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チリ・鉱業界、鉱業投資環境ランキング低下に懸念
地元紙および業界専門誌は、去る3月にFraser Instituteが公表した鉱業投資環境ランキングが2006年の第8位から2007年第23位に転落したことを受け、要因を分析し、政府により新たな手が打たれなければ近い将来チリの鉱業は低落することになると懸念している。
1997年のランキングではトップであったが、2003年には4位、2006年には8位と低下していった。探鉱事業の成熟、ペルーやブラジルといった他国での探鉱の活発化、および地質情報の不足、環境対策の強化、鉱山用水不足、労働争議が主な低下の要因になっていると分析している。コンサルタントのJose Cabello氏によると1979年から現在までに26億US$の探鉱投資が行われ、46鉱床が発見されており、これらの価値は3千億US$になると計算される。また同氏は「チリは探鉱コストが高いため、ジュニアカンパニーの参入を妨げている。しかしチリの宝くじは当たれば10百万US$であるのに対して南米の他国は1百万US$である。」とチリの魅力を強調している。これに対してMinera Hochschild Chieの探鉱部門責任者であるWaldo Cuadra氏は「チリはまだポテンシャルは十分あるが、地表に兆候のある場所は殆どが探査し尽くされており、既存地質情報の徹底した収集・解析、新しい探鉱モデルと新技術の適用が必要である。」と探査が既に成熟していることを語っている。
業界筋では、チリが世界の銅鉱床探鉱のリーダーとしての地位を維持するには基礎的地質情報提供を行うべき地質鉱山サービス局(SERNAGEOMIN)が機能しなければならないが、年間活動予算は12百万US$以下で、地質専門家も50名以下とチリで活動する大手民間企業よりかなり少なく、業界ニーズから大きく乖離している。チリ経済を支える鉱業に対する政府の支援が隣国のペルー、アルゼンチンおよびブラジルに比べて余りも貧弱であることが大きなボトルネックであると専門家は嘆いている。