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ニュース・フラッシュ

2005年9月6日 サンティアゴ 中山 健

アルゼンチン、チリへの天然ガス供給を一時停止、チリの鉱山操業等に影響

 9月2日付け地元紙等によると、チリの天然ガス供給業者組合は、9月1日、アルゼンチン政府がチリ第V州及び首都圏州向け天然ガスの供給を一部停止するよう指令したと発表した。供給停止は今後数日間継続される見込みである。
 これは、Buenos Aires州一帯を襲った寒波の影響でアルゼンチン国内の家庭用ガス消費量が急増したために取られた非常措置であるが、チリの第V州及び首都圏州で天然ガスを使用して操業している500工場が悪影響を受け、深刻な状況を訴えている。チリの上記2州は毎日アルゼンチン産天然ガス2.8百万m3の供給を受けているが、今回供給を停止されたのは、その内、産業界向けの1.2百万m3/日である。影響を受けた工場の75%は他のエネルギーに切り換えて操業を継続しているが、残り25%は操業停止を余儀なくされている。また、他のエネルギー(主にディーゼル油)に切り換えて操業を継続した工場も、かなりのコスト上昇に直面しており、その影響は極めて甚大であるという。
 チリは天然ガスの国内消費量を全量アルゼンチン1国からの輸入に頼っているが、最近はアルゼンチンの国内消費量が増大しつつあり、チリへの供給体制が不安定化している。今回の供給停止も8月以降既に6回目となった。チリ産業界全体にとって大きな不安材料となっているが、チリ政府は今回の供給停止も全国供給量の11%程度に過ぎず、全体としてはさほど大きな影響はないと、暫し静観の構えである。しかしながら鉱業界ではこういう状況が改善されなければチリ北部の第Ⅰ州および第Ⅱ州では、2008年以降の新規開発に大きな支障が出るものと懸念している。

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