カナダドル高で、対米ドルとでほぼ均衡
カナダ銀行の交換レートによると、7月6日の正午レートで1C$=95.42US¢を付け、1976年以来これほどの等価に近い状況は例を見ない。2007年1月の交換レートと比べても10¢も高い状況となった。多くの人々は、ここ数か月のこの事態に驚きを隠せないでいる。
このことに関して識者は、(1) カナダの経済見通しが明るい(強含みである)こと、(2) カナダはとりわけ多くの資源、原材料、エネルギーの生産者としてその殆どを輸出していること、(3) カナダ企業への外国企業による買収等が活発化することに伴い多額の外資流入があること、などが大きな牽引材料となっていると分析している。
また、カナダの主要産業界では、現在の為替レートが与える影響を以下のように捉えている。
(鉱業)
銅、金、亜鉛などの主要鉱物は通常US$で取引されているため、C$がUS$に対し1セント上昇するだけで利益は減少することになる。Teck Cominco社の2006年アニュアルレポートによるとその影響を22百万C$と算出している。しかしながら、現在のところ、C$が上昇するとコモディティ価格も上昇するという関係が継続していることから、純利益への影響をうまく補っている。このことに関し、同社副社長Greg Waller氏は「一般的に、カナダやオーストラリアのようないわゆる資源国の経済においては、US$でのコモディティ価格が強くなると自国通貨も強くなるという傾向があり、C$上昇による恩恵は十分に受けている」と述べているなど概ね有益との認識。
(林業)
林業においては、C$の上昇で利益が大きく減少。主として、運営コストをC$で決済し、収益はUS$で決済されていることが要因。C$がUS$に対し1C¢と上昇するとその影響額は、160百万C$と算出。
(建設業)
建設業の場合、多くの建材を米国からの輸入で賄いUS$で取引されていることから、C$上昇は同業界にとっては概ね有益との認識であるものの、反面、カナダからの資材輸出は厳しい状況。
(観光業)
観光業においては、米国からの年間旅行者が大宗を占めていることもあり、C$上昇による観光客の減少により収益は激減。
(映画産業)
映画産業界の場合、C$の上昇でカナダでの撮影プロジェクトが撤退傾向。しかしながら、当業界では現在の為替状況を以前から予測し、既に以前より徐々に撤退していたこともあり、急激なインパクトはない模様。
(参考:カナダ銀行発表、直近対US$交換レート(6/29~7/16)) |
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Currency conversion results
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Date:
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1 in Canadian dollars equals:
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Exchange rate:
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29 Jun 2007(low)
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0.94US dollars (noon)
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0.9404(1.0634)
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02 Jul 2007
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US dollars (noon)
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Bank holiday
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03 Jul 2007
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0.94US dollars (noon)
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0.9438(1.0596)
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04 Jul 2007
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0.95US dollars (noon)
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0.9461(1.0570)
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05 Jul 2007
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0.95US dollars (noon)
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0.9464(1.0566)
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06 Jul 2007
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0.95US dollars (noon)
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0.9542(1.0480)
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09 Jul 2007
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0.95US dollars (noon)
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0.9543(1.0479)
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10 Jul 2007
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0.95US dollars (noon)
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0.9505(1.0521)
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11 Jul 2007
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0.95US dollars (noon)
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0.9471(1.0558)
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12 Jul 2007
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0.96US dollars (noon)
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0.9552(1.0469)
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13 Jul 2007
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0.95US dollars (noon)
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0.9545(1.0477)
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16 Jul 2007(high)
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0.96US dollars (noon)
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0.9588(1.0430)
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