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ニュース・フラッシュ

2004年10月4日 バンクーバー 中塚正紀

中国の資源確保戦略の変化

 中国国営企業China Minmetals社がカナダの巨大鉱山企業Noranda社を約50億USドルで買収する契約が成立した場合、資源確保において、中国史上最大の取引となるが、今回、注目されているのは、中国の資源確保戦略の変化である。これまで、中国の資源確保戦略は、油田や鉱物埋蔵量に対する権益の取得など通じて、あくまでも資源を買取るという戦略を進めており、今回のような企業全体を買収するという戦略は行っていなかった。
 アナリストによると、中国はこれまで外国資産を買収するための充分な運営力や財源力が不足していることを恐れ、海外のライバル会社と直接入札競争することに対する警戒心が強かった。しかし、今回、ブラジルのCVRD社との入札競争でMinmetal社が落とす可能性が高く、これにより、今までの不安感や警戒心から解放され、今後似たような買収が他の中国企業グループによって行われる事になるだろうと考えられている。一方で中国が資産評価より過分な支払いをしてしまう危険性を懸念している専門家もいる。中国企業は一般的に資源を最高値で買い取るといわれており、今回、Minmetals社の非常に高い入札額を規準に他社も高額な値段をつける傾向が出てくると考えられる。
 また、今回のNoranda社買収に続いて、中国は石油部門の買収に乗り出すと見る専門家もいる。Petro China社は、旧ソビエトの中央アジアやEn Canada社が保有するエクアドルなどの石油会社を物色しているといわれ、これらは約15億USドルの価値があるとのこと。(2004年9月28日付ファイナンシャル・ポスト)

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