ニュース・フラッシュ
2009年2月9日
バンクーバー
大野隆幸
米:Obama大統領のエネルギー・環境課題に臨む姿勢をオイルサンド産業への対応に見る
Barack Obama米大統領は、エネルギー及び環境課題に関するスピーチ(2009.1.26付)で、気候変動に関する課題に真っ向から挑むことを表明した。同大統領は、米国の新エネルギー計画において気候変動と戦うため、特にその生産過程で従来の3倍以上の炭素排出をもたらすカナダのオイルサンド産業を象徴的な産業として例示し、環境に大きな負荷をもたらす産業の規制法制定を目指すことを示唆した。これに対し、オイルサンド楽観主義論者が、今後、経済及びエネルギー安全保障問題を環境問題よりも優先せざるを得なくなるため、大統領の計画は大幅な産業構造転換を迫るほどの環境法制定には繋げられないと考えられている向きについて、これらの楽観論は同大統領の環境、経済及びエネルギー課題に真っ向から取組む強い姿勢を軽視しているとの意見もある。今回発表された米国の新エネルギー計画は、従来の論理を覆し、環境産業を経済成長と雇用確保への原動力とし、クリーンエネルギーを基盤産業として米国を世界的リーダーとすることにあるとしている。また、計画では環境産業における500万人規模の職を提供するために、民業活性化策として今後10年間に亘る150億US$相当の戦略投資が盛り込まれている。シリコンバレーは既にグリーンバレーへと変化しつつある。これらの動きは、鉱業界においても少なからず影響あるものと考えられ、今後の行方を注視し対応していくことが肝要と考えられる。
