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米:鉱業法改正案、再提出される
2009年1月27日、米国下院天然資源委員会委員長であるWV(West Virginia)州選出のNick Rahall氏(【民主党】以下、同氏)は、1872年に制定された鉱業法を改正する法案を再提出した。この法案は、先の議会(2007年5月)において下院の承認は得たものの上院の承認を得られなかったもの。これには、パブリックランド(※)(連邦所有地:以下“PL”とする)に今後新規に開発される鉱山生産量の8%、現在操業中の鉱山から4%をロイヤルティとして徴収することや、連邦政府は、野生生物研究区域、環境が懸念される区域、自然公園及び景勝地域や河川水系を保護し、特にGrand Canyonなどの国立公園付近に申請される鉱山開発計画に対して、より厳しい許可要件を課すことが可能である旨が盛り込まれている。この法案には、鉱物資源を胚胎するPLの切売りを終了させ、鉱業によって影響を受ける地域社会に、社会基盤及び公共サービス資金を含む財政的支援をもたらし地域社会に貢献することが期待されている。ただ、同法案によれば採掘許可の保留可能性があるほか、深刻な環境汚染が危機的な状態になった場合、内務省及び農務省の大臣が鉱山操業の中止命令を出せるようになる。また各大臣は、採掘計画や探鉱許可を否認できる。更に法案は、市民に採掘または探鉱に対する訴訟プログラムも提供する内容となっている。同氏は、「1872年に制定された鉱業法を改正するためにほぼ30年間に亘り、精力を注いできた。PLにおける貴重な鉱物資源による利益配分の獲得や、閉山鉱山周辺の住民の健康と安全への脅威に対抗することが目的ではない。私は鉱業の支援者であり、今、鉱業法の修正を行わなければ、今後、持続可能な鉱業がPLに存続していくことはもはや期待できないと考える。」と法案再提出の趣旨を述べた。
しかしながら、NMA(米国鉱業協会:National Mining Association)会長兼CEOであるHal Quinn氏は、同法案は「米国の再建に重要な役割を担う職及び事業に対するものではあるが、世界最高水準率のロイヤルティを背負って国際市場で競争力を維持することはできない。また、他の米国法規との重複懸念や米国鉱業界を不必要に危機にさらし、米国の再建に必要な金属資源の海外依存度を更に高めることになる」と述べた。また、NMAは、米国鉱業界のためとなり、国際的にも標準的で鉱業法として信頼に足る改正であれば支援するが、これは間違った処方箋のようであると否定的な見解を示した。
(※)パブリックランド(Public Land):国土の有効利用を図るため、資源開発のほか、農林水産、学術、スポーツ、レクリエーションなど幅広い用途が想定されている連邦用地。西部に広く分布し米国全土の約1/8に相当する。Nevada州は86%がPLで占有率は最高、面積はAlaska州が最大で1/3に相当。土地利用局(Bureau of Land Management)が管理する。
