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英:Anglo American、Rio Tinto、BHP Billiton大手3社の動向
Anglo American(以下、AA)、Rio Tinto(以下、RT)、BHP Billiton(以下、BHPB)は、各社資金調達のために、大規模な起債を発表した。本起債は、AAは財政赤字の埋め合わせ、RTはバランスシートの強化、BHPBは将来の企業買収への資金調達と業界紙では報じられている。
企業名
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社債総額
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利回り
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発表日
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AA
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20 億 US $
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2014 年満期の 5 年社債 12.5 億 US $の利息 9.375 %、 2019 年満期の 10 年社債 7.5 億 US $が利息 9.375 %。 |
4月 3日
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RT
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35 億 US $
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2014 年 5 月 1 日満期の 5 年社債 20 億 US $が利息 8.15 %、 2019 年 5 月 1 日満期の 10 年社債 15 億 US $が 9.00 %。 |
4月14日
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BHP B
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22.5 億€
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2012 年 4 月満期の 3 年社債 12.5 億€ が利息 4.75 %、 2016 年 4 月満期の 7 年社債 10 億€ が利息 6.375 %。 |
3月26日
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AAは上記の起債に加えて、4月20日のAA公式発表では、AAはGoldman Sachs International及びMorgan Stanly & Co. International plcを引受証券会社として、オーバーアロットメントオプションを実施し、17億US$の転換社債型株予約権付社債を発行すると発表している。これは、最近の同社による生産コストの削減管理、2009年末までに19,000名の人員削減の発表、株主への株式配当の見送り、AngloGold Shantiの同社全保有株売却、2,000百万US$の固定利付債券の発行に続いて、AAの赤字救済になると考えられる。なお、4月に開催されたAA株主総会では、最近の株式配当の見送りと、ブラジルのMinas-Rio鉄鉱石プロジェクトの権益取得、アラスカの地域社会から反対されている同社権益50%保有のPebble銅・金プロジェクトの継続に対する反論意見が出た。AAの同会議議長は、配当金に関して、2009年の中期には必ず配当すると述べ、アラスカPebble探鉱プロジェクトに関しては安全性を主張し、2009年は投資額を前年比半分以下の45億US$とするが、Minas-Rio鉄鉱石プロジェクトに加え、ブラジルのニッケル、チリの銅開発などの長期的な資源確保を狙った投資は継続する方針である。
RTに関しても、4月15日にはロンドンにて、20日はシドニーにて株主総会が開催された。一番の議論となったのは、中国アルミ大手Chinalcoの195億US$のRT株買収計画。本売却が成立するとChinalcoはRT株を現在比倍増の約18%となるため、中国側の意見重度が高まることに加え、経営の失敗を懸念し、株主からは反対の姿勢を示す者が多かった。しかしながら、RTは依然として、Chinalcoとの提携計画の利点を訴え、シドニー会議では、Chinalcoとの信頼性を強調した。その他、RTは2007年7~11月に、アルミニウム大手のAlcan(カナダ資本)を381億US$相当で買収し、アルミナ・アルミ地金市場での同社シェアを大きく伸ばしたが、現在の経済危機により、企業戦略に合致しないAlcanの子会社または資産を手放すことが困難な状態になっていること、鉄鉱石のQ4生産量は、Q3と横ばいに推移し、31.6百万tとなる見込みで、2009年の鉄鉱石生産予想は約200万tと前年とほぼ同量の生産が期待できることが示唆されていた。
BHPBに関しては、予想よりも小規模な起債と報じられ、将来の企業買収に向けた資金調達であろうかと推測されている。BHPBは2008年末、欧米当局との交渉中にRTの買収提案を断念した。しかしながら、FTによれば、シドニーでのRT株主総会の議長がBHPBと週末に会談を行っていたと報じられている。
