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カナダ・BC州北西部鉱山地帯への送電計画を発表
カナダBC州知事Gordon Campbellは10月1日、BC州北西部TerraceからMezidian junctionを経て、Bob Quinへと至る新たな送電線を施設すると発表した。送電線の延長は335kmで、総工費として4億C$を見込む。BC州北西部には銅を中心とした多数の未開発プロジェクトが集中しているが、公的な電力供給が開発における最大の課題であった。
この計画の実現には2007年8月に発表されたGalore Creek銅金鉱山開発の結果が大きな役目を果たした。Galore Creekは既にFSが完了し、州政府の開発許可も得られている大型銅金プロジェクト。Nova Gold社およびTeck Comincoによる50:50のJVで開発が進められており、両社は計22億C$を投じ、当初5年の間、年産約20万t、金 34万oz、銀 400万oz規模の鉱山を建設する。マインライフは20年超で、2012年からの生産が見込まれている。Nova Gold社のFSによれば、給電施設関係の費用として1億5,800万C$が見込まれており、138kV容量の送電線が引き込まれる計画であった。これに対しBC州政府は、Galore Creekプロジェクトが見込む費用はそのまま企業負担とし、送電容量を倍の287kVに拡張し、工事費差額は州政府が負担して、Galore Creek以外のプロジェクトへの十分な電力を確保することを決定した。Nova Gold社側も、追加費用無しで、より安定した電力を得ることができ、また地域の長期安定的な発展にも寄与するとして今回の州政府の措置を歓迎している。
BC州北西部への送電は、BC州鉱業関係者に共通する州に対する長年の要求であったが、Galore Creekの開発を契機にこれが実現したことになる。付近の代表的なプロジェクトには、Schaft Creek(Copper Fox社)、Kutcho Creek(Western Keltic Mines社)、Red Chriss(Imperial Metals社)、Mount Klappen(Fortune Metals社)がある。従来、Bob Quin周辺の発電にあたっては、例えば操業中のEskay Creek鉱山など、ディーゼル自家発電に依っていたのであるが、新送電計画は鉱山の発電コスト削減のほか、地域の排気の低減など、環境保全に対する貢献も大きいとしている。
併せてBC州知事からは先住民グループとの協調についてもコメントがあった。この地域は先住民グループTahltanが管轄する地域であるが、送電線の配置に当たってはTahltanも計画策定に加わるとしている。Galore Creekプロジェクトにおいても、Tahltanとの総合開発契約が2006年2月に合意に至るなど、BC州北西部開発におけるもうひとつの課題であった先住民族との協調関係も改善しつつある。