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報告書&レポート

2019年4月1日 金属企画部
19_04_vol.49

2018年世界の探鉱動向

ーPDAC Special Editionー

<JOGMEC 金属企画部調査課>

2019年3月

S&P Global

本資料は、S&P Global Market Intelligence社が発表した「WORLD EXPLORATION TRENDS」を、同社の許可を得てJOGMECにおいて翻訳したものです。著作権は全てS&P Global Market Intelligence社に属します。

世界の探鉱動向

世界銀行が世界経済見通しで述べている「曇り模様」の世界や、経済成長、貿易摩擦、コモディティ需要、金属価格の今後の動向が不透明な環境においては、2018年の一部プラス要因もかすんでしまいがちだ。S&P Global Market Intelligence社の第29回年次探鉱分析の調査では、世界の非鉄金属探鉱予算は、2017年の85億US$から2018年は推定101億US$に増加した。これは、4年連続減少後、2017年に続き2年連続の増加となった。

2017年、探鉱は好調に推移した。金属価格は上昇傾向にあり、探鉱活動は数年ぶりの高水準となり、企業の時価総額は2015年末の低迷から回復した。こうした好調な指標が相次ぎ、2017年12月四半期のパイプライン活動指数(PAI)が、2013年中旬来の最高水準である88に上昇した。

2018年初頭まで続いたこの堅調な情勢に支えられ、金属価格は継続的に上昇したが、探鉱部門の業績は同年半ばにやや減速した。資金調達は低迷し、探鉱価格指数は下落、金属価格の多くで上半期の上昇分が失われた。しかし、これらの指標がいずれも2015~16年の水準をはるかに上回っていることは注目に値する。こうした悪い兆候が見られるにもかかわらず、企業による探鉱結果の報告件数は依然として多い。2018年末には、ほとんどの指標が上昇に転じた。しかし、企業の時価総額は継続的に下落し、2018年末のPAIが862を少し下回った。

2019年は世界の二大経済大国の経済成長の持続可能性が不透明のままであり、それにより探鉱指標の一定の上下はあり得るが、大半の金属の活発な探鉱活動により潜在的ファンダメンタルズの健全性は保たれ、全体として上昇傾向が続くと見ている。2019年の世界の探鉱予算は再び増加に転じると予想されるが、その程度は小さいと思われる。したがって、業界のリスク回避行動からレイトステージ探鉱にシフトする可能性がある。

さらに、2019年は逆風が吹くかもしれない。M&Aは2桁増になると推測しており、企業統合によって総予算が減少することになるだろう。通常合併後の企業の探鉱予算は、合併前の2つの企業の合計予算よりも少なくなるからである。世界の政治的緊張のため、探鉱部門への投資意欲が減退し続けている。一方、業界として新たな重要鉱床の発見が不足しており、銅などの一部金属については、追加探鉱投資無しには供給不足が拡大するものと思われる。

鉱業界は探鉱投資を継続するだけでなく、例え乏しくなりつつある探鉱プロジェクトに対し効果的に対処できるとしても、探鉱支出に対するグラスルーツ探鉱の割合及び探鉱収益が歴史的な低水準まで落ち込んでいる点など懸念される事項について改善させる必要があるのではないだろうか。

図1.世界の非鉄金属探鉱予算総額の推移

図1.世界の非鉄金属探鉱予算総額の推移

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

図2.パイプライン活動指数3および時価総額

図2.パイプライン活動指数3および時価総額

PAI:2008年Q4=100、EPI:2008年5月=100
出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

不透明なマクロ経済情勢

金属鉱業業界にとって、2018年は2つの時期に分かれる。前半は2017年の主要工業用金属価格の著しい上昇が続いた。しかし、後半には中国の政策の不確実性、米中貿易摩擦、経済成長の減速懸念により、大半の金属価格は年末近くに安定するまで下落した。

今後の世界経済環境は1年前よりも悪化するのは間違いないだろう。世界銀行は先般、「曇り模様1」と題する世界経済見通しで警告を発した。同報告書は「資金調達条件は厳しくなり、鉱工業生産は鈍化し、貿易摩擦の激化が続く」、「下振れリスクはより深刻化し、金融市場の無秩序な動きにつながる可能性がある」と警告する。ここ数か月間にWTO2とIMF3はともに世界貿易と経済成長の見通しを下方修正した。

S&P Global Economics4は、米中二大大国の経済成長減速により、世界GDP成長率が過去6年間の最高値だった2018年の3.8%から2019年には3.6%に低下すると予測している。米国の成長率は、財政刺激策である個人・企業向け減税効果の剥落により下落するだろう。ウォール街では景気後退の懸念が広がっているものの、ゴールドマン・サックス・リサーチのチーフエコノミスト、Jan Hatzius氏は、2018年11月18日付け顧客向けレポートで「米国景気の過熱リスクや財政不均衡という典型的な景気後退要因は懸念に及ばず、景気拡大は続き、来年は史上最長を記録するだろう」と語っている。

一方、中国経済についてはあまり悲観的に見ていない。中国人民銀行による小規模銀行向け預金準備率引き下げ、中国政府によるインフラ投資を通じた財政刺激策の実施により、GDP成長率が2018年の6.5%から2019年に6.2%へ下落する影響が緩和される。フィナンシャル・タイムズの報道によれば、中国の王岐山国家副主席は2019年1月にダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて、2018年の中国の成長率が30年ぶりの低水準まで低下したものの、「成長率は十分な水準であり、決して低い数字ではない」とまで踏み込んで発言している。また「2019年は多くの不確実性を伴うと考えられるが、確実なのは中国の経済成長は継続し、持続可能であることだ」と付け加えている。

一方、インドのGDP成長率は今年の選挙の関係で7.4%に低下すると予想される。また、欧州についても成長が鈍化する見通しである。その要因としては、Brexitやイタリア財政などの問題、そしてドイツの首相交代や同国の自動車生産減少に伴う2018年第3四半期における経済の落ち込みが挙げられる。しかし、2019年の世界経済の減速は必要かつ健全な姿であり、世界的な金融危機の再発につながることはないだろう。世界経済の見通しに対する最大のリスクは、米中貿易戦争である。しかし、ネットベースで見た両国への直接的な影響は、せいぜいGDPの1%未満と推測される。

図3.成長率予想:2018年12月のCCC会合内容を反映

図3.成長率予想:2018年12月のCCC会合内容を反映

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

米ドル高、人民元安、マクロ経済情勢の不確実性などにより、2018年後半に金属価格は急落した。また、S&P GSCIは2018年12月24日に18か月ぶりの水準に低下し、年間で15%下落した。鉱業関連株も同様の動きとなり、S&P/TSXグローバル鉱業指数は2018年1月5日の73.76から同年12月31日には67.77まで低下した。

貿易加重ドル指数は2018年1月2日の91.87から同年12月31日には96.17と5%上昇した。金価格はドル高の影響を受け、年初の1,318US$/ozから年末には1,283US$/ozまで下落した。また、2018年8月16日に20か月ぶりの安値となる1,175US$/ozまで下落したが同年12月下旬に持ち直した。これは米連邦準備理事会(FRB)のJerome H. Powell議長が12月19日の記者会見で、2019年の利上げ想定ペースを2018年9月時点の3回から2回に変更するとの政策を発表したことによるものである。米連邦公開市場委員会(FOMC)は2019年1月30日、さらにハト派的な発表を行い、これまでの「さらなる段階的な利上げ」から、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジに関して将来的にいかなる調整が適切か「慎重に」決定する、と態度を一変させた。

金の次に重要な探鉱対象である銅は、2018年は順調に価格が上昇した。ロンドン金属取引所(LME)の銅の現物価格は、経済成長と供給の逼迫により、2017年の年間平均6,173US$/tから2018年は同6,527US$/tに上昇した。しかし、銅価格はマクロ経済環境が変化を見せ始めたため、2018年6月7日の4年ぶり高値7,331US$/tから、同年8月15日には14か月ぶりの安値5,759US$/tに下落した。LMEの銅現物価格は2019年に平均6,824US$/tに上昇すると見通している。

鉄鉱石価格は、マクロ経済環境の変化や鉄鉱石の供給の落ち込みに敏感に反応する。2019年の鉄鉱石価格は、2019年1月25日のブラジル・Feijão鉱山でのダム決壊によりVale南部の高品質鉱石が今年4,000万tの減産となる見込みから、不透明なマクロ経済情勢下でも上昇すると見ている。

LMEニッケル現物価格は、堅調な需要を背景に、2017年の年間平均10,411US$/tから2018年は同13,122US$/tに上昇した。2019年の平均価格は、供給量の増加に伴い12,240US$/tに低下すると見ている。一次生産量は2.8%増加し、2018年の215万tから2019年には221万tとなる見込みである。

LMEの亜鉛現物価格は、2017年の年間平均2,893US$/tから2018年は同2,919US$/tへ緩やかに上昇した。しかし、マクロ経済環境の悪化により、銅と同様、2018年2月1日に2007年来の高値3,606US$/tと上昇したが、8月15日には22か月ぶりの安値2,284US$/tに下落した。2019年のLME亜鉛現物価格予測は平均2,668US$/tである。

図4.主要鉱物コモディティ価格指数の推移(2018年1月2日~)

図4.主要鉱物コモディティ価格指数の推移(2018年1月2日~)

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

探鉱活動の回復は続く

2016年後半に始まった探鉱の回復は2018年の前半まで続き、非鉄金属の探鉱支出予定額は2年連続で上昇した。S&P Global Market Intelligence社が2018年に実施した上場/非上場企業3,300社以上を対象とした調査によると、世界全体の非鉄金属の関連予算総額は前年比で20%増加し、96億2000万US$となった。

探鉱への支出を計画している企業数は、2012年以来初めて前年を上回った。2018年に活発に探鉱活動を行った企業数は1,651社となり、2017年と比較し8%増加したものの、未だ2012年ピーク時の3分の2にとどまっている。探鉱計画が広範囲に拡大したことにより、探鉱への予算配分が増え、その平均値は580万US$、中央値は130万US$へとそれぞれ増加し、両数値とも前年を上回ったが、2011~2013年の水準を大幅に下回る状態が続いている。

ジュニア及び中堅企業による探鉱活動のための資金調達は、2016年3月以降改善が進み、それまでの3年間と比較し著しく改善した。資金調達状況は改善しつつあるが、2017年と2018年の調達額はそれぞれ96億US$と94億4000万US$で、2011年の194億1000万US$を大きく下回っている。

探鉱活動を主目的とする2018年の資金供給額は、2016・17年の水準と比べてわずかに減少したが、2016~2018年の3年間の合計額は株式市場が鉱業関連株から遠ざかり始めた2012年の水準まで回復した。

図5.ジュニア/中堅企業による大規模探鉱の資金調達額

図5.ジュニア/中堅企業による大規模探鉱の資金調達額

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

鉱業界のリスク回避行動は続く

S&P Global Market Intelligence社の長期的調査結果から、鉱業界が高度プロジェクトやマインサイトへの支出割合を増やしていることがわかる。この傾向は景気後退期にさらに顕著化する傾向がある。ジュニア企業はリスクの高い初期段階の探鉱ではなく、埋蔵量が確定した鉱床に限られた資金を使う選択をする傾向があるからだ。2017年と2018年の市況は改善したが、同年5グラスルーツ探鉱に配分された予算割合は過去最低の26%に低下した。これは市況が改善しても、企業がリスク回避行動を取り続けていることを示している。

図6.探鉱段階別の探鉱予算

図6.探鉱段階別の探鉱予算

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

企業収益が2017年の探鉱予算に割り当てられる割合は過去最低に

鉱業界は探鉱活動が将来を保証する重要な要素であることを広く認識しているものの、メジャー企業(収益が10億US$以上)が収益から新規埋蔵量や資源に対し投資する割合はきわめて低水準で推移している。こうした企業の2017年の調整後収益の平均は、6%増の34億4,000万US$となった。しかし、同年の探鉱費用はわずか1%増の4,980万US$であり、収益に対する探鉱支出の割合は、過去最低の1.4%まで低下した。2017年の収益と2018年の探鉱予算から算出すると、この割合は2018年に1.6%まで戻ると推測されるが、それでもほぼ歴史的低水準のまま6である。

同割合が今後向上する見込みは低いと思われる。上流企業の合併で一般的には探鉱活動が減少するためである。合併により収益統合が行われる一方、統合後の探鉱予算と支出額は減少する。これを示すよい例として、2001年のBHPとBilliton PLC社の合併、および2002年のNewmont Mining社によるNormandy Mining社の買収が挙げられる。また、最近のBarrick社によるM&A、およびNewmont社によるGoldcorp社の買収などで、被買収企業がポートフォリオの合理化を図ることにより、今後数年間に亘り探鉱支出割合は影響を受ける可能性がある。

メジャー企業はグラスルーツ探鉱支出への配分を減らしており、初期探鉱離れが進んでいるのではないかという懸念が高まっている。

メジャー企業は、2017年のグラスルーツ探鉱支出に収益のわずか0.4%しか割り当てておらず、これは過去最低だ。ピークだった1997年の2%をはるかに下回っている。2018年にはこの割合が0.5%に改善する見通しである。メジャー企業がグラスルーツ探鉱から手を引いてしまった訳ではない。ジュニア企業のグラスルーツ探鉱への予算は前年比で大幅に増加したが、メジャー企業は依然としてグラスルーツ探鉱支出でジュニア企業を上回っている。ただ、これらのデータから、メジャー企業の大半は枯渇した鉱床の代替と生産量の増加に向けて、レイトステージ/マインサイト探鉱に焦点を当てていることがわかる。

図7.メジャー企業の収益に対する探鉱支出割合

図7.メジャー企業の収益に対する探鉱支出割合

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

探鉱予算はほとんどの地域で回復した

2018年の世界の探鉱投資は、1つの地域を除き大半の地域で増加した。米国は前年の3分の1以上という過去最大の伸びを示し、8億5,200万US$となった。しかし、大洋州・東南アジア地域のみ減少し、前年の3億3,200万US$から3億500万US$となり、世界全体の探鉱予算合計に占める割合は4%から3%に低下した。

中南米は、世界探鉱予算に占める割合が記録的に伸びた2017年の30%から2018年は28%に減少した。しかし、この地域は依然として最も人気の高い探鉱地域である。ペルー、メキシコ、チリ、ブラジル、アルゼンチン、エクアドルの6か国でこの地域の探鉱予算の90%に達する。また、2014年以来初めて、中南米の探鉱対象鉱種としてベースメタルが金に並んでトップとなり、探鉱予算総額に占めるそれぞれの予算配分は42%となった。

欧州およびアジア大陸のほとんどを含むその他地域は、世界探鉱予算の17%を占め2位となった。配分額は中国が4億8,700万US$、ロシアは4億5,200万US$であった。アジア地域では、中国が過去9年間で8回首位となり、同地域の予算総額の29%を占めた。また、カザフスタン、スウェーデン、フィンランド、インドの4か国の予算配分はそれぞれ5,000万US$以上であった。

カナダは2017年に世界探鉱予算の15%を占め、4位から3位となった。ON州はカナダ予算総額の28%を占め、QC州が24%で続く。金の探鉱予算が37%と大きく増加したことにより、カナダの探鉱予算に占める金の割合も前年比で62%から64%に上昇した。ベースメタルも探鉱予算が43%とさらに増加し、同国の探鉱予算に占める割合が2017年の15%から16%に上昇した。

2004年以降5位だった豪州は2018年は世界予算の14%を占め、アフリカを僅差で抜き4位に浮上した。西豪州は、同国で最も人気のある探鉱地域でもあり、同国総探鉱予算の63%を占めた。金は依然として探鉱対象金属としてトップである。しかし、前年比14%増という比較的低い伸びにとどまり、同国予算に占める割合が61%から56%に低下した。2017年、ベースメタルは探鉱支出が58%増加したので同国予算に占める割合が21%から27%へと拡大した。

アフリカは世界予算の13%を占め、順位が3位から5位に下がった。しかし、4位である豪州との差はわずか5,100万US$であった。アフリカの最も重要な探鉱地域としては、DRコンゴ、ブルキナファソ、ガーナ、コートジボワールが挙げられる。この中でも西アフリカ(特にブルキナファソとコートジボワール)が注目され、2018年に金が再度同地域トップの予算配分となった。

しかし、アフリカの探鉱予算総額に占める金の割合は2017年の59%から54%に低下した。DRコンゴの銅への予算配分増加に伴い、ベースメタルの予算は42%増加し、同地域の予算に占めるベースメタルの割合は、2017年の19%から24%に増加した。

米国は、金と銅の探鉱によって地域としては第6位を保持し、大洋州・東南アジアの3%(2017年は4%)を上回って、9%(2017年は8%)を占めた。NV州は2018年の米国の探鉱予算で最大の割合(40%)を占め、NV州、AZ州、AK州の3州合計で73%を占めた。金は探鉱対象鉱種としてトップを維持し、予算額は28%増となったが、予算総額に占める割合は2017年の59%から57%と減少した。ベースメタルの米国予算に占める割合は昨年の30%から32%に上昇した。これは探鉱予算が40%という大幅な増加となったことに起因する。

大洋州・東南アジアでは、PNG、インドネシア、フィリピンへの支出総額は、世界予算の3%を占める同地域の総予算額の大半を占める。同地域の主要な探鉱対象鉱種は金(51%)とベースメタル(46%)である。大洋州・東南アジア地域における探鉱予算は最小規模が続き、2018年に探鉱予算割合(8%)が減少した唯一の地域となった。

図8.2018年の非鉄金属探鉱予算

図8.2018年の非鉄金属探鉱予算

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

電池材料用金属が再度、他の金属を上回る

近年、探鉱活動は、電池の必須材料として使用される多くの鉱物コモディティ価格の比較的堅調な動きに支えられて活発化している。こうした材料への今後数年間の需要増加を見込み、供給の拡大を図るため、以前は特に探鉱部門の中核と見なされていなかった鉱物コモディティの新規プロジェクト開拓や、既存鉱床の拡大に向けた取り組みが始まった。

2018年のリチウム探鉱予算は、2億4,710万US$という過去最高水準に達し、前年比58%の増加となった。リチウム探鉱はより多くの投資を引き付けたが、積極的に取り組む企業の数は横ばいで、2017年の136に対し2018年には137だった。

当社が調査した非鉄金属の中で、コバルトの探鉱支出予算は、パーセンテージベースで2年連続最大の前年比増加率を記録した。95社が合計1億1,080万US$をコバルト探鉱に割り当て、2017年の52社による支出額3,590万US$の3倍以上となった。

首位に立つ金、ベースメタルも動きの兆し

金の探鉱予算は前年比18%(7億5,660万US$)増の総額48億5,000万US$となり、2018年の世界予算増加を牽引した。金は世界探鉱予算の半分を占め、対前年比48%増加した。

2017年のベースメタルの探鉱予算はかなり低迷したが、2018年には大幅に躍進し、6億600万US$増の30億4,000万US$となった。銅の予算は金額ベースで最大の3億6,930万US$増、20億7,000万US$となり、亜鉛はパーセントベースで最大の37%増、6億7,180万US$となった。

世界予算に占めるその他金属の割合は合計13%、ウランとダイヤモンドがそれぞれ約2%、白金族金属が1%だった。

図9.リチウムおよびコバルト探鉱予算

図9.リチウムおよびコバルト探鉱予算

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

活況を呈するボーリング活動7

業界の2017年と2018年の探鉱予算の大幅な伸びを背景に、2018年のボーリング活動は拡大した。探鉱企業の報告によると、2017年は世界で1,132件のプロジェクト、43,312件のボーリングが行われ、2018年もプロジェクトが1,261件(14%増)、ボーリングが49,239件(11%増)と増加した。

2018年に報告されたボーリング結果の大半は金がターゲットだった。金探鉱プロジェクトのボーリング件数は対前年比8%増と増加したが、金プロジェクトの他鉱種のボーリング活動に対する割合は2014年以来最低水準であった。

探鉱会社が安全な投資先として金に注目していた2015年の時点では、金探鉱プロジェクト関連の報告書が全体の68%を占めていた。しかし、2018年を通して金探鉱プロジェクトの割合は四半期ごとに減少したことから、業界関係者が他金属へ投資を分散させたことがわかる。その結果、ニッケル(73%増)、銅(20%増)、鉛・亜鉛(17%増)、コバルト(83%増)とベースメタルへの投資が増加し、重要なボーリング結果を得られた数も着実に増加した。2018年のボーリング活動は11%増加し、有意な結果が得られたプロジェクト数も10%増加した。これは鉱業界がボーリング場所の選択を行う際のリスクをさらに負うことを厭わなくなったことを意味する。グラスルーツ探鉱におけるボーリング件数は、メキシコ、米国、カナダでのボーリングが牽引し、2018年には世界全体で前年比13%近く増加した。

2016年以降、ボーリング活動と有望なボーリング結果の水準は増加しているが、そのための資金調達が追い付いていない。金・ベースメタル探鉱向けの大規模(200万US$超)融資は、2017年の33億9,000万US$から2018年には29億1,000万US$に減少した。なお、2018年の大規模探鉱向け資金調達件数は、2017年より46件少なかった。

図10.重要なボーリング結果および資金調達額

図10.重要なボーリング結果および資金調達額

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

図11.重要なボーリング結果および資金調達額

図11.重要なボーリング結果および資金調達額

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)

図12.2018年における世界のボーリング活動(1,261件)

図12.2018年における世界のボーリング活動(1,261件)

出典:S&P Global Market Intelligence(2019年1月31日時点)


出典

1 世界経済見通し:曇り模様、世界銀行 2019年1月8日

2 世界貿易見通し指標、WTO 2018年11月26日

3 世界経済見通し(IMF)、国際通貨基金 2018年10月

4 2019年世界経済見通し:秋が来つつある、S&P Global Ratings 2018年12月11日

5 CES 2018‐グラスルーツ探鉱予算シェアが過去最低となった、S&P Global Market Intelligence 2018年11月22日

6 CES 2018‐収益に占める探鉱予算の割合が2017年過去最低となった、S&P Global Market Intelligence 2018年11月29日

7 2018年のボーリング活動は前年比14%増の7年ぶりの高水準、S&P Global Market Intelligence、2019年1月24日

特に明記しない限り、すべてのデータは2019年2月5日現在のものです。


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