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ニュース・フラッシュ

2008年4月12日 リマ 西川信康

ペルー:米国景気後退による鉱業への影響

 地元業界紙が、米国の景気後退が金属価格に及ぼす影響はどの程度なのか、また輸出高の60%が鉱業に支えられているペルーにとって懸念すべき状況であるのかについて鉱山関係者の意見を聞いたところ、影響は最小限との意見が多数を占めた。
 Southern Copperのハコブ財務計画部長によれば、米国の金属需要は2006年から減少傾向に転じ、2007年も1%下落したが金属価格に影響は与えていない。米国は、ここ6年間世界の銅需要の10%余りに減少した一方、中国は世界の30%弱と急速に需要を伸ばしており、米国の影響力の低下が進んでいる。2007年のサブプライム問題発生以降も、Southern Copperの主要生産品目である銅価格は上昇し続けた。現在銅価格は4US$/lbであり、米国景気後退の影響により2US$/lb程度まで低下する可能性も否定できないが、仮に2US$になっても、決して安値とはいえないと語った。
 Buenaventuraガルベス財務経営部長は、ドル下落により金の価格は上昇中であるとし、金価格の下落の可能性を否定した。
 スコティア銀行の経済アナリストは、今後2年間は世界の金属需要の拡大に大きな変化はないとの見方を示し、米国発の経済問題の影響は最小限であり、ペルー鉱業は今後も金属価格の歴史的高値の恩恵を受け続けるとの見方を示した。
 一方、マルサンス経済専門家は、中国のインフレ率が2桁台に近づきつつある中、同国政府が利上げを実施すれば金属需要に歯止めがかかり、需要低下によって金属価格が下落する可能性があることを指摘し、当分の間、金属価格が高値を維持すると信じるのは楽観的過ぎると指摘した。

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