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ニュース・フラッシュ

2008年1月22日 サンティアゴ 菱田 元

チリ:CODELCOはVale民営化モデルを見習うべきと専門家が主張

 地元業界紙によると、1月15日にサンティアゴで開催されたチリ銅鉱業研究センターCesco主催の会議で、ブラジルValeの前CEO Wilson Nelio Brumer氏は、Valeが実施したのと同様の民営化を行えば、チリ国営銅公社CODELCOは成長からの恩恵と効率性を手に入れることが可能になるであろうと述べた。さらにCODELCOは急激なコスト上昇、労働者一人当たりの生産高減少、鉱石品位の低下を経験している上に、収益を再投資できない財政構造であることから、チリ鉱業界はCODELCOが1997年に民営化したValeの後を追うことを強く望んでいる。Valeが市場公開した年は約100億US$であった資本金が、今日ではおよそ1,600億US$の資産価値を有するようになったと述べた。さらにBrumer氏は、国営から民営への移行期間及びその後にValeが遭遇した数々の政治的障害を思い起こし、「Valeは今も昔もブラジル国家の威信の象徴であり続け、2007年の非公式な住民投票では再度国営化すべきとの投票結果となった。」と語った。
 また、CODELCOの「民営化の時が来た。」と地元シンクタンクLibertad y Desarrolloの調査員Cristian Larroulet氏はこの会議で語った。Larroulet氏はチリ鉱業界でしきりに議論されているCODELCOの部分的民営化の複数のモデルを例証した。そのうちの一つは、CODELCO資産の20%程度を年金基金の管理者のみが購入できるとの制限付きで株式市場に上場するというもので、この場合チリ国民が間接的にCODELCOの株主となる。これによってCODELCOの活動は、今求められている投資に対して柔軟なものとなり、また株主の存在による監査の強化、場合によってはCODELCOの効率化が期待できるとLarroulet氏は語った。
 一方、悲観的な意見としてCODELCOの前総裁Marcos Lima氏は同会議において、一部を民営化することは魅力的かもしれないが、このような施策にはチリ国民が強固に反対するので、民営化は不可能であると述べた。「CODELCOオーナーであるチリ国民はそのような施策を信頼していないし、望んでもいない。」とLima氏は述べた。
 なお、Lima氏の発言については、日本のメディアは、同氏が民営化の推進を提案、と報道しているが、サンティアゴの地元メディア関係者は、「同氏は部分的な民営化には賛成しているものの、全面的な民営化には慎重な発言をしている」としている。
 CODELCOは世界最大の銅生産者で最大の銅の埋蔵量を保有している。一方、Valeは南米最大の鉱山会社で世界最大の鉄鉱石供給者である。

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