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ニュース・フラッシュ

2008年5月6日 ジャカルタ 池田 肇

ベトナム:首相議決、ボーキサイト開発の外資合弁比率上限を40%に決定

 グエン・タン・ズン首相は5月2日、Dak Nong及びLam Dongの両省におけるボーキサイトの開発に関し、Vinacomin(Vietnam Coal and Mineral Industry Group:国営石炭鉱物産業グループ)に対し、外資合弁比率の上限を40%とする合弁会社の設立を承認した。これにより、Vinacominは、ボーキサイト開発の推進母体となり、権益9%を一般投資家に開放し権益51%を保有する。Vinacominは現在、Dak Nong省でアルミ世界大手の米AlcoaとNhan Co Aluminaプロジェクト(年産60万tのアルミナ生産計画)を、Lam Dong省で中国雲南治金グループ(Yunnan Metallugy Group)とTan Rai Bauxite開発プロジェクトを協議中である。両プロジェクトの合弁会社の外資比率は、Alcoaが40%、Yunnanが20%になると見られている。また、Vinacominは、首相府より中部高原のDak Nong~Lam Dong~Binh Thuan各省を結ぶ鉄道建設についても、同高原でボーキサイトを開発する投資家を対象に合弁会社設立を推進するとの基本方針の承認を受けたとされる。首相は5月1日、鉄道建設に関し、中国Chalco Group及び豪BHP Billitonにも資本参加を要請した模様である。なお、BHP Billitonは隣国カンボジアでボーキサイトの開発を手掛けておりインフラ問題を抱えていた。この首相決議は、同国政府がボーキサイト開発に本格的に乗り出したことを意味し、鉱物資源開発分野で外資上限を40%とする前例を提示したものとして注目される。他方、2006年11月20日に日本軽金属(株)、双日(株)、Vinachem(Vietnam Chemical Corporation:ベトナム化学公団)、同公団の100%子会社であるSBCC:South Basic Chemical Campany(サウスベーシックケミカル社)と、年産55万tの水酸化アルミニウム工場の建設について、事業性調査開始の基本合意契約を締結(首相承認は、2006年7月、総事業費400億円)している。
 今回、Nhan Co Alumina、Tan Rai Bauxiteの両プロジェクトは、Vinacominが推進母体とされるが、日本軽金属-双日コーソーシアムに、Vinachemという異なる国営企業が指名されているが、両合弁事業の今後の実施体制の行方が注目される。

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