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ニュース・フラッシュ

2008年2月25日 バンクーバー 大野隆幸

カナダ:BC州政府が2008年度予算及び予算関連施策(政府案)を発表

 カナダ・BC州のCarole Taylor財務大臣は、2月19日、2008年度予算及び予算関連施策について地球温暖化対策を再重点課題とした州政府案(Greener Future、Stronger Economy)を発表した。この中で注目を集めているのは、北米初の試みとして、ガソリン、ディーゼル、石炭、プロパン、天然ガスなど全ての化石燃料の使用に対して課税する炭素税の導入(2008年7月1日施行)を目指していることである。
 BC州政府は、炭素税による税収見込みを当初3年間で18.49百万C$とする一方で、消費者にとって負担増となるこの新税導入の負担軽減措置として、低所得者層への補助金交付や法人・個人所得税の減税措置等をパッケージで講じることにより、負担と還元の収支バランスを同時に図った中立的なプランであることを強調している。具体的には、法人税については2011年までに現行の12%から10%(小規模事業者優遇税率、4.5%→3.5%)へ軽減することとし、制度完成時には現行の連邦税を含めた法人所得税(標準税率)は29.5%となり、オンタリオ州(31.5%)やケベック州(30.9%)を下回ることとなる。また、個人所得税については、最初の70,000C$の所得について2008年2%、2009年に5%の個人所得税減税を行うほか、炭素税の課税措置が減税措置に先行することの影響緩和措置として、当年度の剰余金を財源として全州民を対象に1人当たり100C$の支給を2008年6月に行うこととしている。
 ただ、このような州独自の施策に対して、鉱業界を含む産業界は、連邦及び州政府の間で一貫性のある政策が図られなければ、産業界及び消費者にとって効果に見合わない負担を強いられることになるなど、連邦及び州政府による対応の違いに懸念を示している。
 また、予算措置で鉱業界として注目すべきは、主としてBC州内陸部の害虫(Mountain Pine Beetle)被害対策のために鉱物資源探鉱推進費6百万C$(2007年度は、害虫対策において、BC州内陸部での資源探鉱に対し探鉱経費の30%の税額控除を認めている。)を新規計上、BC州の石油・天然ガス開発推進費として6百万C$を新規計上、先住民の土地対策として3年間で30百万C$、環境対策として3年間で2,100万C$の予算案が示されたところである。

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