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テックコミンコ社、カナダ・オイルサンド事業へ進出
9月7日テックコミンコ社は、カナダ・アルバータ州のFort Hills(フォートヒルズ)オイルサンド開発プロジェクトに進出することを発表した。テックコミンコ社は475百万加ドルを支出し、Petro-Canada(オペレータ)およびUTS Energy(原オーナー)より15%の権益を獲得、加えて、初期開発投資の34%に相当する375百万加ドルを支出する。フォートヒルズは同州最大の未開発オイルサンド資源の一つで、ビチューメンベースで28億バレルの開発可能な埋蔵量(47億バレル期待量)が存在。2010年より日産19万バレルにて40年の生産期間を見込む。1バレル当たり採掘コストは12~18ドル。 当地アナリストによれば、アルバータ州のオイルサンドプロジェクト成否の一つの鍵は、寒冷地における露天採掘技術とされる。フォートヒルズは北緯57度に位置することから、レッドドッグなどアラスカの開発実績を有するテックコミンコのプロジェクトへの参加は、その資金力と共に、大きな期待をもって迎えられているという。他方テックコミンコにとっても10億ドルともされる潤沢な手元資金の使途として、コモディティーの多様化によるリスクヘッジ、また世界第二位の埋蔵量と目され注目度が高いカナダ・オイルサンドビジネスの足場は魅力的であった。 過去マイニング大手がカナダ・オイルサンドビジネスに参入した例としては、ニューモントが2004年に金市況のヘッジ効果を求めてCanadian Oil sand Trustの株式6.6%を取得した例がある。Canadian Oil sand Trustはカナダ産原油の13%を生産するSynclude社株式を23%保有する最大株主であるほか、オイルサンドプロジェクトを有するEncana社株式の13%を保有する。また、過去1998年には、BHP BillitonがShell Canada Ltd.によるアルバータ州のMuskeg River(現在生産中)オイルサンドプロジェクトの探鉱・評価に参加したが、当時の1バレル当たり10ドルを下回る原油市況に嫌気し、翌99年には撤退した例などがある。今回のテックコミンコの出資は、マイニング大手にとって初の本格的な参入とみなされる。 テックコミンコ社の株価は発表後3.1%上昇するなど、市場では先ずは好感を持って受け止められた。カナダのオイルサンドプロジェクトへの参入は、技術の活用、ビジネスの将来性、リスクヘッジの視点から、マイニング各社の有力な投資先として今後も注視されるのではなかろうか。
