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ニュース・フラッシュ

2007年7月10日 サンティアゴ 中山 健

チリ・地元紙、南米における中国の資源獲得を報道

 6月20日付地元紙は中国がラテンアメリカで資源を買いあさっていると次のように報道した。
 中国国営公社Aluminum Corportion of China(Chinalco)は、6月11日、カナダ資本のPeru Copper社を買収したと発表、ペルー鉱山業界への進出にまた大きな足懸りを残した。今回の買収は同社がこれまでにペルーで行なってきた一連の企業買収の一つであると位置づけられているが、中国のこうした動きにより、資源獲得のためにラテンアメリカへの直接投資を増やしていく同国の国際戦略の一旦が垣間見られる。中国の直接投資の大部分はエネルギー・金属鉱物資源に的を絞っているようで、製造業等、現地で付加価値を付ける生産活動への投資はごく僅かである。
 中国の急速な工業化と経済成長に支えられて、エネルギー資源や金属鉱物資源に対する中国のニーズは益々旺盛になってきた感がある。
 Chinalcoは中国最大級の鉱業会社であり、また世界最大のアルミ生産会社でもある。
 同社はPeru Copperの買収に7億92百万$(株価に21%のプレミアムを付けた)投下したと云われているが、この買収で海外事業を多角化すると共に銅鉱石の安定供給を実現したい意向のようである。Chinalcoの社長はこの買収は同社の海外戦略の一環として、海外事業の拡大を図るために行なったものであると説明している。因みに、中国は昨年銅の世界総生産量の20%を消費しており、世界最大の銅消費国である。中国の急速な経済発展に伴って、多くの中国企業が海外で鉱山会社を買収してきた。
 Chinalcoはこの他にもPeru Copperが発行する予定の新株を購入してToromocho銅プロジェクトの探鉱・開発に66百万$投資することを約束している。Peru CopperはToromochoのオーナー会社で国営企業のMinera del Centro del Peru(Centromin)と同鉱山の開発協定を結んでいるからである。Toromochaはペルーでも最もポテンシャルの高い銅鉱山と云われている。
 2006年に中国企業が海外で買収した企業は103社、総額207億$にのぼっている。2004年の企業買収が53社、38億$であったのと比較すると、その急増ぶりが伺える。これらの企業買収の大部分は新興国、特にアジアで行なわれており、2007年に実施された10大企業買収は全てアジアである。中国企業によるアジアへの投資は今後も益々増えて行くものと見られている。
 しかし、中国はアジア以外の諸国でも投資を増やしており、特に最近はラテンアメリカ諸国に目を向けているようである。
 2007年の4月に、Zijin MiningがペルーのMonterrico Metalsの株式過半数を買取り、Rio Blanco銅鉱山の開発権を手に入れた。この鉱山は20年間にわたり年間22万tの銅を生産する予定の大鉱山である。4月にはまた、他の中国の会社2社がMichiquillay鉱山を買収しようと試みたが、Anglo-Americanの入札価格の方が高かったため敗退した経緯がある。
 China National Petroleum(CNPC)は、ペルーで操業しているアルゼンチン資本の石油会社Plus Petrol Norteの株式45%を2004年に2億$で買い取り、現在はペルー南部のCamisea近くで天然ガスと石油の探査を行なっている。また、ペルー以外でも、CNPCとSinopecがAndes Petroleumと称するコンソーシアムを結成して、エクアドルでカナダ資本の石油会社Encana社を14億20百万$で買収したほか、原油輸送送会社Oleoductos de Crudos Pesados(OCP)の36%を買い取るという極めて戦略的な動きも行なっている。
 CNPCとSinopecはまた、国営石油会社とも業務提携してゆく動きを示しており、2004年にブラジルのPetrobrasはSinopecと石油の共同探鉱、生産、精製、販売、石油化学、石油流送に関する協力協定を締結している。2007年3月に中国はベネズエラとも6つの協力協定を締結したが、その大部分はエネルギー分野に関するものである。

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