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ニュース・フラッシュ

2005年8月29日 バンクーバー 中塚 正紀

カナダ鉱業界、人材不足に

 連邦政府資金により運営されるMining Industry Training and Adjustment Council (MITAC)が276の鉱山や事業所を操業している48鉱山会社、19教育機関、697名の業界従業員を対象に調査し、その結果について「将来を予測する」と題したレポートを発表した。このレポートによると、今後10年でカナダの鉱業界は深刻な熟練労働者不足問題を抱えることになるだろうと報告した。現在、鉱業界の50%以上の人々が40歳~54歳で、これから10年の間に全体の40%が定年退職をすると予測され、その穴埋めに約81,000人の雇用が必要になるという。鉱業が低迷した1980年代、業界が雇用を積極的に行わなかったことや、ここ数年の中国などからの金属需要とそれに伴う金属価格高騰による業界の著しい成長も人材不足に拍車をかけている。
 また、鉱業の古いイメージが先行して、若者が鉱業専門職に興味を持たないこと、石油開発なども地質学者、技術者、技労働者の需要があり、他の業界との人材確保競争があることなどから、人材育成の見直しの重要性が強調された。鉱業は従来の地下作業など危険を伴う職業ではなく、ロボット技術やリモコン技術等ハイテク技術を駆使し地上で作業することが多くなっている事など新しい職業情報を広める重要性や、職業訓練を鉱業界で統一すること、職業基準を定めることがその対応策として掲げられている。これまで職種として認められていなかったボーリング技師や発破の専門家も、職業基準を定めることで、訓練カリキュラムなども組みやすくなることなども例として挙げられている。

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