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ニュース・フラッシュ

2009年7月10日 シドニー 増田一夫

豪:各州とも鉱業ロイヤルティ減収の見込み

 豪経済紙のAustralia Financial Review(AFR紙)は、2009/10豪年度(2009年7月~2010年6月)の鉱業ロイヤルティが大幅に減収する見通しを示し、その減収額は2000百万A$以上で、為替の変動によっては3,000百万A$に及ぶ可能性があると見ている。
 各州政府による鉱業ロイヤルティ予測

(単位:百万A$)
  2007/08 2008/09* 2009/10* 2010/11* 2011/12* 2012/13*
WA 1665 2675 2577 2684 2758 2873
QLD 1371 3396 1806 1856 2058 2198
NSW 574 1426 1041 1410 1430 1435
SA 143 151 144 170 195 200
NT 35 137 160 161 161 161
VIC 42 49 49 47 48 49
TAS 41 42 19 18 18 18
3871 7876 5796 6346 6668 6934
*推定

 各州政府による鉱業ロイヤルティ予測では、豪州の中でも税収が多いWA州及びQLD州合計は、2008/09豪年度には6,071百万A$、2009/10豪年度には4,383百万A$(前年比27.8%減)と大幅減収の予測となるが、AFR紙は、為替変動の影響によっては3,500百万A$(前年比42.3%減)まで落ち込む可能性があると指摘している。
 WA州の場合、主力である鉄鉱石価格の上昇により、2008/09豪年度の鉱業ロイヤルティは2,675百万A$(前年比60.7%増)となり、2009/10豪年度には2,577百万A$(前年比3.7%減)と、わずかな減収見込みであるが、予測には基準為替レートとして0.685US$/A$が用いられており、現在の為替レート(約0.7~0.8US$/A$)とは大きな乖離がある。為替レートが基準レートより0.01 US$/A$上昇するに従い、鉱業ロイヤルティは55百万A$ずつ減収となる。
 QLD州の場合、主力である石炭価格の上昇により、2008/09豪年度の鉱業ロイヤルティは3,396百万A$(前年比147.7%増)となり、2009/10豪年度には1,806百万A$(前年比46.8%減)と大幅に減収となる見込みで、更に、基準為替レートが0.01 US$/A$上昇するに従い、鉱業ロイヤルティは27百万A$ずつ減収となる。
 AFR紙は、このような鉱業ロイヤルティ予測の大幅な減収により、各州政府は予算確保のための鉱業ロイヤルティ引き上げが検討されていることを指摘している。
 既にQLD州やNSW州では石炭ロイヤルティが引き上げられており、WA州は、BHP Billiton及びRio Tintoに対し、両社の鉄鉱石の生産合弁事業立上げに伴い、これまでの優遇税制の撤廃を示唆している。

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