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EUの鉱山及び採掘場における廃棄物管理に関する指令案が採択に向け大きく進展
欧州議会と欧州理事会は、11月23日、共同決定手順(co-decision procedure)に準じ、採掘産業における廃棄物管理に関するEU指令案の暫定的な合意に達した。同指令案の欧州議会内の取りまとめを担当するJonas Sjostedt氏(欧州議会議員スウェーデン選出)によって発表された。1998年スペイン(Los Frailes鉛・亜鉛鉱山)、2000年ルーマニア(Baia Mare鉱山)などの鉱山テーリングダムからの有害物質の流出事故を契機に、有害物質を扱う大規模産業の事故防止、重大事故の危険性の管理する規制を強化すべきとの声が域内で高まってきていた。今回合意された指令案は、2003年に欧州委員会によって『The management of waste from the extractive industries – 2003/0107(COD)』として採択され、2004年2月以降パブリックコンサルテーションを実施し関係業界と協議を行って来た。今回合意された指令案は、現行の指令であるセベソⅡ指令(Seveso Ⅱ Directive)に規定されるものに更に補足し、欧州における採掘産業でも鉱業および採石場の廃棄物の流れ(waste stream)の具体的な法的枠組みを策定するのが目的である。また、EU加盟国及び加盟申請中の国の操業中の鉱山及び閉山した鉱山を対象とし、廃棄物設備のプラニング、許認可制度、操業、閉山及び閉山後のケア、また、重大事故に関する方針の策定を義務づけることで、水質や有害物質流出事故の軽減を目指すものとなっている。次の段階としては、欧州議会にて加盟国との間で最終的な合意を得た後、2年以内に加盟国は同指令の内容を国内法で制定することになる。また現在、欧州議会は、環境と健康への悪影響状況を明確にするために、加盟国に対して閉山及び放棄された鉱山一覧表の作成も求めている。欧州における鉱業廃棄物は、廃棄物全体の30%を占めており、年間4億tが廃出されている。
