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ニュース・フラッシュ

鉱種:
鉄鉱石
2009年9月1日 シドニー 原田富雄

豪・中:中国鉄鋼最大手Baosteel、豪州鉄鉱石鉱山に投資

 2009年8月28日、Aquila Resources社(本社:WA州Perth)は、中国鉄鋼最大手のBaosteel(上海宝鋼集団)に対して285.6百万A$で同社株式の15%を売却すると発表した。
 Aquila Resources社は、2013年半ばの出荷を目指して開発が進められるWest Pilbara鉄鉱石プロジェクト(権益の50%を保有、JORC資源量で649百万t(品位 Fe 57~61%))の他、石炭、マンガンプロジェクトを豪州内に有している。Baosteelは、これまでRio TintoやFortescue Metals Groupといった豪州鉄鋼大手とのJV事業に投資してきたが、豪州企業の株式取得に投資するのはこれが初となる。
 鉄鉱石産地であるPilbara地域は、これまでBHP BillitonとRio Tintoの大手2社が事実上独占してきたが、両社に続く豪州鉄鉱石大手のFortescue Metals Groupといった第3の企業(言わば豪州鉄鉱石ジュニア)も中国需要の増大を背景として急ピッチで開発を進めており、Valeを含めて鉄鉱石大手3社に牛耳られてきた価格交渉を優位に進めるべく、供給源の多様化を図りたい中国鉄鋼大手との間で利害が一致したものと思われる。
 また、West Pilbara鉄鉱石プロジェクトの積出港として予定されるAnketell Point港湾整備事業については、別途、Aquila Resources社とFortescue Metals Groupとの間でJV調査協定が既に締結されており、これまでFortescue Metals Group との間で提携関係のあるBaosteelがAquila Resources社に投資するメリットは大きいと考えられる。一方で、Aquila Resources側も今回の資本関係をもとに中国からの低利融資が期待できる。
 投資に当たっては、今後FIRB (豪州外国投資審査委員会)、中国当局及びAquila Resources社の株主の承認が必要となるが、Baosteelは2010年8月まではAquila Resources社の株式の19.99%を超えて保有しないという条件付のため、FIRBの承認は問題ないと見られている。

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