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ニュース・フラッシュ

2006年9月12日 バンクーバー 宮武修一

カナダ大手銀行Nova Scotia銀行の選択、鉱山会社社外取締役就任への姿勢

 カナダ5大銀行のうち、Nova Scotia銀行(Scotia銀)を除く4行は一連のニッケル大手を巡るM&Aにつき各社様々の支援に関与した。Inco社のTOBに関連してRoyal Bankがこれを部分的に支援、Falconbridge社にはCanadian Imperial Bank of Commerce(CIBC)が敵対的買収からの保全措置につきアドバイス、Xstrata社にはToronto Dominion(TD) Securitiesがその戦略について、またTeckCominco社の敵対的買収提案の作成にはBank of Montrealがそれぞれ携わったとされる。M&Aが成功した場合、こうした提携銀行に対する報酬は2,000~3,000万C$といわれており、銀行にとって旨味のあるビジネスとなっている。この中、Scotia銀だけは唯一カヤの外であった。Scotia銀の場合、強力なマイニングチームを行内に欠いていたのではないかという見方もあるが、Scotia銀頭取(CEO)は5大銀行の中で唯一他社役員に就任しており、とりわけInco社取締役であったことから一連のM&Aへの関与が見送られたのではないかと言われている。各行頭取の社外取締役への就任については、各行間で温度差があるようで、固辞というスタンスのほか、非営利組織に限定して可、また禁止されておらず各自の判断次第など、様々。この点Scotia銀の場合、Inco社役員への就任は行として積極的に受け入れられたようで、頭取の業務負担は増加するものの、内部から企業を見る経験はより良い本業に結びつくなど、むしろ奨励された経緯であったという。

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