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チリ財務大臣、鉱業業界に加速減価償却の適応の放棄を要請
Estrategia(1月7日付)によると、チリのEyzaguirre財務大臣が、当地の鉱業業界に対して、加速減価償却の適応を自発的に放棄するように呼びかけた。加速減価償却は、外資法(政令600号)の中で保障されている。同大臣は、納税を逃れるための“法の隙間”となっているとし、各鉱山会社が自発的にその権利を放棄することを要請したものである。また、この制度の適応を続ける場合には、ロイヤルティの導入を示唆する内容の発言もあり、鉱業界に大きな懸念が巻き起っている。
これに対して、チリ鉱業界を代表する鉱業審議会(Consejo Minero)と鉱業協会(Sonami)は共同で、1月8日付けで財務大臣宛ての抗議文を発表した。内容は、税逃れのために鉱山会社が法的な隙間を利用しているとした発言及びロイヤルティ適応の脅威を業界に与えたことに対する強い抗議文であった。
その後、Eyzaguirre財務大臣は、13日に今回の発言に関して再度プレス発表を行った。鉱業界から批判のあった“ロイヤルティ”や“法の隙間”といった言葉を使わず、先の発言の内容が説明された。その主旨として、加速減価償却の制度は、納税を遅らせて生じる利益を再投資に向けることを意図した制度であるが、加速減価償却による利益が再投資のためだけでなく、海外への利益送金にも使われており、制度の意図に反した使われ方をしている。納税を延期することで無利子の融資を得ることにも相当する。2001年の脱税防止法による法改正で、加速減価償却の活用を利益の再投資に限定したが、政令600号の条項(第11条)には減価償却法など収入を左右する会計要素の不変性が規定されており、2001年以前に投資契約を締結した会社について脱税防止法が適応できない。政府は、そういった法制上のゆがみを解消し、鉱業の国家への貢献を強化する方法を鉱業界と模索していく意向を表明したものであると、説明された。
El Diario(1月15日付)に掲載された鉱業協会(Sonami)のHochschild会長のコメントによると、今後のEyzaguirre財務大臣の発言に返答するためには、税制または会計上の専門的な見地から議論を行っていく必要があるとしている。鉱業審議会や生産商業連盟(CPC)といった業界団体も同意見である模様。
