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ニュース・フラッシュ

2005年10月28日 北京 納 篤

中国のモリブデン供給、タイト状況続く

 安泰科及び有色金属工業協会関係者の情報によると、100人を超える地元住民が9月上旬に遼寧省葫芦島の連山小馬溝モリブデン鉱山内に立ち入り、モリブデン鉱石を略奪するという事件が発生し、地元公安局が首謀者を逮捕し、留置していることを明らかにした。現在遼寧省の地元政府は葫芦島周辺の未許可採掘に対し取り締まりを強化しており、その後の現時点(10月中旬)では略奪は無くなったとしている。葫芦島のモリブデン鉱山の操業は2005年2月に停止しており、2006年まで再開する予定はないとしている。これによって中国のモリブデン鉱石の供給状況は、数か月間はタイトとなることが予想される。遼寧省のモリブデン生産は中国第3位で、2004年は5,830tを生産している。ちなみに2004年の中国全体の生産量は63,961tであった。
 当事務所の聞き取り調査によると、中国のモリブデン鉱床は小さなものが多く、鉱業権を持たずに採掘しているケースも少なくない。また、中央及び地方政府は、鉱業権を持った企業の中にも、環境を無視した乱掘や鉱山保安上問題のある鉱山も多く、政府から強制的に操業停止となる鉱山が増えている。この様に操業停止となったモリブデン鉱山から、数百t/月の鉱石が盗掘されているとして、中国では大きな社会問題となっている。但し、中国からの輸出に関しては、直接的にはフェロモリブデン価格に影響せず、価格は76~79USドル/Kg(FOB)で推移している。

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