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ニュース・フラッシュ

2005年4月19日 リマ 辻本崇史

ペルー・鉱業ロイヤルティ法を巡り新たな騒動

 鉱業ロイヤルティ法は、去る4月1日、憲法裁判所が本法律を合憲とする裁決を下し、鉱業界もこれに従う旨を表明し、一連の騒動は落ちつくかに見えたが、憲法裁判所長官の発言を発端に、新たな騒動が起こった。
 従来、税の長期安定化契約を締結している鉱山は、その期間中、ロイヤルティ徴収は免除されるとの認識で、関係者の多くが一致した見解を持っていたが、同長官が、上記裁決後の4月11日、マスコミに対し、この認識に再考を促す様な発言をし、以来、税の長期安定化契約を締結している鉱山もロイヤルティ徴収の対象となるか否かが大きな問題になり始めている。
 本件に対し、憲法裁判所は、鉱業ロイヤルティ法が合憲か否かの判断は憲法裁判所の仕事だが、その適用範囲を決めるのは政府(経済省、国税庁、エネルギー鉱山省)の仕事との立場を表明している。しかし一方、政府側も、今回の騒動は憲法裁判所の責任であり、憲法裁判所として明確な判断を下す様に要請しており、本問題を判断すべき機関がどこかについても混迷している。
 また鉱業協会は、今回の同長官の発言は、職務権限を逸脱しており、新たな騒動を起こしたことに不快感を表明している。さらに、同長官が再考を促す根拠とした、鉱業ロイヤルティは税ではなく国の所有資源に対する代価、という点についても、どちらにしても国が金銭を徴収するのに変わりはなく、新たな制度による金銭の徴収は行わないことを意味する安定化契約を締結していれば、徴収対象にならないのは当然との認識を示した。
 主要鉱山の多くが、政府と本安定化契約を締結していることもあり、本件を巡る今後の動向には大いに注目される。

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