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ニュース・フラッシュ

2005年12月27日 サンティアゴ 中山 健

チリ大統領候補の鉱業政策

12月13日付け地元紙等は、来る1月15日に決戦投票に臨む大統領候補の鉱業政策を次のように報道している。チリでは鉱業が輸出総額の50%以上を、また、鉱業活動が国内総生産の10%を占めている。また、2005年度CODELCOが国庫に収納する剰余金は50億ドル、民間鉱山会社の法人所得税納税額は20億ドルに達する。これらの数字を見れば、チリにとって鉱業が如何に重要な産業であるかが良く分かる。大統領選挙の決選投票を1か月後に控えた現在も、候補者達は明確な鉱業政策を国民に示してはいないが、彼らが折に触れて述べた鉱業に対する考え方を要約すると下記のとおりである。
(1) Michelle Bachelet(与党連合の推す女性候補者)n ・ CODELCO(チリ銅公社)についてn  民営化は行わない。剰余金を100%国庫に収納する現行の制度を改め、剰余金の一部を投資に廻せるようにする。CODELCOの投資計画、投資金額に対する政府の監視機能を強化する。経営審議会を強化し、総裁の任免権を持たせる。
・ ENAMI(中小鉱山振興公社)についてn  中小鉱山の振興機能を強化し、中小鉱山にリスクマネーを提供できるようにする。ENAMIの選鉱プラントの近代化を行う。入札によるENAMI保有鉱区の民間への放出を継続する。
・ロイヤルティⅡについてn  n 税収は北部(鉱山地帯)へのガス供給問題、工業用水の使用許可問題等を解決するために使用する。
(2) Sebastian Piñera (野党連合の推す候補者)n ・CODELCOについてn  CODELCOを株式会社化。株式の20%を年金基金に開放し、これで得た資金を投資計画に充当する。利益の一部を労働者に配分する。
・ENAMIについてn  n 本部を北部に移転。ENAMIの支援を必要とする中小鉱山の近くに本部を置き、より身近な立場で振興業務を行うと共に、地方分権を進める。
・ロイヤルティⅡについてn  n 納税した地域に公正に配分交付する。鉱山会社が技術開発・技術革新または地域振興のために使用した資金を税額から控除する(納税すべき金額の50%を限度として)。

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