ニュース・フラッシュ
2005年6月7日
シドニー
久保田博志
Howard首相、インフラ整備政策を発表
地元紙等によると、Howard首相は、豪州の輸出事情改善のためのインフラストラクチャーのボトルネック(供給障害)に備えるため、規制緩和計画を発表した。
計画は、首相直属のタスクフォース(調査機関)によって策定されたもので、港湾施設の所有者と利用者間の交渉によって施設の利用と費用を決定することなどを内容とするもの。
しかし、交渉と州の手続きが成功しなかった場合に連邦政府が関与するとしたこの計画には批判がある。州規制当局者は交渉がうまくいかない場合には港湾施設の所有者の主張が妥当か否かを事前に監視・判定する段階を設けることを期待している。具体的には、州規制当局が交渉・決定に6か月以上要するような場合には、州政府が介入してオーストラリア競争・消費者委員会(Austral Competition and Consumer Commission:ACCC、日本の公正取引委員会に相当する豪州の競争法執行当局)において議論するなどである。
また、今回の計画で対象とされたのは港湾施設のような輸出に関わるインフラストラクチャーだけであり、港湾に接続する鉄道、おそらくはガス・パイプラインも対象外となっており、幾つかの企業やインフラストラクチャー・グループからは、この計画では問題の一部を解決するに過ぎないと不満の声も上がっている。また、州知事の中にも港湾施設の所有者と州政府との間の既存の契約や州の規制を変えるものとしては不十分であると否定的な意見も出されている。
一方で、豪州経済団体(Business Council Australia)は、豪州国会はタスクフォースの提案を具体化すべきであり、将来的にはすべてのインフラストラクチャーが含まれるようにするべきだとして肯定的な反応を示している。
