ニュース・フラッシュ
2005年10月4日
サンティアゴ
中山 健
Pascua Lamaプロジェクト、チリ国家環境委員会(CONAMA) Barrick Gold社と水利権者組合との協定を疑問視
9月28日付け地元紙等によると、チリ国家環境委員会(CONAMA)のPaulina Sabal委員長は、Barrick Gold社がHuasco峡谷水利権者組合と締結した“プロジェクト推進合意協定書”について、同協定書の有効性を疑問視しているとのコメントを発表した。
Barrick Gold社は、チリ・アルゼンチン両国国境地帯に賦存するPasucua Lama金鉱床開発プロジェクトを推進しているが、同プロジェクトは環境を破壊するとの理由で、チリ・アルゼンチン両国で地域住民が反対行動を起こしている。Barrick Gold社は、同プロジェクトの第2回環境影響調査書に関連して第Ⅲ州地方環境委員会(COREMA)が行った質問に応える形で上記合意協定書を締結し、同組合と共同で地方環境委員会に対する回答書を作成して提出する予定である。
地方環境委員会は同プロジェクトに反対している地域住民に会社側の対応(合意協定書)を示し、再度地域住民の意見を聴聞して、プロジェクトの推進を承認するか否かを決定する。
今回、Sabal委員長が疑問視を表明しているのは、Huasco利権者組合の意見が果たして地域住民全体の総意と云えるか否かという点である。また、一部の住民グループが憲法の保証している“汚染されない綺麗な環境に住む権利”を放棄出来るか否かに付いても疑問であるという。同委員長は、“会社が民間のグループや団体と協定を結ぶことは決して悪いことではないが、地方環境委員会はそうした協定とは何ら関係がない”と述べている。
Barrick Gold社は、上記協定書を締結する他、環境への影響を緩和・補償するため、水利権者に20年間に亘って60百万ドルを支払うことを約束している。
