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ニュース・フラッシュ

2009年10月27日 調査部

中国:天津財産権取引所に鉱業市場の開設

 中国現地報道によると、10月22日、天津股権交易所(財産権取引所)の鉱業市場の開設式が挙行された。同市場は、中国内で初の鉱業権専門交易市場で、運営開始は11月とされている。
 天津股権交易所は、2008年9月、非上場株式を取り扱う取引所として設立された。元々は、全国で200か所在ると言われている産権交易所(同じく“財産権取引所”と見なされる)が基礎となっている。財産権取引所は、国有企業改革で国有財産の譲渡や民間企業の非上場株式の譲渡等に利用され、その後の整理改革を経て、資本市場(株式・債券市場等)の多層化の一部としての役割や、環境権取引、中小企業金融などの場として活動を広げている。
 天津股権交易所の鉱業市場は、これまで上場とは無縁であった多くの鉱業企業に資金調達市場としての道を開き、優良な鉱業企業に対する効率的投資の一助となる可能性を秘めている。これまで鉱業の資本調達市場は、大企業の資本市場での取引を除けば、鉱業権の取引などに代表されてきたように、投資過程の複雑さ、取引の非分割、リスクなど難点があった。鉱業市場は、このような状況下、鉱業資本と金融資本を簡便に直接に結び付けることにより、双方にとって円滑化と速やかな資金獲得を狙ったものと見られる。
 天津股権交易所・鉱業市場は、多くの機関投資者と個人投資家を集めることにより、資金量の充足と流動性、融資効率の向上、専業性の強化などを通じて、鉱業生産企業や資源探査・開発企業などにとって、膨大な鉱山開発投資資金調達の解決と探査開発への投資手段となる可能性を有しており、今後の動向が注目される。
 (注;中国の財産権取引関しては、「中国の財産権取引所について」、神宮建、野村資本市場研究所、資本市場クォータリー2009年冬号を参考にした。)

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