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チリ鉱山会社と電力会社間の対立が深刻化、アルゼンチンの全面的なガス供給停止の可能性を巡り
6月18日付け地元紙等は、現在チリは、アルゼンチンから天然ガス契約量の半分しか供給されておらず、アルゼンチンによる天然ガス供給カットに苦しむ銅産業と電力会社の現状を次のように報道している。
チリ輸出総額の50%、国内総生産の約1/5を担う銅産業界の大部分の鉱山操業が集中している北部地方では供給カット率はもっと大きく80%にも達している。このため、国内の鉱山経営者は、近い将来、供給を完全に閉ざされる日が必ず来るに違いないと警戒感をあらわにしている。
こうした状況下、会社間の対立が深刻化してきた。電力会社が鉱山会社に売電契約の見直しを迫っているのに対し、鉱山会社はこれを拒否し続けている。Edelnor(CODELCOとSuez社の合弁企業)がSQM(非金属鉱業会社)と、GasAtacama(電力公社Endesaと米国CMS Energyの合弁会社)がEscondida、Collahuasi、El Tesoro鉱山と互いに弁護士事務所をたてて契約改定の交渉を行っている。CODELCOもEdelnor、Electroandina両電力会社と料金改定の交渉中であるが、CODELCOはこれら電力会社の株主でもあり、電力会社側には、このまま行けば電力会社は鉱山会社により破産に追いやられかねないと危機感を募らせている。
電力会社EdelnorとGasAtacamaの間にも軋轢が生じており、何れの会社がアルゼンチン産天然ガスの使用を止めて他の燃料に切り替えるべきか、その切り替え費用を誰が負担すべきかを巡って対立し始めた。天然ガスを使った場合の発電コストは1MW/hあたり18US$であるのに対し、石炭に切り替えた場合は同じく27~30US$、ディーゼルオイルの場合は150US$もかかるからである。両社の対立は激化し、6月15日、Edelnorが電力会社の発電調整機関(Cdec-Sing)に調停を依頼した。調停は23日に言い渡される予定である。
Edelnorは2005年第1四半期には利益を計上していたが、2006年第1四半期には損失を出している。一方Electroandinaは2006年第1四半期にかろうじて4千US$の利益計上に留まっている。
大手鉱山会社17社で結成されるConsejo Minero(チリ鉱業審議会)のCostabal会長は、「エネルギー供給を確保するため2005年に7億7百万US$を投資せざるを得なかった。発電設備をディーゼルに切り替えるためだが、発電コストは8倍に跳ね上がる」と語っており、チリ鉱業における電力エネルギー問題の深刻さを物語っている。