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ニュース・フラッシュ

2007年12月12日 リマ 西川信康

ペルー・環境NGOのOXFAM、ペルーの大規模鉱山企業の環境責任を評価

 業界紙等によると、鉱業反対を公言するペルーのNGO団体に資金提供を行うNGOのOXFAMは、ペルーで操業する大規模鉱山企業の多くが社会責任を適切に果たしていることを評価する内容の報告書を発表した。これまでOXFAMは、鉱業がペルーの農村部に及ぼす影響に対して非常に批判的だったことから、本報告は意外なものとして受け取られている。
 報告書によれば、ペルーには環境面や社会面で責任ある対策を講じている複数の鉱山企業が存在しており、これらの企業は予算の10%から15%を環境・社会政策に充てているとしている。
 OXFAMの資源問題を担当するアロカ氏によれば、この改善状況は、ペルーで操業を行うメジャー企業中心の大規模鉱山企業の大部分が、保安面や人権に関する自主的な規律等の社会的責任を定める国際協定や、国連の「持続可能な発展実現のために企業が守るべき10か条」に批准したことが大きな原因となっていると説明している。
 同氏によると、鉱山企業がこれらの国際的な協定に準拠したことによって社会的対立が減少した例として、地域発展プロジェクトと対話の実施によって鉱山開発を目指すXstrataのLas Bambasプロジェクや、探査を開始する前に1年間かけて社会プロジェクトを実施したRio TintoのLa Granjaプロジェクト等を挙げた。
 一方でアロカ氏は、大規模鉱山とは対照的に大部分がペルーの民族資本である中小規模鉱山では、環境対策や社会的責任を果たすためには高いコストが伴うとの認識が強く、これらの対策を実行するに至っていないことを問題視した。さらに、同氏は、投資額の大小だけでなく、地域社会との信頼関係を樹立することの重要性を指摘するとともに、今回の報告の目的は、法律を守ること以上の努力をしようとしないジュニア企業や中規模鉱山企業に対して、社会責任政策という模範例を普及させることにあるとした。

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