ニュース・フラッシュ
2005年10月31日
アルマティ
酒田 剛
カザフスタン、戦略資源の権益譲渡に政府の介入権を認める法案が成立
地元業界紙等によると、カザフスタン議会は地下資源利用者が戦略資源の権益を第三者に譲渡する際に政府に介入権を認めるとする法案を可決し、ナザルバエフ大統領が10月15日に署名して成立した。戦略資源には、1997年3月24日付け政令で示されたリストに基づく石油、ガス、コンデンセート及びエネルギー資源が含まれるとされる。エネルギー鉱物資源省のBaktykozha Izmuhambetov次官は、国家経済安全保障における法案の重要性を指摘する。2004年12月の地下資源法改正が、譲渡されるライセンスの買収やライセンスを所有する法人の権益獲得に対して国際コンソーシアム内の他パートナーに先んじて国に優先権(先買権)を認めるとする内容であったのに対し、今回成立した法案は、当該譲渡が権利集中をもたらし、経済安全保障に問題がある場合にライセンスの譲渡や当該ライセンスを直接又は間接に所有する企業の権益を第三者に譲渡することを国が阻止できるというもの。新法は、石油法と地下資源法に適用されることになる。この他に、国際コンソーシアム内の不在留外国企業の権益に対して、国の買戻し優先権を規定したとの情報もある。
今回の背景には、中国CNPCによるペトロカザフスタン社(カナダ)の買収の動きがあり、カザフスタン側に油田権益囲い込みの思惑と中国に対する脅威論があると伝えられている。
