閉じる

ニュース・フラッシュ

2004年12月5日 調査部 市原秋男

フィリピン・鉱業法は合憲、最高裁が判断覆す

 最高裁判所は1日、フィリピン鉱業法(共和国法第7942号)が資源開発に対する外資制限を設けた憲法には抵触しないとし、政府と豪州系WMCフィリピン(WMCP)が1995年に結んだ資金・技術支援協定(FTAA)は合憲との判決を下した。2004年1月の最高裁判決を自ら覆した結果となり、外資参入が進み国内鉱業が再活性化するとの期待が高まっている。
 15人の最高裁判事による投票の結果は、賛成10、反対4、棄権1となっている。
 最高裁は「大規模な鉱物、石油、鉱油の探査・開発・利用に関するサービス契約を認める」と憲法上に明記されていると指摘。政府が起草の段階から、外資系企業と結ぶ資金・技術援助協定に外国企業による投資や運営も含まれることを前提にしていたと結論付けた。
 憲法解釈について最高裁は、大統領や議会に外国投資獲得の道を開く手段を提供しながら、国民に平和と繁栄を享受させるものであるべきと説明。国が大統領を通じて鉱業に関する完全なる管理権を保持するとしたうえで、外資との協定の締結が可能とした。
 また、停滞している鉱業の再活性化によるフィリピン経済の飛躍の必要性と、国家の繁栄・先住民の保護及び生態系破壊の防止の必要性の調和を図るべき旨を指摘している。
 アロヨ大統領は最高裁判決について、「国益を守るもの」として評価。「鉱業を再び活性化し、力強い経済成長を果たす。」と意欲を示した。国家経済開発庁(NEDA)は国内の鉱物埋蔵量が8,400億USドル相当に上ると試算している。
 一方、フィリピン鉱業協会は今回の判決を「国内外の財界から支持を受ける画期的なもの」と歓迎している。また、米国商工会議所は「輸出や外国直接投資を増やし歳入を上げ、雇用を増やすといった政策の実現につながるもの」とコメントしている。

ページトップへ