No.03-04   2月 6日
 

インドネシア・大統領、エネルギー投資を強く要請

 メガワティ大統領は1日、国内外の投資家らに対し、石炭や石油ガス、電力などエネルギー分野への投資を強く要請した。治安や労働問題など解決すべき課題は依然残っているものの、今年は投資促進に本腰を入れる方針であり、進出には最適な時期と強調している。
 大統領はバリ島で行われた鉱物資源エネルギー省関連の内外ステークホルダーとの会合の席で、エネルギー分野への投資強化を要請。以前から開放されている石炭部門に加え、石油ガス、電力の両部門でもすでに国営企業のプルタミナおよびPLNの独占を廃止したと述べ、経済危機からの脱出を図る上で今後はエネルギー分野を原動力とする考えを強調した。
 その一方で、治安や労働問題、地方政府による一方的な金銭徴収など、同分野への企業進出を妨げている要素が数多く残っていることも認めたが、「これらすべてと比較しても、投資が産業界自らにもたらす利益の方がより大きい」と主張。これらの課題については政府も解決に動き出しており、各企業は政府への提言や報告を積極的に行ってほしいと述べた。
 大統領はまた、今年は輸出振興と投資環境の改善に本腰を入れる方針であり、エネルギー分野へのインドネシア進出には現在が最も適した時期であるとも説明。閣僚らにも民間企業の声を真剣に聴くよう指示を出していると付言した。
 また、同席したプルノモ鉱物資源エネルギー相は、「今年の天然資源分野への投資額は50億~60億米ドルに達する」との見通しを表明した。これは全分野での投資額見通しの40%に相当し、昨年(34億1,800万米ドル)、一昨年(39億4,400万米ドル)の実積を大きく上回る額。
 保護林地域での鉱業認可や税制優遇の遅れをめぐる問題が解決すれば、さらに鉱業部門で操業をストップしていた企業が2005年までに投資を再開する見通しだと述べ、この2つの問題については関係閣僚とさらに調整を図っていきたいとしている。
 さらに、同相は、国営Aneka Tambang社とカナダ系鉱山Inco社による総額3億米ドルの南西スラウェシ州ニッケルプロジェクトに係る新規投資契約が締結されたことを明らかにした。(Feb. 3 (Mon) 2003 News Net Asia, Reuters)
(2003. 2. 4 バンコック 市原秋男)目次へ

インドネシア・鉱山アンタム、向こう3年は業績低迷

 国営鉱山P.T.AnekaTamban社は、同社の業績が2003~05年にかけて大きく成長することはないとの見通しを示した。延期が続いている北マルク州Halmaheraのフェロニッケル事業拡張(FeNi III)の実現に注力する必要があるため。
 今年の生産量予測はニッケル1万トン、金4,000トンとほぼ横ばいで、収益目標も1兆8,000億ルピアと昨年実績の1兆7,000億ルピアから微増にとどまる見通し。このほか年内に予定している自社株買い戻しも、FeNi IIIの遅れに伴い政府から承認を受けられないでいるという。
 FeNi IIIは当初2001年の開始を予定していたが、4億米ドル余りに上るとみられる融資元の選定が難航。現在はドイツの金融機関の輸出融資と国営バンク・マンディリの融資を受けることが有力となっており、3月にも合意に至るとみられている。(Jan. 29 (Wed) 2003 News Net Asia)
(2003. 1. 30 バンコック 市原秋男)目次へ

タイ・豪キングスゲート、「金」採掘順調

 タイ国内で金鉱採掘を行っている豪Kingsgate Consolidated社は、昨年10~12月期の金採掘量が前期(7~9月期)の3万9,777オンス(1オンス=31.103グラム)から3万7,294オンスに減少したものの、採掘コストは1オンス当たり131米ドルから123米ドルに減少したと発表した。金の取引価格は現在363.5米ドル/オンス前後であり、粗利は240米ドル/オンスに達している。同社は今年度(2002年7月~2003年6月)までに16万オンスの金を生産できると見込んでいる。
 同社は完全子会社Akara Mining社を通じて1995年にタイ北部・東北部で金鉱調査を開始、2001年12月から北部ピチット県と東北部ペチャブン県にまたがるChatree金鉱山で本格的な商業生産を開始している。(Jan. 28 (Tue) 2003 News Net Asia, Kingsgate社)
(2003. 1. 31 バンコック 市原秋男)目次へ

Consolidated Broken Hill社 Raspプロジェクトで亜鉛・鉛高品位鉱徴を捕捉

 Mining Australia誌1/27号によれば、Consolidated Broken Hill社がBroken Hill地域で実施中のRaspプロジェクトでボーリング調査により高品位鉱徴が捕捉された。
 本プロジェクトは、Perilya社のBroken Hill鉱山の北隣に位置し、Western Mineralisationと呼ばれる鉱化帯をターゲットとする調査。同社は開発目標として鉱量20万t(亜鉛・鉛量)の獲得を目指し、現在ボーリング調査を中心にF/Sが進められている。
 今回、WMDD4031孔で、深度312.4mで亜鉛18.5%、鉛13.6%、銀60g/t(コア長5.3m)、深度304mでは、亜鉛11.7%、鉛6.6%、銀35g/t(コア長13.7m)。
 さらにWMDD4033孔では、深度348mで亜鉛8.7%、鉛15.7%、銀116g/t(コア長6.2m)、深度336.2mでは、亜鉛7.4%、鉛6.1%、銀49g/t(コア長22.3m)の有望な鉱徴が捕捉された。
 同社は調査初期のボーリングでも亜鉛13.6%、鉛8.5%の高品位鉱徴を捉えており、今回の結果により、Western Mineralisationの高品位部がさらに広がっていることが明らかとなった。
(2003. 2. 5 キャンベラ 三宅一弘)目次へ

豪州のPGM探査動向

 豪州でPGM探鉱を行っているPlatinum Australia社、Helix Resources社の12月期報が発表された。
 Platinum Australia社は、現在WA州北部Kimberley地域のPanton岩体で調査を行なっており、2001年後半からBankableがF/S開始されている。これまでに実施されたボーリング調査により鉱量は合計10.6百万oz(5.8g/t、PGM+Au)と見積もられている。
 また、同時に行なわれているパイロットプラントでの金属抽出試験では、Pt、Pdの回収率90%以上、金が95%以上と良好な成績をあげており、環境調査等も含めF/Sは2003年3月に完了の見込、豪州初のPGM鉱山として期待される。
 Helix Resources社は、南アLonmin社とJ/Vを形成してMunni Munniプロジェクトを実施中であるが、12月期には調査は行なわれず、また2003年の具体的な調査計画も検討されておらず、一端中断となる。Helix社によれば最近のPd価格の下落や、同時に調査中の2つの金プロジェクトに集中するためという。一方、同社は新規のPGMプロジェクトとしてWA州南東部で塩基性~超塩基性岩体中のPGM層をターゲットとしたLoonganaプロジェクトを開始している。12月期には最初のボーリング調査を行い、岩体の広がりの確認、岩相区分を行っている。
(2003. 2. 3 キャンベラ 三宅一弘)目次へ

豪・Nifty鉱山、ビルラグループに売却

 Straits Resources社(本社パース)は、1月24日、Nifty銅鉱山(WA)を、インドのビルラグループ(Aditha Birla Group)に159M豪ドルで売却することを発表した。Nifty鉱山は、塊状硫化鉱タイプの銅鉱山で、現在は酸化帯のヒープリーチ及びSXEWによる生産を行っている。2000~01年の銅生産量は22,111t、資源量は1.48億t(銅品位1.3%)である。現在酸化帯で操業しているが、今後下部の硫化鉱を開発し増産する計画がある。また、Nifty鉱山周辺のPatterson地域の探鉱プロジェクト及びMarchdoore鉱床(層準規制の銅コバルト鉱床、資源量5.1Mt)プロジェクトも同時に売却される。Straits社は、92年設立、94年にASX上場。Nifty鉱山の他、Sebuku石炭鉱山(インドネシア)の操業を行っている。ビルラグループはインド第二の規模を持つコングロマリットで、アルミニウム、銅、繊維、パーム油等の原料の他、IT、保険等広い分野のビジネスを行っている。銅に関してはMumbaiに銅製錬所(年産200千t)を操業しており、将来的にはNifty鉱山の精鉱は、銅製錬所の原料の約40%程度を占める計画である。ビルラ財閥は、最近の銅鉱業グローバル化、BHP Billiton等による銅減産等により国際的な精鉱市場がタイトになっており、豪での直接投資による鉱石確保を決めた。
(2003. 2. 3 キャンベラ 神谷夏実)目次へ

豪・CBH社、PasmincoよりElura鉱山買収

 CBH社(Consolidated Broken Hill社、本社シドニー)は、PasmincoのElura鉛亜鉛鉱山(NSW)を買収するための最終的な交渉に入った。Due Diligenceは既に終わっており、技術評価、買収交渉を03年2月中旬に終える計画である。買収交渉や評価は、CBHとClough Engineering社が共同で行っており、買収後両社が50:50で操業を行う予定である。CBH社は、Broken Hill鉱山の再開発のためのBFSを実施中であり、Elura鉱山の買収が成功すれば、キャッシュフローが得られ同社の財務体制は大幅に強化される。
 Elura鉱山は73年に発見され、83年から生産が始まった。粗鉱生産は年産1.1~1.2Mtで、亜鉛精鉱73千t/年、鉛精鉱42千t/年(銀880千ozを含む)を生産している。資源量は13.9Mt(亜鉛9.1%、鉛5.6%、銀66g/t)で、今後10年程度の操業が可能である。
(2003. 2. 3 キャンベラ 神谷夏実)目次へ

カズクロム社は2003年から中国へ製品輸出を計画

 カザフスタン共和国のカズクロム社は、2003年からフェロクロム生産品の約20%を中国に輸出する計画であることを、当社のアリドジャン・イブラギモヴ社長がインターファックス社に述べたと報じている。
 この情報によると、同社長は、中国市場はカザフスタン共和国にとって魅力との見通があり、地理的にも隣接している中国は、経済がダイナミックに発展しており、カ国の有望な販売市場であると述べた。しかし、同社長は、中国への鉄道輸送に関しては、現在、両国間において車輪幅が異なることより、国境通過にあたり輸送量の制限を受ける問題点も指摘し、他企業との競争を鑑みた場合、国の関与が必要であると発言した。
 現在、カズクロム社が保有しているクロム埋蔵量及びクロム鉱採掘量は世界で第2位になっており、同社長の言葉によると、同社の自己原料資源、電気エネルギー、生産基盤などは長期に確保されており、同社の年間商取引高は500百万US$、フェロアロイの年間生産量は百万t以上あり、同社の輸出額はカザフスタン共和国の輸出額の4.5%を占める位置づけにあると説明している。
 カズクロム社は、フェロアロイの供給に関して、米国、欧州、日本に製品輸出をしているが、その他、CIS諸国の中ではロシアとウクライナと契約を締結しており、今後、同社は、フェロアロイの供給のみならず、ステンレス鋼の生産工場建設に関する計画を持っているとの情報もある。
 カズクロム社は、1995年に設立(株式会社化)され、現在、約16千人の労働者が就業している。また、カズクロム社傘下のアクス・フェロアロイ工場においては、カラガンダ州にあるTURと呼称されている低品位燐マンガン鉱床を開発しており、このTUR鉱床の埋蔵量は12百万tと評価され、カ国内で開発されている総マンガン埋蔵量の70%にあたるとされている。
(2003. 1. 28 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カ国政府はカザフミス社傘下のIrtysh銅精錬工場の解散を承認

 カザフスタン共和国政府は、東カザフスタン州にあるカザフミス社傘下のイルティシュ(Irtysh)銅精錬工場(IMZ)の解散と、その工場を軽工業・食品工業企業に変更させる決議を採択したと、1月20日付けのGAZETA.KZが報道している。
 この情報によると、係る政府決議はロシアのウラル冶金グループが、当該銅精錬工場の買収を拒否した後に決定されたもので、カザフミスによる原材料の搬入によるIMZの操業再開プロジェクトも、当該工場の債務のため不履行になったとしている。
 この決議により、カ国政府は、東カザフスタン州のヴィタリー・メッテ知事と環境保護省に対し、カザフミス社が提案した、IMZに従事していた1,200人の労働者に係る就職あっせんを目的とした企業交代プロジェクトの検討を委任したとしている。また、カ国政府は、IMZの投資者に対し、当該工場の労働者に1年以内に給料の3分の2を支払うことと、定年までの賃率の50%を手当として支払う義務を負わせたとしている。<関連情報:2002年12月9日付け当事務所発「東カザフスタン州のイルティシュ銅精錬工場を取り巻く動きについて」>
(2003. 1. 29 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフミス社のNurkazgan銅鉱山が本格操業を開始

 カザフスタン共和国の中央部カラガンダ州にある、カザフミス社傘下のNurkazgan銅鉱山(採取所)の開所式が、カ国ナザルバエフ大統領の出席のもと、1月13日に開催された。
 この情報を報じているGazeta.KZによると、Nurkazgan銅鉱山は、カラガンダ州テミルタウ市から10km離れたところにあり、銅鉱石以外に金・銀鉱石を採掘する予定であり、鉱床埋蔵量は109百万tで、30年間の開発が予定されている。当初は、露天掘り採掘で操業し、将来は坑内採掘にも着手する計画である。
 また、Nurkazgan鉱山のマヒムド・ムスタフィン所長の話として、同鉱山は最新の設備と技術を有しており、プロジェクトの生産能力は百万t/年とし、将来は選鉱工場を建設する予定であるとしている。なお、同鉱山への投資額は110百万US$程度であると報じられている。
(2003. 1. 28 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフミス社の2002年の生産等状況について

 カザフスタン共和国のカザフミス社における2002年の生産状況について、同社の広報担当がインターファックス社を通して次のとおり公表したので紹介する。

( )内は、前年比
 
2002年
前年(2001年)
精錬銅(千トン)
431 .7 ( +3.2%)
418 .4
金(kg)
3,899   (-30.1%)
5,581  
銀(トン)
673 .9 ( +3.0%)
654 .2
精錬亜鉛(千トン)
72 .3 ( +6.6%)
67 .8
鉱石採掘(百万トン)
41 .1 ( +4.0%)
  -

 なお、カザフミス社の株は、Samsungグループが42.55%、Future Kapital社が10%、ABNAMRO Bank Kazakhstanが9.51%を保有しており、2002年12月27日に24.65%の国家保有株が売却されたが、新しい株保有者の名前等は不明(非公表)である。
(2003. 1. 29 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフスタン共和国における2002年の非鉄金属の採掘生産状況について(速報)

 カザフスタン共和国における2002年の非鉄金属の採掘量、生産量について、カ国統計庁が公表した数値は次のとおり。

  注) 数値は2002年値、< >内は2002年12月値、( )内は対前年・前年同月比
  <銅>
    銅鉱採掘: 36,667.9 千t ( +5.1%) < 2,946.4 千t ( -1.2%) >  
   
    銅精鉱生産: 1,823.9 千t ( +1.4%) < 150.1 千t ( -1.5%) >  
   
    銅生産: 473.1 千t ( +0.8%) < 38.9 千t ( -2.0%) >  
  <鉛・亜鉛>
    銅亜鉛鉱採掘: 5,844.7 千t ( +4.1%) < 403.1 千t (-18.8%) >  
    鉛亜鉛鉱採掘: 6,213.8 千t ( +8.2%) < 565.3 千t (+15.8%) >  
   
    鉛精鉱生産: 88.3 千t (+15.0%) < 3.5 千t (-36.4%) > 鉛生産: 45.2 千t (+20.5%) < 2.5 千t ( -3.8%) >
    亜鉛精鉱生産: 753.6 千t (+13.6%) < 72.6 千t (+35.7%) > 亜鉛生産: 392.8 千t (+14.0%) < 37.0 千t (+33.1%) >
  <金>
    含有金鉱石採掘: 6,705.0 千t (+27.3%) < 749.7 千t (+22.6%) >  
   
    金精鉱生産: 129.3 千t ( +7.0%) < 8.3 千t ( -5.7%) >  
  <マンガン>
    マンガン鉱採掘: 1,797.2 千t (+29.6%) < 153.4 千t (+13.4%) >  
   
    マンガン精鉱生産: 731.6 千t (+14.3%) < 54.3 千t ( +2.3%) >  
  <クロム>
    クロム鉱採掘: 2,369.4 千t (+15.8%) < 208.5 千t (+26.7%) >  
  <重晶石>
    重晶石鉱採掘: 63.0 千t (-59.1%) < 2.5 千t (-91.0%) >  
    重晶石精鉱生産: 47.2 千t ( +5.4%) < 8.9 千t (+8,800%) >  
  <ボーキサイト>
    ボーキサイト鉱採掘: 4,376.6 千t (+18.8%) < 405.7 千t (+21.7%) >  

 以上のように、カザフスタン共和国における、2002年の鉱山等での採掘量及び選鉱・精鉱量に関しては、概ね前年を上回っており、堅調に推移している。
(2003. 1. 29 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフスタン共和国における2002年の非鉄金属生産状況について(速報)

 カザフスタン共和国における2002年12月及び2002年の非鉄金属生産量について、カ国統計庁が発表した数値は次のとおりである。

上段:本年生産量
下段:昨年生産量
( )内は対前年同月(年)比
  2002年12月分 2002年(年間)
無処理金、中間処理金(kg)
1,594 (-26.5%)
2,168  
22,420 (-10.4%)
25,010  
 
内 精錬金(kg)
1,023 (-36.9%)
1,621  
10,964 (-28.0%)
15,226  
無処理銀、中間処理銀(kg)
81,666 ( +6.5%)
76,664  
892,077 ( -9.1%)
981,918  
 
内 精錬銀(kg)
78,133 ( +7.1%)
72,959  
855,597 ( -9.3%)
943,027  
粗銅(t)
38,035 ( +2.6%)
37,059  
446,198 ( +2.9%)
433,561  
精錬銅(t)
38,035 ( +2.6%)
37,059  
452,991 ( +6.4%)
425,670  
アルミナ(t)
121,061 (+14.5%)
105,703  
1,386,511 (+12.6%)
1,231,127  
無処理亜鉛(t)
24,815 ( -0.1%)
24,844  
286,283 ( +3.3%)
277,073  
無処理鉛(t)
11,641 ( +5.7%)
12,344  
140,271 ( -0.2%)
139,955  
その他の種類の非鉄金属(t)
1,969 (-38.6%)
3,207  
35,727 ( +5.9%)
33,734  

 以上のように、カザフスタン共和国においては、2002年の金・銀の精錬生産量が大幅に減少している。一方、金鉱石の採掘量等を見ると、対前年比:+27.3%と増加していることより、低品位の鉱石が増加したことによるのか、何らかの理由により精錬ベースで生産調整を実施していることなどが考えられる。
(2003. 1. 29 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフスタン共和国における2002年の鉄鋼等生産状況について(速報)

 カザフスタン共和国における2002年12月及び2002年の鉄鋼等生産量について、カ国統計庁が公表した数値は次のとおり。

単位:t
( )内は対前年同月・前年比
上段:本年生産量
下段:昨年生産量
  2002年12月分 2002年(年間)
銑鉄
354,833 (+16.5%)
304,523  
4,089,060 ( +4.7%)
3,906,488  
鋼鉄
437,532 (+19.5%)
366,047  
4,868,169 ( +3.8%)
4,691,028  
炭素銅
793,512 (+14.6%)
692,551  
8,996,098 ( +2.2%)
8,800,393  
炭素電気鋼
7,996 (+529.6%)
1,270  
38,731 (+101.7%)
19,201  
フェロアロイ
110,099 ( +2.7%)
107,224  
1,230,258 ( +8.9%)
1,130,050  
 
フェロクロム
73,979 ( +0.9%)
73,283  
835,762 ( +9.7%)
761,901  
フェロシリコン
11,086 (-10.1%)
12,332  
127,349 (-12.6%)
145,780  
フェロシリコンクロム
8,449 ( +5.5%)
8,011  
102,203 (+28.2%)
79,746  
フェロシリコンマンガン
16,471 (+22.2%)
13,478  
163,958 (+16.1%)
141,176  
鉄鋼圧延
350,830 (+12.5%)
311,868  
4,022,739 ( +3.5%)
3,888,437  
 
ブリキ・薄板鋼板
21,224 (+144.5%)
8,682  
229,677 ( +6.1%)
216,399  
亜鉛圧延
55,533 (+76.7%)
31,429  
499,057 (+25.9%)
216,331  
ステンレス・合金鋼からの製品
1,765 (-31.6%)
2,582  
25,689 ( -1.5%)
26,085  
鉄鋼パイプ(管)
3,891 (-21.4%)
4,953  
58,151 (+23.6%)
47,060  

 以上のように、カザフスタン共和国における2002年の製鉄・鉄鋼圧延品の生産量は堅調に推移している。
(2003. 1. 29 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフスタン共和国の2002年GDPは+9.5%成長(速報)

 カザフスタン共和国の各種報道によると、1月28日アスタナにおいて政府の“2002年カ国社会経済の発展に係る会議”が開催され、タスマンベトフ首相が、同国の2002年のGDPが対前年比:+9.5%と成長したことを明らかにした。
 また、経済予算計画省のケリムベトフ大臣は、2002年のカ国貿易収支は22億US$(2001年は13億US$)となり、米国・EUがカ国を市場経済国と承認した結果である、と発言したとの情報もある。
 現在、カ国統計庁等からMMAJアルマティ事務所が入手している各経済成長値等は、次ぎのとおり。(後日、詳細を取りまとめ報告する予定。)

カザフスタン共和国の2002年経済成長値等(速報)
 
対前年(2001年)比
GDP
+9 .5 %
 
鉱工業生産
+9 .8 %
 
内 鉱業分野
+14 .7 %
 
内 エネルギー資源採掘
+15 .7 %
 
内 石炭・亜炭・泥炭
-7 .5 %
内 石油・天然ガス採掘
+17 .5 %
内 除くエネルギー資源採掘
+9 .3 %
 
内 鉄鋼採掘
+15 .3 %
内 非鉄金属採掘
+7 .1 %
内 工業・加工業分野
+7 .7 %
 
内 冶金・金属加工分野
+6 .4 %
農業生産
+2 .7 %
サービス
+9 .3 %

(2003. 1. 30 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

トルクメニスタンの2002年GDPは+21.2%成長(速報)

 1月9日付インターファックス社(アシガバード)の情報によると、トルクメニスタンの国家統計・情報研究所が、同国の2002年のGDPは63.8兆マナットとなり対前年比:+21.2%と成長したと発表したと報じている。
 この発表によると、鉱工業生産:対前年比+21.7%、農業生産:+15.5%、建設分野:+14%、サービス分野:+26.5%となっており、特に、鉱工業分野の中で、食料品加工業が対前年比+31%、軽工業が同+24%と経済発展に寄与しているとしている。
 なお、2003年1月9日の為替レートは5,200マナット/US$である。
(2003. 1. 30 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カナダCameco社はキルギスKumtor Operating Company社の社長を更迭―Kumtor鉱山の生産状況等について―

 1月22日付けのインターファックス社の情報によると、Kumtor Operating Company社(KOC)の社長が、テッリ・ロディジェルス氏からエンディリュ・ルイス氏に変更されたことを報じている。
 KOCは、キルギス共和国最大のKumtor金鉱山を開発するため1992年に創設され、Kumtor Gold Company社(Cameco 社が1/3、キルギス政府(国営企業であるキルギスアルティン社)が2/3の出資)の生産、販売、財務管理を行っている。
 この報道によると、ロディジェルス前社長は、Cameco社の他部門に転任した模様で、同氏は、Kumtor鉱山の労働者保護や安全生産を強化し、生産拡大に重要な功績を収めたとしている。また、ルイス新社長は、ブルガリアで鉱業に従事してきており、20年間の経験を積んだ鉱山に係る高度な専門家であるとしている。
 ルイス新社長は、キルギス共和国の経済にとって重要な位置づけにある同鉱山が抱えているプロジェクトに対し成果を挙げるため協力すると、発言したとしている。
 Kumtor鉱山については、昨年7月に発生した岩盤崩壊事故により、採掘量は2001年に対し-29.7%の減産となり、金生産量では16.44tに止まったと報じている。なお、2003年においては、同鉱山の貴金属生産量は、20.891tの生産を計画しているとしている。
 参考まで、Kumtor鉱山の2001年の金生産量(キ国地質鉱物資源庁等からのMMAJアルマティ事務所調査)は、23.41tであることより、この報道の2003年生産計画量からは、事故の影響が本年も残存することが明らかと判断される。
(2003. 1. 30 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

キルギス共和国の2002年GDPは-0.5%に減少(速報)

 キルギス共和国の国家統計委員会が“キ国の2002年社会・経済概要”で、2002年の同国のGDPが、572億4040万ソムと、対前年比:-0.5%のマイナス成長となったことを発表した。
 これを報じているインターファックス社等の情報によると、鉱工業生産が447億8,400万ソムと対前年比:-13.1%と大きく減少し、これがマイナス経済成長の大きな要因になっているとしている。その他の経済成長値は、建設分野:対前年比-0.1%、農業分野:同+3.3%、輸送分野:同+0.9%、通信分野:同+4.5%となっているとしている。
 また、2002年のインフレーションについては、対前年比:+2.3%(2001年:同+7.3%)であるとの情報もある。
 キルギス共和国統計委員会の鉱工業生産に関する発表を、取りまとめると次ぎのとおりとなる。このマイナス成長の要因は、過去より当事務所から報告しているとおり、Kumtor金鉱山の事故による影響である。

キルギス共和国の2002年経済成長値等(速報)
 
2002年生産等額
対前年比
GDP
572 .404 億ソム
-0 .5 %
 
鉱工業生産
447 .840 億ソム
-13 .1 %
 
鉱業
88 .809 億ソム
-27 .1 %
金属処理(加工)業
270 .301 億ソム
+2 .0 %
冶金工業
80 .736 億ソム
-33 .0 %

 なお、2003年1月22日の為替レートは46.6771ソム/US$である。
(2003. 1. 31 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

キルギス共和国における2002年の外国投資について

 インターファックス社が、キルギス共和国のジョーマルト・オトルバエヴ副首相の年初の発言として、キ国における2002年の外国投資が約100百万US$となり、その内の20百万US$がロシアからの投資であることを報じている。
 この報道によると、同副首相は、ロシアからの投資理由について、投資効果の予知可能性、安全性とともにロシアに対するキ国内の好意性をあげ、ロシア経済成長とロシア・キ国間の交流に影響を与えていると発言したとしている。また、2003年においても、ロシアから水力発電、金採掘、機械製作、軍事産業、農業製品加工、観光分野などへのプロジェクト参画が予定されていると報じている。
 更に、同副首相は、2002年に経済成長の基礎が敷かれ、多々の会議での交渉結果より、2003年には、投資状況と貿易状況が改善されると予測しているとし、これら外国投資に関しては、国内政治の安定と平和が重要であると発言したとしている。
 日本との関係に関して、同副首相は、2003年にキルギス国内において日本支援により情報技術センターが開設されるので、情報技術市場の改善が期待されると考えていると発言したとしている。
(2003. 1. 31 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフスタン共和国の2002年インフレーションは+6.6%

 2002年のカザフスタン共和国の消費者物価指数は、対前年比:+6.6%に上昇したことを、インターファックス社が報じている。
 この情報によると、食料品物価が対前年比:+7.1%、食料品以外の物価が対前年比:+6.3%、住民に対する有料サービス価格が対前年比:+5.8%になったとしている。
 当初、カ国政府は、2002年の消費者物価指数の上昇率を+5~7%と予測しており、この数値内に収まったことになる。
 なお、2003年の消費者物価については、年初、カ国政府及び国立銀行が2002年比:+4~6%と予測しており、1月28日の政府会議で、カ国タスガマンベトフ首相が、それを+5.9%に押さえる方針を打ち出している。
(2003. 1. 31 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフスタン共和国における2002年の投資状況について

 カザフスタン共和国における2002年の基本資本への投資額は、11,931億テンゲと対前年比:+19%の増額となったことを、カ国統計庁データとしてインターファックス社が報じている。
 この情報を取りまとめると次ぎのとおり。
 なお、昨年12月末の為替レートは、155.8テンゲ/US$である。

  カザフスタン共和国の主要地方地域(14州とアスタナ市、アルマティ市)の内、13地域で投資拡大が認められる。
  投資拡大が最も顕著なのは、ジャンブール州(カ国南部)で、前年の1.8倍
  キジルオルダ州(南部)、アルマティ州、北カザフスタン州、西カザフスタン州、アクトベ州(西部)、アティラウ州(西部)においては、前年の1.3~1.6倍
  コスタナイ州(北西部)、アクモラ州(北部)、カラガンダ州(中央部)、アルマティ市においては、対前年比:+10~17%
  アスタナ市と南カザフスタン州においては、対前年比:+1%
  一方、減少しているのは、パブロダール州(北部)の対前年比:-18%、マンギスタウ州(西部)の同:-13%、東カザフスタン州の同:-10%
  投資内訳は、
   
  経営側自己資本 7,947 億テンゲ ( 全体の 67% )
  外国資本 2,995 億テンゲ ( 25% )
  国家予算から 989 億テンゲ ( 8% )
  外国資本投資の89%が鉱工業分野への投資で、その内訳は、
   
  西カザフスタン州 ( 外国投資の 58% )
  アティラウ州 ( 28% )
  アクトベ州・カラガンダ州 ( 各4% )
  鉱工業分野への投資額総額は8,125億テンゲ(全体の68%)で、この内訳は、
   
  石油・天然ガス採掘 6,359 億テンゲ (鉱工業分野の78%)
  交通・通信分野(同 11%)、不動産業分野(同 6%)

(2003. 1. 31 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフスタン共和国政府は2003年経済成長を+7%と計画

 カザフスタン共和国のタスガマンベトフ首相は、1月28日開催された政府会議において、2003年の経済成長を、消費者物価を対前年比:+5.9%に押さえつつ、GDPを対前年比:+7%とする経済成長を達成する方針を明らかにした。
 これを報じているインターファックス社の情報によると、2003年は、工業化政策を重点的に実施し、鉱工業生産を対前年比:+8%とするとともに、カ国の各州知事に対し、農業食料計画の実現、貧困の改善、雇用の確保、中小ビジネスの振興を重点的に取り組むよう提起したとしている。
 また、今後、ハイテクノロジーを基盤とする新産業の育成のため、アルマティ市にコンピューターの新技術導入センター、ステップノゴルスク市(アクモラ州)にバイオテクノロジー・センター、ショルダルディ市(アクモラ州)に農業技術センター、クルチャトフ市(パブロダール州)に原子力エネルギー・センター、プリオゼルスコエ市(アクモラ州と思料)に宇宙研究センターを設立する予定であると発言したとしている。
 更に、同首相は、エネルギー鉱物資源省に対し、本年第1/四半期末までに、カ国のカスピ海大陸棚の石油開発計画の策定を終え、国内全土におけるエネルギー燃料に係る推進計画の立案を行うように指示したとしている。同首相の説明によると、カスピ海大陸棚の第一次開発計画は既に提出されており、海上での石油採掘を支援するために陸部のインフラ整備を行う必要があり、国内の関連企業に大規模発注を行うとしている。カスピ海大陸棚の開発は、この陸部のインフラ整備に成否が依存され、国内の投資にも大きな影響を与えると発言したとしている。また、カスピ海大陸棚の開発にあたっては、今後、生態系の維持などの環境保護にも考慮する必要があると発言したとしている。
(2002. 1. 31 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフスタン共和国Maikainzoloto社の2002年生産状況等について

 カザフスタン共和国の金採掘企業であるMaikainzoloto社の2002年生産状況等が、インターファックス社を通して発表されたので報告する。

  2002年 対前年比
鉱石採掘量(千t)
321 .2
-6 .2%
鉱石加工量(千t)
367 .6
-  
未処理金生産量(kg)
342 .0
-15 .2%
銅精鉱生産量(千t)
3 .5
+12 .9%
亜鉛精鉱生産量(千t)
3 .0
+50 .0%
製品生産販売額(百万テンゲ)
1,036 .4
+1 .1%

 また、Maikainzoloto社は、2002年に60百万テンゲ以上を基本資本に投資しているとしていると報じられている。
 Maikainzoloto社は、1932年から活動をしており、1997年10月から同社はEast Handel GmbHの系列企業であるDP Handel GmbHに管理されるようになった。Maikainzoloto社は、Alpys、Suvenir、Maikain-Bなどの金鉱床(鉱山)、選鉱工場、化学研究所などを所有している。
 Maikainzoloto社の主な活動は鉱物材料の採掘と加工であり、主たる製品は金含有精鉱、銅・亜鉛精鉱などであり、金含有精鉱がウスチ・カメノゴルスクに、銅・亜鉛精鉱がロシアのメドノゴルスク市とウズベキスタンのアルマリック市に輸送される。
 2000年8月に、DP Handel GmbH社はパブロダル州にあるBoshekul銅・モリブデン鉱床のテンダーを取得したが、銅価格低下の理由により、カザフスタン政府から資源利用契約手続きの延長許可を得ている。
(2003. 1. 31 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

カザフスタン・アルミニウム社の国家保有株売却が中止

 2003年1月28日に予定されていたカザフスタン・アルミニウム社の国家保有株の売却が、テンダー参加者が1名のみのため実施されなかったことを、カザフスタン共和国財務省国家財産・民営化委員会が公表した。
 この情報を伝えているインターファックス社の情報によると、唯一のテンダー参加者はカイマン島(カリブ海、英国領)で登記されているJ-N-R INVESTMNETS LTD社であり、同社の国家保有株の売却は、過去より売却の最後の局面になり延長され続けているとしている。
 売却予定であったカザフスタン・アルミニウム国家保有株は、基本資本の31.76%に相当し、2002年1月1日時点でカザフスタン・アルミニウム社の株主は3,068名で、64.46%が中央アジアTrust Company(カ国)、3.77%がその他の者となっている。
 この国家保有株の売却については、アルミニウム工場の建設等の条件が付加されており、この条件付加により投資家が躊躇したとも考えられる。<関連情報:2003年1月11日付当事務所報告「カザフ・アルミの国家保有株売却が2003年1月に実施予定」>
(2003. 1. 31 アルマティ 沖嶌弘芳)目次へ

スペインのAguablancaニッケル鉱床の開発状況

 スペインのAguablancaニッケル鉱床は、1994年にRio Tinto Minerals社とPresur社(本社スペイン)により発見され、2001年にRio Narcea(RN)社(本社スペイン)が権益を取得した。RN社は2002年7月にFSを完了し、有望な結果を得たことから、2004年の生産開始に向け、開発準備をすすめている。RN社がこの程発表した内容によれば、同社は現在、数社からうけている建設・開発案を検討中であり、近々契約を締結する見込みであるという。
 Aguablanca鉱床は塩基性貫入岩体に伴う塊状~鉱染状の鉱床で、鉱石鉱物はpentlanditeとchalcopyriteであり、鉱量15.7百万t、ニッケル品位0.66%、銅0.46%、PGM0.60g/tとされる。露天掘により粗鉱を年150万t採掘し、浮遊選鉱で精鉱を回収する計画で、設備費用を64.1百万US$と見込んでいる。この程RN社はGlencore International社とニッケル精鉱売却に関する長期契約に合意した。Glencore社はAguasblanca鉱山から生産されるニッケル精鉱を2010年まで全量引きとることになる。取引条件は公表されていない。
 RN社はスペインで金鉱山を経営するほか、イベリア半島で金とニッケルの探査開発を行っている。RN社のEl Valle金鉱山は2002年9月までの9ヶ月間で4.2tの金を生産した。
(2003. 1. 31 ロンドン 霜鳥 洋)目次へ

加・Noranda社、マグネシウム・プラントを一時閉鎖

 Noranda社(本社:トロント)は、ケベック州にあるMagnolaプラントの稼動を3月末までに停止し、最低1年間は閉鎖する予定。理由は、中国からの安価なマグネシウム価格に競合できないためである。現在、マグネシウム市場は中国が50%以上を占め、ポンド当たりUS60¢の低価格でマグネシウムを販売しているが、Noranda社の平均生産コストはポンド当たり80 US¢。
 同社はMagnolaプラントの80%の権益を有しているが、買い手が現れた場合は、当該権益を売却することも検討中であり、共同事業者(権益20%)のSociete Generale de Financement du Quebec(州政府機関)に対しても、その旨を通告済み。
 Noranda社はアルミ産業や自動車産業におけるマグネシウム需要の増大を見込んで1997年にMagnolaプラントの建設を決定。同プラントは、廃止されたアスベスト鉱山の廃さいからマグネシウムを生産している世界で唯一の設備である。(1月29日付Globe and Mail紙)
(2002. 1. 30 ヴァンクーヴァー 日高俊信)目次へ

加・Teck Cominco社の第4四半期収益は増加

 Teck Cominco社(本社:ヴァンクーヴァー)は1月29日、第4四半期の営業成績を発表した。発表によれば同期の純利益は、Trail精錬所(B.C州)の亜鉛生産量の増加等により、15百万ドル(一株当たり8¢)と、昨年同時期の6百ドル(一株当たり3¢)に比し倍増した。
 また、年間での純利益見込みも30百万ドル(一株あたり15¢)と昨年の21百万ドル(資産償却前純利益は101百万ドル)の損失に比して増加した。
 なお、同社のTrail精錬所(B.C州)及びCajamarquilla精錬所(ペルー)での今年の亜鉛地金生産量は、361,900トンに達し、前年度の290,200トンから増加したが、これはTrail精錬所での生産量が昨年の168,100トンから269,000トンへと大幅に増加したことによるもの。(1月29日付プレスリリース等)
(2003. 1. 30 ヴァンクーヴァー 小野寺修司)目次へ

加・Inco社、インドネシアでのニッケル供給契約締結

 Inco社とPT Aneka Tambang社(インドネシア第2位の鉱山会社であり、政府が65%の権益を所有)は、ニッケル鉱石の供給契約を締結。
 両社は、Aneka Tambang社が1975年以降採掘を行っているSulawesiの近郊に鉱業権を有している。
 契約に基づけば、Inco社が鉱山を開発し、2004年又は2005年初から、ニッケル鉱石をAneka Tambang社のAntam精錬所(Sulawesi県南東のPomalaa地区)に年間約100万t供給する。
 Aneka Tambang社は、これにより、生産コストを引き下げつつ、Antam精錬所へのニッケル鉱石の供給量を増大させることができると期待している。
 なお、Inco社は今後2年間にわたり、年間200万tのニッケル鉱石を生産するため、3億US$を支出の予定。(2月3日付Finacial Post紙)
(2003. 2. 3 ヴァンクーヴァー 日高俊信)目次へ

Anglo Americanチリ社はDisputada de Las Condes買収後の組織改革を実行

 El Diario(1月31日付)によれば、Anglo American Chile Ltd.はDisputada de Las Condes社をExxon Mobileから買収後(2002年11月13日付)に取り組んできた組織改革を30日付けで整えた。主要な対策としてチリ本社組織の統一があり、技術・財務・総務・販売管理の統合管理が可能となり、硫酸や物資調達の上での効率化、探鉱の再強化、生産性とコストの改善に効果をもたらし100百万US$相当の節約に貢献するとされている。その改革は次からなる:

  1) Mantos Blancos、Mantoverde、Los Bronces、El Soldado各銅山、Chagres製錬所といった各事業所のための統合された一つの本社機能を創設。役員は、会長P. Esnouf氏、社長兼CEO L. Kruger氏、人事担当副社長A. Mena氏、財務担当取締役J. Dyer氏、操業担当取締役M. Urrutia氏。
  2) 全従業員2,350人の5.5%に当たる130名の解雇を30日付けで通告。
  3) Disputada de Las Condesの名称廃止。

Anglo Americanのチリにおける所有銅山の生産状況
銅山名称
2001年生産量
(千t)
備考
Collahuasi
199
Collahuasiは全生産量452.7千tのAAC権益44%相当分単純計算値を参考として示した。そのほか同山の権益比率はFalconbridge44%、日本企業連合12%。
Disputada de Las Condes(Los Bronces、El Soldado両銅山とChagres銅製錬所を所有していた会社名)の名称は廃止。
Los Bronces
171
El Soldado
64
Mantos Blancos
102
Manto Verde
55
591

 なお、Collahuasiの操業管理はこれまでどおりチリ合弁会社Doña Inés de Collahuasi社に委ねられることに変わりないとされている。
(2003. 2. 4 サンチャゴ 上木隆司)目次へ

チリVentanas銅製錬・精錬所の譲渡は2004年上期の見通しでENAMIの見積額は380~420百万US$

 El Mercurio(1月31日付)がENAMI副総裁Jaime Pérez de Arce氏のSONAMI(チリ鉱業協会)のインタビューへの返答内容を紹介したところ、ENAMIの473百万US$に上る累積債務問題の主要な対策とされているCODELCOへのVentanas銅製錬・精錬所の譲渡は2004年上期となる見通しであり、その時期は3月にも政府が国会に提出する予定の同譲渡に係る法案審議次第であるとしている。
 また、同紙30日付がENAMIの上層部筋の情報として伝えるところ、ENAMIはVentanasの資産価値を380~420百万US$と見積もっている。これは、同社の純収入に減価償却を加え、20年間に相当する割引率(ENAMIは10%を主張しているが、CODELCO側の主張を入れ14%と再検討の可能性あり)を差し引いたものである。3月からENAMIとCODELCOが組織する作業委員会(労働事項、売却価格、売買関係の明確化)によりVentanasの譲渡価格決定のための最終交渉が開始される。同情報筋は、CODELCOからの可能性ある提示額として330百万US$、協議による最低価格水準は350百万US$との見解を示しつつ、市場の変化を考慮して修正あるべきとしており、ENAMI側としては今年になって銅価が回復傾向に入っている状況は同協議においてプラス要因となろう。
(2003. 2. 4 サンチャゴ 上木隆司)目次へ

ブラジルCVRD、Sossego銅金鉱山を来年3月に操業開始予定

 BRASIL mineral誌(11月号)によると、CVRDが開発準備中のSossego銅金鉱山の操業開始は2004年3月になる見込みである。同鉱山はパラ州カラジャス地域においてCVRDが実施中の銅金鉱床開発プロジェクトのうち最初に開発着手された鉱山である。2002年5月より建設工事に入っており、予定通りの進捗の模様。CVRDは、同鉱山開発のために初期投資383百万US$を単独で投資する予定である。
 同鉱山はSossego鉱体とSequeirinho鉱体の2鉱体からなり、併せて196百万tの鉱量になり13年のマインライフを持つ。衛星鉱体(Bacava鉱体やVisconde鉱体)の賦存も確認されており、今後の探鉱で鉱量が増加することが期待され、最終的にはマインライフ20年を予定している。採掘はSequeirinho鉱体が先に準備を完了し操業を開始する。Sossego鉱体も採掘準備が整い次第開始する模様。両鉱体とも露天掘採掘であり9割が硫化鉱である。残り1割の酸化鉱は後に開発されるAlvo 118鉱山での湿式製錬プラントで処理する予定。Sequeirinhoの銅品位は1.3~1.4%程度、Sossego鉱体も併せた場合平均で1%程度である。年間鉱石採掘量15百万t、精鉱年間生産46.2万t(銅30%、金8g/t)になる計画である。
 同誌にはSossego鉱山を含めカラジャス地域CVRD銅金プロジェクトの進捗と今後の予定も掲載されており、別表にその概要をまとめた。銅金プロジェクト以外にカラジャス地域ではVermelhoニッケルプロジェクトも進行中であり、現在、追加ボーリング及びPre-F/Sを実施中である。埋蔵量220百万t(Ni 0.9%)、年間でニッケル精鉱4.5万t、銅精鉱2,100tの生産を計画し、2007~2008年の操業開始を想定している。
 Sossego鉱山の従業員数は479人を予定。現在カラジャス地域に進行中のプロジェクトがすべて立ち上がった場合3,126人の雇用を生むと推定しており、地域からの雇用を積極的に実施している模様。

  (Sossego鉱山施設概要)
  SequeirinhoとSossegoの2つのピットを擁する。中間に1次破砕用のステーション設置。選鉱プラントとの間の運搬はベルトコンベヤー(4km)を使用
  鉱山内運搬トラック:280t(19台)+240t(6台:カラジャス鉄鉱山からの中古)、開発当初は240tのみで運搬
  選鉱プラント設備:SAGミル(1機) [スケール38ft×19ft、処理量1,841t/h、粒径2.5mm、消費電力8.5kWh/t]、→ボールミル(2機)[スケール22ft×29ft、処理量1,841t/h、消費電力9.31kWh/t、粒径210μm]、→浮選機[粗選:7機(160m3)×2ライン、精選:Column 6機(径4.27m×高さ10m)、清掃浮選:7機(70m3)、ミル(44μmに調製)]、→シックナー(20m径)、→フィルタープレス(処理量140t/h)。
  精鉱輸送:鉱山からParauapebas市までの84kmは350tトラック輸送。Parauapebas市からSao Luis港まで890kmは鉄道輸送。


別表:カラジャス銅・金プロジェクト一覧
(出典:BRASIL mineral、2002年11月号)
* BNDES(ブラジル国家経済社会開発銀行)
プロジェクト名
(鉱種)
出資会社
(出資比率)
埋蔵鉱量(品位)
[金属量]
年間生産量
開発予定
その他
Sossego
(銅・金)
CVRD(100%)
196百万t(銅1.02%、金0.3g/t)
  [銅量:2百万t、金量:59t]
硫化鉱:酸化鉱=1:9
鉱石:廃石=1:3.4
14 万t
(精鉱中銅量)
3 t
2003年5月開発着手、2004年3月に生産開始の予定
露天掘採掘 (Sequeirinho鉱体、Sossego鉱体)
マインライフ:20年
Cristalino
(銅・金)
CVRD(50%)、BNDES(50%)
247百万t(銅0.7%、金0.15g/t)
[銅量:1.73百万t 金量:37t]
15 万t
(精鉱中銅量)
2 .5t
2003年6月に鉱量計算を完了予定 ・露天掘採掘
Alemao
(銅・金)
CVRD(67%)、BNDES(33%)
170百万t(銅1.6%、金0.9g/t)
[銅量:2.7百万t 金量:153t]
15 万t
(精鉱中銅量)
7 t
ボーリング探鉱中
Igarape Bahia鉱床の近傍
坑内採掘
118(銅)
CVRD(50%)、BNDES(50%)
61百万t(銅0.87%)
  [銅量:53万t]
酸化鉱
3 万t
(カソード)
Pre-F/S実施中
2005年3月生産開始の予定
Igarape Bahia
(銅・金)
CVRD(100%)
15百万t(銅1.57%、金1.37g/t)
[銅量:23.5万t、金量:20.5t]
3 .5万t
(精鉱)
2 .5t
2002年9月Pre-F/S終了
2002年11月生産開始予定
坑内掘採掘
Igarape Bahia金鉱山のPase IV拡張計画に位置づける
Salobo
(銅・金)
CVRD(100%)
784百万t(銅0.96%、金0.6g/t)
  [銅量:7.5百万t 金量:470t]
酸化鉱主体
20 万t
(カソード)
8 t
2007年に生産開始の予定。
露天掘採掘
 
合計
1,473百万t
[銅量:1,446万t 金量:739.5t]
70 .5万t
26 t
 

(2003. 2. 3 サンチャゴ 原田 武)目次へ


おことわり:本レポートの内容は、必ずしも金属鉱業事業団としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、金属鉱業事業団及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。