閉じる

ニュース・フラッシュ

2007年8月20日 ジャカルタ 池田 肇

インドネシア・日イ経済連携協定に署名

 御手洗冨士夫経団連会長ら200人を越える経済ミッションを帯同してインドネシアを訪問中の安倍晋三首相は8月20日、両国の経済人が見守る中、ユドヨノ大統領と経済連携協定(EPA)に署名した。本EPAはインドネシアにとって、初めての二国間貿易協定(FTA)で、我が国にとっては、8か国(シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイ、メキシコ、チリ、インドネシア)目となる経済連携となる。本EPAは2008年初旬の発効が見込まれている。インドネシアは、我が国にとって、重要な鉱物資源・石炭・エネルギー供給国で、特に液化天然ガス(LNG)では最大の供給国。貿易総額では第11位の相手国である。我が国は、インドネシアにとっては輸出・輸入ともに主要貿易相手国となっている。日本からのインドネシアへの過去の累積投資額は約395億US$、全累積(1967-2006)投資額に占めるシェアは13%で第1位である。
 本EPAは、物品貿易の自由化(生産、輸出拠点としての魅力向上、関税撤廃)、サービス・投資保護(内国民・最恵国待遇、収容補償、争乱保護、送金の自由、紛争処理)、人の移動(看護士、介護福祉士候補者の受け入れ、観光分野への研修技能実習制度拡大検討)、資源・エネルギー(安定供給確保、輸出規制・生産変更時対応、政策対話、投資協力(投資環境整備、生産増強、環境配慮))などの分野について規定している。これにより、関税コストの低減、生産拠点の最適化、市場の投資先の拡大に繋がるものと期待されている。
 また、同日午後、インドネシア商工会議所(KADIN)、日本経団連、日本貿易振興機構(JETRO)が主催したインドネシア-日本ビジネスフォーラム他において、安倍首相とユドヨノ大統領の立ち会いのもと両国投資協力を象徴する7件の事業計画に関する覚書が調印された。7件の事業は次の通り。
(1) KADIN(M.S. Hidayat会頭)とJETRO(林康夫理事長)が、EPAの実施枠組みで協力する。投資デスクの設置、運営。
(2) 西Jawa州Cirebon石炭火力発電所(660MW)の独立発電事業計画(IPP)。PT PLN、丸紅、韓国中部発電(Korea Midland Power Co. Ltd.)、Samtam Co. Ltd.、PT Tripatra Engineers and Constructorsの連合の事業。事業総額は7億5,000万US$。1kW時当たり4.363c(セント)で30年間供給する。
(3) 北Sumatra州Sarulla地熱発電所(300MW)のIPP。PT PLN、PT Medco Energy International Tbk、Ormat International Inc.、伊藤忠商事、九州電力の連合の事業。事業総額は8億US$。
(4) 東Jawa州Paiton Complex発電所のIPP拡張(800MW増強)事業。PT PNL、PT Paiton Energy、三井物産、東京電力が共同参画。2011年から30年間の売電。事業総額は10億US$。
(5) 南Kalimantan州褐炭液化の事業化調査。エネルギー鉱物資源省研究開発庁(Research & Development for Energy and Mineral Resources、PT Bumi Resources Tbk、神戸製鋼、双日の共同事業。事業総額は13億US$。
(6) 液化天然ガスプロジェクト(インドネシア生活向上プロジェクト:Indonesian Better Life Project)。PT Pertamina、伊藤忠商事の2社事業。国内向けの液化石油ガス(LPG)貯蔵施設建設・運営。事業総額は3億US$。
(7) 中部Sulawesi州Donggi-Senoro液化天然ガス(LNG)基地の建設。PT Pertamina、PT MedocoInternational、三菱商事の開発事業。国内4か所目となるLNG基地を建設し、日本向けの輸出拠点とする。年産量は200万tで事業総額は12億US$。

ページトップへ