58 6.97
カナダ 2006 80 66 17,235 31,825 30 32 9.4
豪州 2002 87.6 70 10,813 20,071 19 20 9.57
以上平均 77.6 69 8,971 29,040 11.65
中国現状 2016 59.6 60 4,903 8,768 1,117 1,395 8.01

※「/P」は一人当たりの換算値を示す

(4)今後の中国企業の対応

これまで中国では、規模の拡大に焦点を合わせてきており、多くの大企業が発展を遂げた。精錬銅の生産は上位20製錬会社で80%を占めるに至り、世界のトップ10には中国の4企業が入っている。新技術や産業革新において、引き続き銅製品はその動きに付いてゆかなければならない。

高いレベルで銅産業を発展させるためには、高付加価値、技術改善、機材のアップグレード、利用率の強化、エコロジー循環開発へのフォーカスなど、産業のバリューチェーンを広げることなどがあげられる。

省エネや環境にやさしい機材、プロセス、技術への変更とともに、異なったユーザーにも対応した新しいプロダクトの開発生産のほか、特に現在輸入しているハイエンドの製品を置き換えることも重要である。なお、今後中国経済を支えてゆく主な新興産業は、省エネ・環境関連、次世代情報技術関連、バイオテクノロジー関連、ハイエンド装備製造産業関連、新エネルギー関連、新素材関連、新エネ自動車関連等多岐の分野にわたるものと考える。

(5)環境問題

多くの企業は、環境面での対策にそれほど重きを置いてこなかった。中国では徐々に環境保全やグリーン関連のカテゴリーにおける改善が、環境や効率などの問題を解決してゆく。

澄んだ水と澄んだ山々は、計り知れない財産である。このため、青い空、きれいな水、きれいな大地を生み出すための取り組みが、特別なタスクとなる。美しい中国を築き上げる政府による道筋は、2020年にはエコロジカル環境を概ね改善し、エコロジカルな環境の保全レベルを全土一様にするとしている。また、2035年にはエコロジカルを合理的なレベルに改善させ、美しい中国を作るという目的を十分に達成させることで、21世紀半ばにはエコロジカルのレベルを国全般にわたって達成するとしている。このため政府は、次のような環境税を設定した。

大気汚染:汚染等量当たり1.2~12元
水質汚染:汚染等量当たり1.4~14元
石炭:1t当たり5元
廃滓:1t当たり15元
汚染物資:1t当たり1000元
製錬スラグや煙灰などその他の廃棄物:1t当たり25元

なお、大気汚染については、2018年に北京・天津・河北を中心とした地域に特別な規制がだされている。規制はアルミナ以外の銅、アルミニウム、鉛、亜鉛、アンチモン、錫といった多くの金属を対象として、SO2、NOX、PM、揮発性有機物への混入率が規定されており、SO2やNOXへの混入率は100mg/m3以下、また同PM内の混入率は0mgとされている。

4.柳群义 中国地質調査局/中国地質科学院全球鉱産資源戦略研究中心

一帯一路の周辺国・地域の面積は世界の約38%であり、人口は世界の総人口の63%を占める。ほとんどの国では急速な工業化の時期にあり、鉱物資源の需要は膨大である。

世界の銅埋蔵量は約7.2億tあり、そのうち一帯一路の周辺地域における銅生産量は約1.4億tで、世界の20%を占める。1990年代以降、一帯一路の周辺地域における銅生産は増加したものの、成長率は中南米地域のそれよりも小さい。1996年以来、同地域の銅地金消費量は急速に増加しており、その合計は現在世界の約3分の2に達する。これには、中国の銅地金消費量の急速な増加が大きく貢献している。

現在、一帯一路の周辺国が輸入する銅精鉱は世界全体の63%を占め、中国が最大となっている。一方、インドネシア、モンゴル、カザフスタンは、銅鉱石の主要な輸出国である。

銅市場成長にはいくつかの周期がある。世界大戦後の欧米等の発展に伴う第一期、中国の発展に伴って成長した2000年以降の第二期、そしてこれからインドの発展に伴う第三期が見込まれる。

一人当たりの資源消費と一人当たりGDPは、「S」形状変化の関係を示す。つまり、農業社会は緩やかな成長傾向を見せ、工業化開発の段階は急速な成長傾向を示す。そして産業発展のピークの後に衰退し始める。これは3つの移行ポイントとして示すことができる。すなわち、①鉱物資源消費の急速な成長の出発点である離陸点、②一人当たりの鉱物資源消費の成長率が大規模から小規模へ変わる転換点、③一人当たりの資源消費の頂点、である。この移行ポイントは、日本、韓国、中国、台湾などの銅資源の消費に基づくと、①離陸点においては一人当たりGDPが3,000US$、②転換点においては一人当たりGDPが10,000〜12,000US$、③消費の頂点においては一人当たりGDPが17,000〜20,000US$、が目安となる。

一帯一路周辺の65か国をこの分類に当てはめると、以下のとおり4つのグループに分類できる。第一分類は消費のピークを超え、銅需要の傾向は徐々に低下する。第二分類は転換点を超え、銅需要の成長傾向は減速する。第三分類は離陸点を超え、急速な工業化の時代に入る。第四分類はいまだ離陸点の近くにあり、今後の可能性が期待される。この分類ごとに将来の銅需要を予測し集計すると、一帯一路の周辺国では、2020年には18,990千t、2040年には22,530千tの銅需要が見込まれる。

地域的には西アジア、北アフリカ、東南アジア、中央アジアでの銅資源需要は徐々に増加し、中央及び東ヨーロッパと北東アジアは横ばいになる。また、2035年以降、インドでの銅資源の需要の伸びが中国の銅資源の減少を補うことになる。

おわりに

世界における銅の鉱山生産は今後も増加し、南米、アジア、アフリカが重要な地域となる。中国の一部企業はアフリカにおける開発に危機感を認識し始め、特に東南アジアなどアフリカ以外での開発をさらに促進するものと思われる。また、これまで生産が行われてこなかった国として、たとえばエクアドル、パナマ、アフガニスタンにおける開発が期待されている。

世界の製錬生産は、2000年以降中国の成長で大きな伸びを見せたが、今後も中国が中心となり、2020年の国内生産量は9,100千tに達するものと予測されている。

中国での銅消費量は2020年に11,550千tに達するが、成長は鈍化し世界の銅消費も弱含みとなり価格は低迷する。中国有色金属工業協会の段紹甫氏によると、中国の銅消費量は2030年に14,500千tでピークに達するとしており、この予想は安泰科の楊氏による2016年における予測よりも幾分遅延している。また、安泰科の何氏は今回のフォーラムにて、銅の他にアルミニウム、鉛、亜鉛の消費はそれぞれ2020年から2026年の間にピークを迎えるとする見解に言及した。

一帯一路の周辺国・地域では急速な工業化の時期にあり、2020年には18,990千t、2040年には22,530千tの銅需要が見込まれ、鉱物資源の需要は拡大するとされている。特に、インドでの銅需要の伸びが中国の減少を補うと見られている。一方で、中国の銅埋蔵量は世界の20%のみで、銅地金消費量は世界の約3分の2に達するため、その他の地域での鉱石確保が問題となる。

中国の銅産業はロッド、銅箔の分野ではハイエンド品を作る生産機材のほとんどが、また、板条の分野ではハイエンド品は輸入に頼っているのが現状である。今後中国では、省エネや環境に対応してゆくほか、新しい製品の開発・生産、特に現在輸入しているハイエンド品を自国生産に置き換えることが重要であるとされている。

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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