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ニュース・フラッシュ

2007年10月1日 リマ 西川信康

エクアドル・鉱業会議所会頭、最近の鉱業情勢について言及

 10月1日、JOGMECリマ事務所は、エクアドル鉱業会議所Cesar Espinosa会頭と面談し、最近の同国の鉱業情勢、鉱業法改正の動向等を聴取した。内容は以下のとおり。
 (現政権の評価)
 現政権は石油に代わる次期天然資源として銅・金・モリブデンなどの金属資源の開発を政府戦略としている。7月に就任した新大臣、新次官とも鉱業の経験も知識もないことから行政面で問題あるが、鉱山開発促進に向けて真面目に取り組んでおり、会議所として政府の政策立案など(鉱業法改正、資料の提供など)で協力している。
 (鉱業法改正の中身)
 政府原案としてロイヤルティに代わり、政府はプロジェクトへの50%直接参加を求めていたが、会議所は、これを全面的に反対し、低比率のロイヤルティとすることで説得している。税率は最大3%を主張しているが、まだ合意を見ていない。
 30日の制憲議会選挙で、Alberto Acosta元エネルギー・鉱山大臣が最高投票を獲得したことから(なお、制憲議会選挙は、コレア大統領支持派グループが圧勝し、過半数議席を獲得)、制憲会議議長に選出されるのは確実で、それにより憲法改正案に続き、早い時期に鉱業法改正が討議される可能性があるが、同氏は自然保護専門家であり環境NGOにも理解を示していることから、自然保護を最優先した鉱業開発を義務付けることが考えられる。いずれにしても、会議所としては、民間企業とも情報交換・連携を保ち、グローバルスタンダードに沿った鉱業法になるよう努力して行く。
 (Miradorプロジェクトの現状)
 Galo Chiriboga石油・鉱山大臣は、先にプレスのインタビューで本プロジェクト凍結解除はしないと言明したが、昨日の制憲議会選挙で、政府支援グループAliansa Paisが過半数の議席を勝ち取ったことから、Miradorのような国家の重要案件は、大臣の独自判断で遂行できる可能性が出てきたと思われ、2007年中の凍結解除は十分あり得ると考える。
 (地域住民問題解決の行方)
 新鉱業法で、鉱業権益の承認にあたっては地元住民合意を条件とする方向なので、新規案件では大きな問題は発生しないと見る。すでに承認済みの権益に付いては事後になるが、地元住民との合意を形成させる以外に解決は難しい。
 (日本の投資家へメッセージ)
 憲法改正、鉱業法改正などがあるとしても、エクアドルは鉱山開発を政府の優先政策とする基本方針は変わらない。もし、日本の投資家がエクアドルの鉱山に興味があるならば、これら法令の改正前である今から数か月が進出のチャンスと見る。法制が安定すれば、カントリーリスクも下がり、鉱業権益の取得価格も上昇するであろう。

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