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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ベースメタル
2005年11月29日 サンティアゴ 中山 健

銅価格高騰がチリ経済に与える影響-中長期的には深刻な問題も-

 11月18日LMEの銅スポット価格は2USドル/lbを突破し、その後も1.9USドル/lb台後半で推移している。銅価格高がチリ経済に与える影響について、その現状と中長期的視点からみた問題点について、地元紙等は次のように論評している。現状は、(1) 2005年度の平均銅価が1.65USドルになると想定し、CODELCOの剰余金(税引き後の純益=国庫に収納)が53億ドル、民間鉱山会社の法人所得税が19.6億ドル、合計70億ドルを越える巨額な税金が国庫に入ることになる。(2) 銅価の高騰が続く中、メジャー企業による巨大鉱業プロジェクトへの投資が続いているため、チリ国内に多額のドルがだぶつき、急激なドル安を招き、輸入品の価格が低下して一般消費者を益している。その一方で銅以外の輸出産業は大きな打撃を受けている。
 中長期的視点からは、銅価格高騰は、中国の需要増加と在庫量の極端な減少が原因であるから、この高値はかなりの期間続くと考えられる。従って、(1) アルミ・プラスチック等の代替品が銅に取って代わる危険性がある。特にアルミは価格がそれ程高騰しておらず、銅の代替品として使用される可能性は無視出来ず、銅産業の危機を招く恐れがある(チリは人工火薬が発明された時、硝石産業が全滅した苦い経験を有しており、代替品の出現には極めて神経質である)。(2) ドル安で、銅以外の輸出産業が破壊されてしまい、銅価格が下落した後、所謂オランダ病に取り付かれる可能性がある。
 5月20日に1ドル583ペソであったドルレートは、11月15日には523ペソまで下落しており、500ペソを割り込む勢いを見せている。1ドル600ペソが適正レートと見ている輸出業者組合は中央銀行や大蔵省にドル買い介入を要請し始めている。中央銀行は今の段階ではノーコメント、大蔵大臣は投機的な動きが見られれば、ドル買い介入もあり得るとのコメントを発表している。

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