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ニュース・フラッシュ

2007年7月23日 リマ 西川信康

エクアドル・地域住民の代表が、反鉱山運動を支援している環境NGOに抗議

 JOGMECリマ事務所は、Mirador銅開発プロジェクトが位置するZamora Chinchipe州に住むTigo Rubén Naichap先住民Shuar族同盟会長が、6月25日付け、カナダのオタワに本部のある環境NGO“Mining Watch”会長Miss Joan Kuyek宛てに送付した書簡を入手した。内容は、鉱山開発は、地元の貧困問題、周辺インフラの整備等地元に多大な貢献が期待できるにもかかわらず、環境NGOとそれに扇動された一部住民は、自然破壊ばかりを強調し、反鉱山キャンペーンを繰り広げていることは、地元住民の権利を無視したものとして、強く抗議するとしている。以下にその内容を紹介する。
 エクアドル南東部のアマゾン地区はShuar族など多数の先住民族が住む未開の地であったが、1990年代に金・銅・銀などの豊富な金属資源があることが確認され、近年になりカナダなどを中心に外国資本による開発が始まった。
 ところが、この鉱業活動に対し、環境NGOや反対グループの不法な抗議運動により、開発企業の施設の焼き討ち、住民や駐屯する軍人への攻撃で負傷者が出るなどの事態となり、2006年末に、エクアドル政府はEcuaCorrienteに対して鉱業開発中止命令を出し今日に至っている。
 Shuar族同盟会長である私Tigo Rubén Naichapは、最近カナダを訪問し、カナダにおける操業中の鉱山を視察、地元インディアンとも会談するなどして情報を入手し、カナダにおいては、地元住民が開発企業の事業活動を支持し、双方とも利益を共有し、共同して開発事業を行い、経済社会に貢献している事実を確認した。
 一方、EcuaCorrienteが開発するZamora Chinchipe州地域では、同州出身のSalvador Quishpe国会議員が指導者となり、鉱業開発反対運動を行っているが、彼を支援し、洗脳しているのは貴女が率いる環境NGO“Mining Watch”であり、何故、先住民を救済する建設的な支援活動でなく、鉱業開発を後退させ、貧困に苦しむShuar族などの先住民族が、鉱業活動により得られであろう生活環境向上のチャンスを妨害するのかとの強い疑問を持たざるをえない。
 Shuar族の幼児死亡率は1,000人に対し3人、平均寿命50歳、一日1$以下の現金収入というのが現状であり、家族の生活を維持するために森林伐採を生活の糧としている。これに対して、EcuaCorrienteは地元住民の直接・間接雇用、当地での生活環境向上のみならず、地元社会に教育の機会、インフラ改善、医療施設設置などを提供し、地元に貢献することを約束している。また同社の今後の開発計画では3.4億$の投資を行う予定だが、エクアドルの法律を遵守し、地元住民の文化と社会を尊重するという合意のもとに事業を展開することになっており、国家の利益のみならず、我々の生活が益々改善され向上することが期待される。
 しかし、“Mining Watch”はWebsiteを通じて、鉱業開発事業における自然破壊ばかりを強調し、地元住民の権利を無視し、抗議運動において自らひき起こした不法な暴力行為などには触れず、事実を歪曲した一方的な情報のみを報道し、反対運動を煽っている。“Mining Watch”を支援するカナダ国民に対しても、何故、正確な情報を提供しもっと建設的な立場で見解を述べないのか全く理解できないところであり、怒りをもって“Mining Watch”に強く抗議する。
 もし、“Mining Watch”がEcuaCorrienteに対して抗議運動を起こす前に、現地を訪問し、地元住民の生活環境について十分に理解していたならば、EcuaCorrienteが自然保護に配慮しながら地元住民との合意のもとで、誠意ある対応策をとりつつ開発事業を開始し、実行し、遂行しようしている事実を確認して、このような事態は起きなかったであろうと確信する。
 終わりに、“Mining Watch”が更なる反Mirador Project開発の資金を募り、我々の意思を反映していない反対派グループへの支援を続けていくならば、この反対運動が、Zamora Chinchipe州の住民がおかれている厳しい経済・社会的状況から抜け出す道を阻み、生活改善の機会をも奪うことであることを、エクアドル政府やカナダ市民のみならず、世界の人たちが認めることになるだろう。
 また、この書簡に加えて、20万人の先住民族を総括するエクアドルアマゾン先住民連合(Confederación de Nacionalidades Indígenas de la Amazonía Ecuatoriana)José Aviles会長も、6月27日付けでZamora Chinchipe 州のShuar 族同盟を全面的支援する旨の書簡を“Mining Watch”に送付した。

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