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豪:鉱業ロイヤルティ制度改正の議論が白熱
豪連邦財務省は、21世紀の国民生活、経済、地球環境問題を見据え、現在の税制制度全般にメスを入れるべく検討を行っている。鉱業ロイヤルティについては、従量税、従価税、双方を組み合わせたハイブリッドタイプのように、各州政府が独自の徴収制度を数多く制定しているが、財務省はこうしたロイヤルティ制度を廃止し、国家資源使用税(National Resource Rent Tax、海洋での石油・天然ガス鉱山に課税されている)に切り替えたい方針である。
特に、資源ブームに沸いた2002~2007年間で、鉱山の操業利益が急増したにも拘わらず、現在のロイヤルティ方式ではそれに見合った税収が得られず、RHS(Share of Operating Profit; 操業益とロイヤルティの配分)で見れば、この間に30%から10%に減率している。国家資源使用税は、プロジェクトの税引後利益に課税されるもので、資源から揚がる経済的収益を地域に還元すること目的とするものだとして、連邦政府は導入に前向きになっている。
これに対し、鉱山会社を代表する豪鉱業協会MCA(Minerals Council of Australia)は、企業利益をベースとした国家資源使用税の導入は、鉱業経費をベースとしたロイヤルティ制度よりも好ましいとして導入に賛成しているものの、過去のプロジェクトに対して遡及適用することは、連邦と州政府との間のソブリン・リスクを高める恐れがあるとし、新たな投資判断を決断する上でも、その適用は今後に生産を開始するプロジェクトに対して行うよう求めている。こうした意見の背景には、金融危機の影響で資源ブーム時に比べ鉱業収益が上がらない中、国家資源使用税制度が導入された場合、ロイヤルティ制度に比べ納税が減額するといった背景があると見られる。
一方、主要な鉄鉱石や石炭鉱業を抱えるWA州とQLD州は、現在の税収と支出のバランスが崩れるといった理由から、国家資源使用税税収に反対の意見書を提出している。この背景には、税制制度の独立性を州政府として守りたい意向が働いていると考えられるが、鉱業界との意見が真っ二つに割れる中、連邦政府の最終的な判断が待たれるところであり、2009年12月にSwan財務大臣から報告書が発表される予定になっている。
