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ニュース・フラッシュ

2005年5月9日 バンクーバー 中塚正紀

Glamis Gold社(カナダ)のグアテマラプロジェクト、反対運動で早期対応を求められる

 地元紙によれば、Glamis Gold社のグアテマラプロジェクトを巡り、反対派の行動が激しさを増し、国内の治安情勢が不安定になっていることを踏まえ、アムネスティ・インターナショナルは早急な対応を求めた。現在Glamis社が建設中のMarlin金鉱山は、グアテマラシティーの北西130kmに位置し、140百万USドルの投資プロジェクトとして、毎年金22.5万oz、銀300万ozの生産で10年間の操業が見込まれている。
 この採掘許可を巡って、先住民グループやカトリック系グループ、環境団体がグアテマラ政府と対立している。地域の開発は先住民の許可を得るという条件で平和協定に合意し1996年、長期間続いた内戦が終結した。しかし、実際には中央政府は先住民に開発情報などを知らせないまま、採掘許可を多数発行しており、今回も先住民側はGlamis社の探鉱開発に許可を出していないにもかかわらず、中央政府が採掘許可を発行したというもの。先住民は開発による自然破壊、シアン化合物をつかった精製プロセスによる環境汚染などさまざまなことに不安を抱いており、これにカトリック系グループや環境団体が賛同し反対運動が活発化している。
 一方、Glamis社側は、地域の人々を集めて何回も説明会を開催し、多数の人が参加、開発サイトも訪れたと説明している。また、この開発により地域住民800名の雇用、地域支援組織に毎年40万ドルの寄付、利益に対する31%の税金や採掘した鉱石の1%に当たる額を地域・中央政府に支払うなどさまざまな面で地域経済に貢献するとアピールしている。
 2004年12月、反対派は42日間に渡り、開発機械等の使用を阻止し、1月11日に警察が発砲し1名が死亡、多数の負傷者が出たほか、最近では自動車爆弾で2名が死亡、また反対派が殺害の脅迫を受ける一方、Glamis社員が反対派活動家から脅迫を受けるなど事態は悪化しており、内戦再発を危惧する声も上がっている。

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