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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ベースメタル
2006年10月1日 サンティアゴ 中山 健

CODELCO下請労働者銅価高騰の特別手当を要求してストライキ、生産への影響なし

 地元各紙の報道等によると、CODELCO下請け各社の従業員28,000人が、2005年の銅価高騰に対する特別手当として1人当り50万ペソを支払うようCODELCOに要求していたが、2005年12月28日行われた政府との話し合いが不調に終わったため、翌29日にストライキを決行した。また1月4日にもデモは続けられ、El Teniente事業所の下請け従業員約4,000人がRancagua市でデモ行進を行い、警察と衝突。60人が逮捕され、警官4人が負傷した。Andina事業所では下請け従業員約2,000人がLos Andes市内で平和なデモ行進を行った。しかしながら銅生産自体には影響は出ていない模様である。
 この問題の背景には、CODELCOが操業コスト削減のため多くの作業を下請けに出して、過去15年間に直轄従業員を大幅に削減した経緯があると云われており、事実、1990年に26,400人いたCODELCOの直轄従業員は、2005年には17,000人に減少している。また、下請け会社従業員の説明によると、CODELCO直轄従業員と下請け会社従業員は、同じ仕事をしているにもかかわらず、給与の差は5対1であるという。一連の行動に対して労働者統一総同盟(CUT)はいち早くCODELCO下請け会社従業員の行動支持を表明したが、銅産業労働者連盟(FTC)は同運動を支持していない旨の声明を発表した。
 政府は、Eyzaguirre蔵相が下請け会社従業員のスト突入を「チリ国民に対する脅迫行為であり、絶対に受け入れられない」と突っぱね、Lagos大統領も1月3日「このような特別手当は絶対に支払わない。下請け問題はCODELCOだけの問題ではない。百貨店業界やテレビ局でも大きな問題になっており、政府は大至急下請け規制法案を国会に提出する意向だ」と、CODELCO問題を他の業界に振り当てる発言を行った。これに対し、サンチャゴ市商業会議所は、直ちに「下請けは何処の業界でも行われており、我国だけでなく、世界中で行われている制度だ。白熱した大統領選挙前だからこのような発言が出るのだろうが、(CODELCO問題をそらすための)極めて不当な発言」と反論している。
 野党連合推薦の大統領候補者Piñera氏が、「CODELCOは自主的経営判断で解決できる筈、下請け従業員はこの特別手当を受ける資格がある」と発言したこともあり、下請け従業員の一部は与党連合推薦のBachelet候補者には投票しないことを示唆している。このように15日の大統領選挙を前にして本件は完全に政治問題化してきた。
 CODELCOのVillarzu総裁は、「デモは完全に政治問題化しており、チリ国民全体に脅しをかけている状態だ。CODELCOは下請け従業員と雇用契約を結んではいない。下請け従業員が鉱山道路を封鎖するなら下請け契約を解消することも検討する必要がある。ストが続いても長期間にわたらなければ、ここ暫くは通常通りの生産を続けられる。この動きは大統領選が終われば、沈静化するだろう」と語った。

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