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ペルー・鉱業の零細業者、政府プロジェクトで合法化
業界紙等によると、スイス政府とペルー政府が共同で7年前から実施している零細鉱業環境政策(GAMA)プロジェクトによって、現在までにイカ、アレキパ、アヤクチョ、プーノ県等南部の零細鉱業者約1万人が合法化のプロセスにあるという。
GAMAプロジェクトリーダーのメディナ氏によれば、同プロジェクトはエネルギー鉱山省の協力を得ながら行われており、最近の成果ではプーノ県アナネアのLa Rinconada金山で採掘していた違法労働者5千名が合法的な鉱山労働者に生まれ変わったとしている。
ペルーの代表的な零細金鉱山であるLa Rinconada金山は、もともと違法採掘業者がはびこる「無法地帯」として知られていたが、3か月前に、正当な採掘業者として3か月前に再スタートを切った。
本鉱山合法化にあたっては、エネルギー鉱山省、司法省、GAMAプロジェクト担当者、Minera Ananea社代表、零細採掘業者の代表によって3年間にわたる対話交渉を実施した。
その結果、零細業者組合が125万$で工業所有権庁(INDECOPI)によって売却中のMinera Ananea社の株60%及び債権を取得し、それまでの違法採掘業者らが8月15日付けで正式な株主或いは企業経営陣となった。La Rinconada金山違法採掘の改善は、治安問題や上下水道等の基礎インフラの欠如、一酸化炭素中毒やシアンの中毒等の被害を受けてきたラミス川流域の住民2万7千人にとっての生活環境の向上を意味する。メディナ氏は、これまでの零細業者集団が企業という形になることから、環境基準の監視や環境対策の実施が容易になるとの見方を示している。
また同氏は、ペルー北部等、行政当局が強制的に違法採掘業者の排除を試みながらも達成できない地域においても、GAMAプロジェクトによって同様の成果を引き出すことは可能であるとともに、違法採掘とは社会的な問題であり、排除ではなく合法化することが本来の対処方法であると主張している。
ペルー国内の零細鉱山労働者は5万人から6万人にのぼるとされ、そのうち85%が金採掘、残り15%が銅その他鉱種の採掘を行っている。違法採掘による2006年の金生産量は24tと推測され、全国の金生産量の10%に相当している。
