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報告書&レポート

2020年10月16日 サンティアゴ 事務所 椛島太郎、岸蒼代香
20_09_vol.50

銅市場動向レポート(2020年8月チリ銅委員会)

―2020~2021年の予測―

<サンティアゴ事務所 椛島太郎、岸蒼代香 報告>

まえがき

本レポートは、チリ銅委員会(COCHILCO)2020年8月発行の“Informe de Tendencias del Mercado del Cobre. Proyecciones 2020-2021. Segundo trimestre de 2020”「銅市場動向レポート―2020~2021年の予測(2020年第2四半期)―」をJOGMECサンティアゴ事務所にて翻訳し、チリ銅委員会の許可を得てその全文を金属資源レポートに掲載するものである。チリ銅委員会では、2020年1月を皮切りに、同タイトルのレポートを四半期毎に発行しており、本レポートは2020年8月に発行された最新版となる。西語の原文については過去分も含め、以下のサイトからダウンロード可能となっているので、興味のある方は参照されたい。

https://www.cochilco.cl/Paginas/Estudios/Mercados%20de%20metales%20e%20insumos%20estrat%C3%A9gicos/Informes-Trimestrales-2015.aspx

(要旨)

2019年のチリの銅鉱石生産量は、世界全体の28%にあたる5,787千tであった。2020年上半期は2,832千tを生産しており、新型コロナウイルスによる影響により他産業が軒並み落ち込む中、銅輸出額が国全体の半分以上を占める状況が続き、より一層、銅価格に対する注目及び期待が高まっている。世界の銅需要の約半分は中国が占めており、足元の銅価格は中国における需要回復を背景に2020年8月19日に3US$/lbを超え、その後堅調に推移している。

後述のとおり、2020年7月13日時点での銅価格は2.96US$/lbであり、チリ銅委員会は2020年、2021年の銅平均価格をそれぞれ2.62US$/lb、2.85US$/lbと予想した。ちなみに2020年1月時点の予想はそれぞれ2.85US$/lb及び2.95US$/lbであったが、新型コロナウイルスの影響が顕在化し始めた2020年3月時点の情報をまとめた第1四半期版では、2.4US$/lb及び2.9US$/lbと大幅に下方修正されていた。2020年10月にまとめられるであろう次回レポートでは、現在の価格推移から類推すると現在より上方修正されるとみられる。

本レポートでは、銅価格は全て1ポンドあたりの価格US$/lbで表記されるため、以下にメトリックトンで換算した参考値を記す。

  • 2.50US$/lb ≒ 5,512US$/t
  • 3.00US$/lb ≒ 6,614US$/t
  • 3.50US$/lb ≒ 7,716US$/t
  • 5,000US$/t ≒ 2.27US$/lb
  • 6,000US$/t ≒ 2.72US$/lb
  • 7,000US$/t ≒ 3.18US$/lb

第1章 銅市場の最近の動向

1.1.銅価格の最近の動向

2020年7月末にかけての銅のスポット価格は、日によっては2.96US$/lbを超えるなど、予想外のレベルまで達した。しかし、同時に価格が3US$/lbに近づくにつれて更なる価格上昇の可能性は低くなる。現在の世界的経済情勢を特徴付ける「流動性のスーパーサイクル」の状況下では、新型コロナウイルスの結果に直面するためリスク回避が弱まり、銅先物契約のような流動性の高い資産の需要が高まっているが、同時に金の価格も数年ぶりの高値に押し上げられており、一方でドルの国際的価値は下落している。中国が示しているような急速な景気回復や、金属の主要生産国での供給減のリスクにより金属取引所における精製銅の利用可能在庫のレベルが低下していることは、金属価格にとって好ましい短期シナリオである。

しかし、短期的に見て銅価格にとって最大のリスクとなるのは、米国、欧州、アジアなどのロックダウン(義務的隔離措置)を緩和した国々において2020年7月末に見られたような、新型コロナウイルスの再拡大である。それにより再びロックダウンを敷くリスクが高まり、現在の景気後退をより深刻化させるため、回復に時間がかかり、結果として中国以外の銅需要の見通しが悪化する。現在世界で感染者は約1,700万人を超えるなど米国を筆頭に感染拡大は加速しており、世界保健機関(WHO)も注意を促している。

図1bに見られるように、2020年7月の月平均価格は2.88US$/lbに達した。これは2020年の最高月平均値であり、最低値である4月よりも25%高いが、一時的な傾向であることは間違いない。3月中旬以降、銅のスポット価格(図1a)は上昇チャネル内でシフトしているが、これは米国のFEDが2度にわたりFF金利を引き下げ、金融政策の正常化が中断したことがきっかけとなっており、その後世界の主要な中央銀行がそれに続き、現在の流動性サイクルをもたらした。

図1aからもわかるように、価格は3US$/lbに近づくにつれ勢いを失い、横ばいにシフトする傾向がある。これは新型コロナウイルスワクチンが存在しないこと、または死亡率を効果的に低減する治療法が確立されていないことなどの問題を前にして、現在の上昇傾向が逆転することに対する危機感が高まるためである。

図1a.2020年第1四半期の銅価格動向 図1b.2020年月平均銅価格

図1a.2020年第1四半期の銅価格動向              図1b.2020年月平均銅価格

出典:ロンドン金属取引所(Refinitiv)

既存のリスクや、2020年第4四半期にかけて米国や欧州の経済活動が漸進的に回復していく状況を考慮したとしても、今年の終盤にかけて銅価格は現在よりもやや低い基準にとどまり、2020年の平均価格は2019年平均価格(2.72US$/lb)よりも低くなる可能性が高い。

中国の銅輸入は、今後の中国国内の銅需要の動きを予想するのに良い指標である。図2aは2016~2020年の5年間における各年第1四半期の銅精鉱と精製銅(アノードと銅製品を含む)の輸入量を示している。2020年第1四半期には貿易活動が停滞したにもかかわらず、2020年6月にかけての輸入量はその5年間で最高である。ロンドン金属取引所(以下、LME)と上海先物取引所間の活発な精製銅の裁定取引や、主要銅生産国の鉱業活動が一時中断したというニュースにより金属不足の認識が生まれたことがこれに影響を与えた。

図2a.各年6月までの銅精鉱と精製銅の輸入 図2b.各月の銅輸入の変動率

図2a.各年6月までの銅精鉱と精製銅の輸入         図2b.各月の銅輸入の変動率

出典:Refinitiv、中国税関

中国では、2020年以降は年初からの新型コロナウイルスの影響により、2020年の銅需要見通しが急激に悪化したことを覚えておく必要がある。2020年1〜2月の間には、統計局が算出した製造業PMI1は1月の49ポイントから35.7ポイントに下落した。6月には51ポイントを記録したが、それは需要が低迷していることを表している。

現在までのところ、製造業は2019年末の生産レベルに未だ達していないが、その理由の一つは国内需要が大幅に減少し、現在まで回復していないためである。2020年には銅の主要用途である自動車、空調機器、電子機器などの耐久消費財の売り上げが縮小する可能性がある。

中国が輸入する銅の約30%が半製品やワイヤーやケーブルとなって輸出されており、主な貿易相手国(米国、欧州)は2020年を通して景気後退に晒されているため、上記のようなマイナスの影響は一層悪化する。

欧州と米国の2020年6月の製造業PMIは50ポイント未満、つまり収縮ゾーンに留まり、ロックダウンの厳しい現状を反映している。


図3a.米国・欧州・中国の製造業PMIの動向       図3b.米国・欧州・中国の工業生産の12か月の変動(×100)

出典:Refinitivの公開情報をもとに作成

1.2.精製銅の世界在庫の動向

2020年、世界の銅市場は、金属取引所の利用可能な精製銅在庫が2009年以来最低のレベルでスタートした。世界の銅需要は縮小しているにもかかわらず、在庫量は減り続けており、2020年の最高レベルに達した3月中旬から7月にかけては42.3%減少し、現在は全体で36.8万tである。3月末以降、ペルー、メキシコ、チリが鉱業事業の一時停止を発表したことにより、市場が金属不足を警戒し、金属取引所の倉庫から大量の銅が放出されたのである。図4a及び図4bは2016年1月~2020年7月の在庫の日次変動及び同期間中の平均値の変動を示しており、2020年初めは在庫レベルが低いことがわかる。

この図には上海港税関の倉庫の利用可能在庫量も含まれているが、1月以降26%の減少を記録し、現在の在庫量は21.7万tとなった。

図4a.各金属取引所及び上海保税倉庫における銅在庫量の変動 図4b.12か月間の在庫の月次変動

図4a.各金属取引所及び上海保税倉庫における銅在庫量の変動       図4b.12か月間の在庫の月次変動

出典:Refinitiv公開のデータをもとにCOCHILCO作成

1.3.投資ファンドとヘッジファンド

図5aと5bは銅の先物契約に投資する投資ファンドとヘッジファンド(投機家)の振る舞いを示しており、商品市場におけるその動きは金属価格の短期変動の説明要因となっている。日次変動は銅市場の根本的な要因だけでなく、経済および財政の見通しの変化によっても引き起こされる。最近では、新型コロナウイルスがもたらしたパンデミックによる変動も影響している。

図5aは2019年7月~2020年7月のLMEにおいて投資ファンドが取引する銅の先物契約でのネットポジション(買い-売り)の動向を表している。当期間の大部分においてショートポジションが優勢であるが、つまりそれは投資家たちの間で金属価格の短期変動に対して消極的な見方が広まっていたということである。しかし、3月以降見通しは変化し、ネットポジション(買い-売り)は少しずつだが体系的に現在のプラス域まで移動した。この動きの決定要因となったのはFEDの戦略変更と中国経済の漸進的回復である。

図5a.LMEの銅先物契約の投機的ポジション 図5b.LMEの銅先物契約の投機的なロングポジションとショートポジション

図5a.LMEの銅先物契約の投機的ポジション    図5b.LMEの銅先物契約の投機的なロングポジションとショートポジション

出典:LMEの情報をもとにCOCHILCO作成

第2章 銅市場の予測アップデート2020-2021年

2.1.世界の精製銅需要の予測アップデート

2020年には世界の精製銅需要は2,306万tになり、2019年と比較して75.5万tに相当する3.2%の減少と予想される。一方、中国における需要は2%減少し、2019年より25.6万t少ない1,254万tとなるが、世界全体では54%と中国の占める割合は依然高いことになる。中国を除くその他の国の需要は全体で前年比4.5%の減少があり、特に欧州(同比-6%2)、米国(同比-5.5%)、日本(同比-5%)の下落が大きい。これらの国は中国と合わせると世界の精製銅需要の80%を占める。

2020年6月に更新された国際通貨基金(IMF)の予測によると、世界のGDP成長率は2019年が2.9%であったのに対し、2020年は-4.9%になると見込まれている。中国は2019年には6.1%であったが、2020年は1%の成長を記録し、その他の主要な銅消費国は、欧州(-10.2%)、米国(-8%)、日本(-5.8%)と大幅な下落が見込まれる。しかし、国際通貨基金も指摘するように、この予測にはかなりの不確実性が伴う。主な関連事項として、活動再開の段階に入った国での新型コロナウイルス感染の第2波到来、パンデミック収束後の耐久財の消費や投資の回復速度、米中間の緊張の高まり、安全且つ効果的な新型コロナウイルスのワクチン開発の見通しが立っていない、2020年11月の米国大統領選挙などがある。金の大幅な価格上昇やドル安の傾向は、不確実性の高まりを反映している。

とは言え、中国の主な経済指標はIMFの予想よりもやや早い回復を示しており、2020年第2四半期の国内総生産(GDP)は年間成長率3.2%を記録し、2020年第1四半期の-6,8%に比べて期待を上回った。2020年6月の工業生産は前月(3,9%)を上回り4.8%の拡大となり、2020年4~7月の期間の製造業PMI(財新)は拡大領域(50ポイント以上)に入った。2020年6月までの銅輸入に関して、銅精鉱は2.8%の増加、精製銅、アノード、銅製品は24.6%増加し、同月のインフラ投資は2.7%となり今年に入り初のプラス成長を記録した。しかし、小売業の消費は後れを取っており、第1四半期を通してマイナス領域にとどまったが、2020年の後半には回復が見込まれる。一方、2020年6月の財輸出の成長率は0.5%と、2019年12月の7.6%に比べ大幅な減少を記録し、主な貿易相手国(米国、欧州)におけるロックダウンの影響が窺える。

2020年の中国における銅需要の見通しは悲観的であるが、下落は-2%に抑えられるであろう。E-モビリティのネットワーク強化などのインフラ投資に関連して発表された景気刺激策や金融緩和政策、短期的な金属不足の可能性が、2020年の後半にかけて需要を支えることとなろう。

一方で、米国、欧州、日本では消費・生産活動や投資が鈍化したため、金属需要は深刻な影響を受けており、2020年第1四半期のGDP成長率は米国(-5%)、欧州(-3.1%)、日本(-3.4%)とマイナスを記録したのに加え、第2四半期も大幅な落ち込みが見込まれているため、IMFが予測する通りの結果となろう。銅需要を生み出すのに重要なセクターである工業生産は、米国では2020年6月に年間平均で10.8%の減少を記録し、欧州と日本でも2020年5月にはそれぞれ20.9%と8.9%の減少が見られた。結果として、これらの国の2020年の銅需要は合計で5.7%の減少が予想される。

以下の表は精製銅需要に対する予測をまとめたものであり、一次生産とスクラップ処理双方からの需要が含まれる。

表1.2020~2021年の精製銅需要の予測      (単位:千t)

表1.2020~2021年の精製銅需要の予測 (単位:千t)

出典:COCHILCO(注:p=暫定値 e=予測値)

IMFの予測によれば、2021年には世界の経済成長は大きく回復し、2020年と比較して5.4%拡大する。中国の経済成長は8.2%伸び、米国は4.5%、日本も2.4%に達するであろう。これを背景に、精製銅需要は2,380万tとなり、今年と比較して3.2%拡大する見通しである。ただし、上記の表に見られるように、世界全体の銅需要量は2019年の記録をわずかに下回る模様である(-0.1%)。

2.2.世界の銅鉱山生産の予測

世界の銅鉱山生産の予測は、建設中の投資イニシアティブを含めた主要な鉱山事業の生産能力を考慮している。それに加え、非常に可能性の高いプロジェクト70%、および可能性のあるプロジェクト30%と、Wood Mackenzie社がそれぞれ区分した事業ポートフォリオの生産能力が考慮される。2020年の生産予測は、新型コロナウイルスの影響、運用上の問題、プロジェクト開始の遅延、鉱石品位低下、回収率の低下および気候の影響を考慮して7%下方修正された。

a.2020~2021年の世界の銅鉱山生産予測

2020年の世界の銅鉱山生産(SxEwカソードと銅精鉱)は2019年比2.9%減、つまり60.3万t減の2,006万tになると予測する。主にペルー(前年比-15%)、メキシコ(同比-20%)、チリ(同比-1.2%)が影響を受けているが、当レポート作成の時点でペルーとメキシコでは新型コロナウイルスの感染者が増加し続けているため、2020年末までの生産の進展には不確実性が残る。

ペルーと比較すると、チリにおける新型コロナウイルス拡大による生産操業の停止は極めて少ない。2020年第2四半期の終盤には、国内中北部の鉱区で感染者が急増したことを受け、労働者がストライキを宣言した鉱山もあったが、2020年7月末にはその危機も収まった。

2020年6月の時点で入手可能な国内生産に関するデータによれば、生産は2.6%増加したが、鉱山労働者の大幅な減少や2019年後半との比較基準が増えることにより、2020年後半にはある程度の減少が予測される。一方、Codelcoは感染拡大を抑えるため2020年6月にChuquicamata精錬所を一時的に閉鎖することを発表したが、それにより精製銅の生産見通しが変化し、一時的に銅精鉱の供給量が増え、精製銅の価格が上昇した。

CRU Copper Monitorの報告によると、2020年6月までに新型コロナウイルスによる生産の中断は世界で45.9万tにも及び、価格要因による生産中止も含めると更に15.9万tが加わるが、当レポートの作成時点(2020年7月)でチリにおいて生産減のリスクは存在し続けている。

以下の表は2020年と2021年における世界の銅鉱山生産予測をまとめたものである。

表2.2020~2021年の銅鉱山生産の予測      (単位:千t)

表2.2020~2021年の銅鉱山生産の予測      (単位:千t)

出典:COCHILCO作成

2021年には世界の銅鉱山生産量は2,108万t3に達し、2020年に対し5.1%、すなわち101.7万tの増加と予測している。現時点では2021年には新型コロナウイルスに関連した生産の中止は無いと想定する。このシナリオにおいて生産量が増加するのは、主にペルー(前年比+14.8%)とメキシコ(同比+23.5%)による新型コロナウイルスからの回復や、ザンビア(同比+12.8%)における生産強化による。世界一の生産を誇るチリでは、わずかに増加(同比+1.9%)し、580万t弱の生産レベルに達する見通しである。

b.6月までのチリの銅鉱山生産

チリの銅鉱山の生産量は、2020年6月の時点で2.6%増加し、283万tに達した。Sierra Gorda銅鉱山とCollahuasi銅鉱山はそれぞれ33.8%と26.8%という2020年上半期で最も高い成長率を記録し、CODELCOとEscondida銅鉱山も、それぞれ4.7%と5.1%の成長を記録した。

表6は2020年1~6月の国内15ヶ所の主要銅鉱山の動向と、2018~2020年の月次生産の軌道を示している。

図6.2020年1~6月におけるチリの銅生産   (単位:千t)

図6.2020年1~6月におけるチリの銅生産   (単位:千t)

出典:各企業のデータをもとにCOCHILCO作成

2.3.2020~2021年の精製銅の世界バランス予測

2020年と2021年の精製銅市場はそれぞれ13.1万tと17.1万tの余剰が生じると予測する。これは世界の2~3日分の消費に相当する量であり、金属市場において需要と供給のバランスが取れた状態であると言えるが、現在の精製銅の市場バランスの予測はかなりの不確実性を伴っている。グローバル流動性の高まりは中国の銅需要を押し上げているが、その他の国では更なる需要低迷のリスクが潜んでいる。7月の最終週には、銅の需要大国である米国、欧州、日本において新型コロナウイルスの感染再拡大が報じられており、新たな封じ込め措置の実施を余儀なくされている。

また、供給側の不確実性も重大である。メキシコ、ペルー、チリは合計で世界の銅の43%を供給しているが、Johns Hopkins大学の統計によると新型コロナウイルスの感染はそれぞれ世界で6位、9位、8位を占めており、ペルーとメキシコに関してはロックダウンの解除に伴って感染者数も日ごとに増加している。

以下の表3は、2020年と2021年における精製銅の世界バランスの予測をまとめたものである。

表3.2020~2021年の精製銅の世界バランス予測     (単位:千t)

表3.2020~2021年の精製銅の世界バランス予測     (単位:千t)

出典:COCHILCO(注:p=暫定値 e=予測値)

2.4.短期的な銅価格の見通し

2020年7月最終週には銅のスポット価格は2.96US$/lbを上回り、前回2020年3月の銅市場動向レポートでは全く予期していなかったレベルに達した。現在の価格のレベルは様々な要因が重なって引き起こされており、例えば、予想を上回る速さで中国経済が回復したこと、主要生産国における新型コロナウイルス感染拡大による生産の一時停止がもたらした金属取引所の精製銅在庫の減少、世界的な高流動性(低金利)のサイクルによって銅などの流動性の高い資産への需要が高まり、国際市場でのドルの価値が下落したことなどがある。

これまでのところ、米国および欧州での新型コロナウイルスの感染第2波の潜在的影響が金属価格下落リスクの主な原因となっており、現時点では市場はその他のリスク、つまり米中両国の領事館の閉鎖に見られるような両国間の地政学的緊張の高まりなどは考慮していない。

上記のようなダイナミクスに基づき、最も可能性の高いシナリオとして、銅平均価格は2020年に2.62US$/lbとなり、2021年には2.85US$/lbになると予測する。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大という現在の状況の中で、第2波の深刻なリスクを完全に排除することはできない。それは世界の経済成長を悪化させ、その結果中国以外の地域における銅需要や、世界の主要生産国における供給に悪影響を及ぼし、2020年を通して金属価格のボラティリティを上昇させることになるであろう。

2.5.参考文献

  • -COCHILCO、Producción Chilena de Cobre Mina por Empresa、Dirección de Estudios y Políticas Públicas発表の月次レポート
  • -CRU Copper Monitor、2020年1~6月レポート
  • -ペルー共和国エネルギー鉱山省、金属鉱山生産統計(www.mine.gob.pe)
  • -Infinitiv(ロイター)、世界経済ニュースと情報システム
  • -Wood Mackenzie Research and Consulting、Metals Market Service – Monthly Update.
  • -Wood Mackenzie Research and Consulting、Metals Market Service、世界銅鉱業データベース
  • -Wood Mackenzie Research and Consulting、Metals Market Service、Global Copper Short Term、2020年6月レポート
  • -Wood Mackenzie Research and Consulting、Metals Market Service、Long Term Outlook、Q2 2020
  • -World Metals Statistics、2020年7月世界銅市場月次統計

Dirección de Estudios y Políticas Públicasにより作成

Coordinador de Mercados Mineros
Victor Garay Lucero

Director de Estudios y Políticas Públicas:
Jorge Cantallopts Araya

2020年7月


  1. Purchasing Managers Index(購買担当者景気指数)。50ポイントを下回ると縮小を意味する
  2. 原文では「6%」との記載である。
  3. 原文では「2,008万t」との記載である。

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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