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ニュース・フラッシュ

2008年5月6日 サンティアゴ 菱田 元

チリ:GasAtacama社 鉱山会社と合意に達し財政破綻を回避

 4月30日付の地元業界紙によると、チリの発電及びガス供給会社でEndesa Chile社とSouthern Cross社が所有するGasAtacama社は、顧客である鉱山会社との間で過度のディーゼル燃料輸入のコストを部分的にカバーする契約に合意し、財政破綻を回避できる見通しとなった。GasAtacama社は銅鉱業地帯であるチリ北部においてSING(北部電力連結システム)を操業しているが、コスト上昇を顧客に転嫁できずにいた。
 GasAtacama社が契約した相手方は、CODELCO、BHP Billiton、Collahuasi(Xstrata・Anglo American各々44%、日本企業連合12%)、El Abra(FCX 51%、CODELCO 49%)、Zaldivar(Barrick Gold)、SQM、Mantos Blancos(A.A.)、El Tesoro(Antofagasta)、Lomas Bayas(Xstrata)、Meridian(Yanma Gold)、Quebrada Blanca(Teck Cominco)である。Yamana Gold社のMeridian鉱山が銀・金を採掘している他は、全て銅鉱山である。これらの鉱山会社の電力消費の内、SINGが供給する電力は84.5%を占めている。
 この契約の中でGasAtacama社は、天然ガスが使用できなくなった場合、輸入重油に切り替えて最大容量600MWまでの電力を引続き供給することに合意した。鉱山会社はその見返りとして、2008~11年に見込まれるGasAtacama社の負債額900百万US$の71%に当たる650百万US$をカバーすることになっており、各社の負担額は電力消費量に比例して決定される。
 GasAtacama社は、アルゼンチンがチリに対して天然ガスの輸出制限を開始した2004年にコスト上昇を余儀なくされ、同社の発電コストは12US$/MWhから180US$/MWhに上昇した。
 GasAtacama社は4月初旬にBHP Billiton、CODELCO、Collahuasiと仮契約を結び、他の鉱山会社の合意が得られなければ(SINGの顧客の少なくとも84%が合意しなければ、仮契約は成立しない)財政破綻は避けられないとの警告していた。
 エネルギー大臣Marcelo Tokman氏は契約の調印式において、本契約は液化天然ガスの輸入と新しい石炭火力発電が軌道に乗るまで、SINGの電力供給網に安定性をもたらすであろうと語った。
 GasAtacama社は石炭による発電容量だけではSINGを支えるに十分ではないと繰り返し強調した。SINGに対する発電需要は1,800MWであるが、石炭火力発電容量は900MWである。2011年までの電力供給制限を避けるためには、天然ガス又は重油発電容量を1,400MW程度まで上げる必要がある。

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