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ニュース・フラッシュ

2009年3月27日 シドニー 増田一夫

豪:連邦財務相が中国五鉱集団公司からOZ Minerals社への買収案についての声明を発表

 2009年3月27日、Swan連邦財務相は、中国五鉱集団公司(Minmetals)から提示されているOZ Minerals社(本社:Melbourne)の買収案について「外国投資が国益に適うかどうかの判断に加え、外国政府が関与する投資が国家安全保障の原則に合致するかどうかを判断した結果、SA州に位置するProminent Hill銅・金鉱山(※1)が軍のWTF(※2)域内に位置しており、国家安全保障の観点から、買収案にProminent Hillが含まれる限り承認はできない。」との声明を発表した。
 財務相の声明に先立つ2009年3月23日には、買収案の審査を行っているFIRB (外国投資調査委員会:Foreign Investment Review Board)が、審査期限である30日間内に審査が完了しなかったことから、更に審査期間を最大で90日延長を発表しており、今後、MinmetalsはProminent Hillを除く新たな買収案を提示することとなる。
 一方OZ Mineralsは、2009年3月31日に返済期限の迫った13億A$の債務について、返済期限延長を銀行から取付ける必要があるほか、新たにProminent Hillの買収先についても模索する必要が出てきた。
 これらの政府対応について、アナリストらは、もし国家安全保障上の問題であるなら、Prominent HillがWTF(※2)内に位置していることは既知のことであり、FIRBは30日以内で審査できたはずで、国家安全保障という説明を持ち出した背景には中国投資に対する根深い問題があるのではないかとの憶測も出ている。
 また、Prominent Hillの買収先について、地元紙は、12~20億A$の買収金額となることから、BHP BillitonやBarrick Goldなど数社の大手企業に限られるとの見方を示している。
〔※注1.Prominent Hill銅・金鉱床:埋蔵量72.4百万t、品位Cu 1.306%、Au 0.613g/t、Ag 3.256g/t、含有量Cu 945千t、Au 44.4t、Ag 236t、2009年生産計画量はCu 85~100千t、Au 1.9~2.2t、CAPEX 753百万US$〕
〔※注2.WTF:Woomera Test Field(ウーメラ試験設備)は、SA州に位置する面積12.7万km2という広大な軍用試験区域として1947年から運用開始、現在、国防総省によって管理され、連邦政府法律の下で特に軍事実験活動のために使用されているが、民間の商業目的の非軍事実験活動にも使用されており、区域内はWPA(ウーメラ立入制限区域:Woomera Prohibited Area)として立入が制限されている。同区域内の探鉱及び鉱山開発に際しては連邦政府との間で協定書を締結する必要があり、探鉱及び鉱山開発事業が必ずしも承認されるとは限らない。〕

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